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胃袋の行方

何でこうなった。

調査隊体長のソールは普段剛鉄の胃が情けなくキリキリするのを覚えた。

一般募集枠でバイトが入るのは知っていた。

バイトの選別は上層部がしている。

口は挟めない。

とは言うものの、ある程度の力量を把握したいと言うことで 現地までの移動は限りなく実戦形式だ。

集合場所に表れた学生の点呼をする。

「君はいくつだね」

ひときわ小柄で可愛らしい少年は、ニコニコしていた。

こんな子供を連れて行軍をしろと?

何を考えているのかーー。

それでもソールは、我慢していた。

一応雇われた身なのだ。

後輩に経験の場を与える事も大切だ。

「十二です」

卒業したら、すぐ働く子供が大半だ。

こんな細いのが冒険家希望か?

「ええと、何担当だ?」

「料理です」

「は?」

領主様は何を考えて?

「新しい食材の利用した料理の開発をします」

「……そうか」

別に食糧難でもない。備蓄は豊作続きで安定している。

わからない。

こんな子供にさせる事柄だろうか。

それとも、今年は不作予想されるのか?

「ビィ、違うだろ。食材調達班だ」

「えっ、僕料理したいよ?」

調達? それこそこんな子供に勤まらない。

子供は足手まといだと進言しよう。

怪我でもされたら大変だ。いや、怪我ですめばまだ良いかも知れない。

取り返しのつかない事になる前に、

「あ、ドラドラ」

ドラドラ?

スイーと影が横切る。

竜が降りてくる。

あの竜はーー。

「父!」

子供が駆け出して……。父?

えっ?!

父!

り、領主様思いっきり禿げてますが!

く、苦労なさってーー!

えっ

父?

竜が地面にへばりついて……。

「ドラドラ元気?」

ペチペチ。

撫でて貰うために地面にへばりついているのか。

と言うか、何故全部へばりついている?

いやそこじゃない!

父?

「ビィ、これが髪を狙っているのだが」

ポヨポヨ。

「スライム、メっだよ」

プイッと知らんぷりのスライム。

ええと

長男のレーガル様

次男のアルシオン様ーー

そして三番目のビィ……。

ヴィンセント様!?

三兄弟丸っと調査隊に参加!

参加!?

タラリ。

「隊長? どうしましたか?」

「……胃が痛い」

「は?」

「頭も痛い」

「……」

「ワシ風邪引いたかも」

「だ、大丈夫! 熱はないみたいです!」

「胸も苦しい! 喉も痛い! ワシ帰る!」

ポヨン?

なんか乗っかった。

オートヒール!

「!?」

「す、スライムっ」

スッキリ?

「ご、ごめんなさい! スライム頭に乗っちゃだめ」

気分が良くなった。

それに皆キビキビ働いているではないか!

やればデキるのだよ!

「ハッハッハ!」


「なぁ、隊長の頭……」

「言うな!」

「領主様のーー」

「み、見るな!」

はらり。

初日から先行き不安なーー。

「ハッハッハ! 領主様! お任せください! このソール、必ずや新料理を見つけて来ます!」

隊長は既に混乱していた。



☆ ☆ ☆


初日の夕刻、夜営の準備を始めた。

「隊長さん、猪鍋どうぞ」

それはリストに無かった肉だ。

「猪? 肉持って来ていたのか?」

「ううん、そこで捕ったよ」

そこ?

「毛皮は兄が鞣してます」

いつ仕留めた?

「残りは干して燻製の保存食にします」

子供は無邪気だ。

ペコリとお辞儀をして学生たちの側に戻って行く。

猪鍋は旨かった。

料理は量をそれなりに作り、行き渡った見たいだ。

「意外と働き者ですよ。彼等は」

「雑用するのはバイトの仕事だ」

「騎鳥や馬や犬が妙に大人しいのですが」

「騒がしいより良いだろう」

学生も妙に大人しい。

「うわ、スライム いつ鍋に!」

「甘い出汁がとれるよ」

「あ、そう……」

なんか変な会話が聞こえたのは気のせいだ。

多分。


朝は、ウサギのスープが出た。

ウサギの皮も鞣すと言う。

取り敢えず旨い。

「デザートにスライムの葛煮です」

何だか変な内容だったような?

まあ良いか。

こころなしか、子供に引っ付いているスライムが小さいが気のせいだ。

「スライム、お鍋に入っちゃ駄目だよ?」

何か変な会話が聞こえたが……。

気のせいだ!


昼、手分けして狩りをする。

「……何をしているのかね?」

「釣り」

川側で、木の棒に糸が垂れている子供。

「へえ? 釣れるのかい?」

「うん」

バケツには、確かに数匹の魚が泳いでいる。

「かかった!」

ひょいと棒を引っ張ると、確かに魚がーー。

糸の先ほどにくっついたスライム。

そしてスライムの中で魚がビチビチ。

!?

ペッと、バケツに魚を吐き出すスライム。

「ビィ、大量だな」

「うん」

釣り? あれが?

「どんどん釣るよ」

スライムがため息を着いたような?

気のせいだ。

ビィが焼いた魚を持って来た。

旨い。


夜はもう何だか訳が解らなかった。

ビィが鳥を仕留めて来た。

木の棒が刺さっている。

「槍にして捕まえたのか?」

「ううん。矢だよ?」

「弓持っていたかね?」

「うん」

スライムが体を伸ばし、釣りに使っていた糸をーー。

何かおかしいが、取り敢えず鶏肉は旨かった。

スライムが骨をガリガリと食べている。

そういえば残飯がない。

モシャモシャ食べているスライムに、骨を突き刺す。

何か面白い。

「た、隊長……」

骨のオブジェを背負ったスライム。

「♪ーー」


「隊長が歌っている」

「バカ、見るな!」


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