おつかい、できるかな?
あるところに、5歳になる女の子がいました。
女の子の名前は、ナナちゃん。
でも、ナナちゃんには、苦手なことがありました。
それは、人と話すことです。
そんなある日、ナナちゃんはお母さんに呼ばれました。
「ナナちゃん、ちょっといい?」
「お母さん、どうしたの?」
「あのね、いつも行ってるケーキ屋さんがあるでしょ。そこに、おつかいに行ってほしいの」
「えっ、ナナが?」
「あなたももう5歳だし、これも勉強よ」
「でも……」
「大丈夫、ナナちゃんならできるわ!」
そして、お母さんからメモとお金をもらいました。
メモは平仮名なので、ナナちゃんにも読めます。
「いい? 2つ目の信号を右に曲がったら、ケーキ屋さんがあるから、そこで書いてあるケーキを買うのよ」
「うん、わかった!」
家を出発したナナちゃんは、メモを読みながら歩きます。
メモには、3種類のケーキが書かれていました。
「えっと……ショートケーキと、モンブラン、あと……きゃぁっ!」
すると、突然強い風が吹き、そのせいでメモが飛んでいってしまいました。
「あっ、メモが!」
ナナちゃんは追いかけましたが、メモは川に落ちてしまいました。
ガッカリするナナちゃんですが、周りを見て驚きます。
「あれ、ここどこだろう……」
メモを追いかけたことで、ナナちゃんは道に迷ってしまったのです。
すると、杖をついたおばあさんが、声をかけてきました。
「お嬢ちゃん、どうしたんだい?」
「あっ、あの……」
知らない人に声をかけられ、ナナちゃんは困りました。
だけど、お母さんがいつも言っていることを、思いだします。
『緊張した時は、落ち着いて深呼吸するのよ』
「おちついて、しんこきゅう……」
呟いて、ナナちゃんは深呼吸をしました。
そして、頑張っておばあさんに話します。
「あの、ケーキ屋さんに行きたいけど、道がわからなくて……」
「なんていうお店だい?」
おばあさんは、ナナちゃんから店の名前を聞きました。
「あぁ、そこなら知っているよ。私もそっちに用事があるから、一緒に行こうか」
「うんっ、ありがとう!」
そして、ナナちゃんは無事に、ケーキ屋さんに着くことができました。
買い物をすませると、急いで家に帰ります。
「ただいまーーっ!」
「ナナちゃん、おかえり!」
ケーキを受け取り、お母さんは箱を開けてびっくり!
ケーキは3つでしたが、全部ショートケーキだったのです。
でも、ナナちゃんの笑顔に、なにも言えないお母さんなのでした。




