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さてと、そろそろ女子生徒に囲まれたあの羨ましい生物の所に行くとしよう。
ゆっくり歩いて近付くと、1番後ろにいた女子生徒がオレに気がつき、なんか睨んできた。
平民だと思ってる人物が堂々と歩いてくれば、上流階級の人間からすればこんな感じになるのか。
フフッ。
主要な登場人物達よりも、モブであるこの女子生徒の方が実に人間らしいな。まぁ、こんな感じに睨む。とかいうシナリオの可能性もあるけど。
「皆様ごきげんよう」
ニコリと会釈すれば、ベンチから立ち上がったセミオンが憎たらしいほど完璧な微笑を浮かべ、
「少し歩きましょう」
と、オレの手を掴み、返事も聞かずにズンズンと歩き出した。
完璧なのは表情だけか!
それほど女子生徒に囲まれるのは嫌だったのだろうか?確かにオレと婚約する理由の1つに女子避けってのがあったっけ。
「ベンチでもあれだけ囲まれるんなら、大人しく食堂に行けば良いのに。でござりますわよっ」
それともまたオレの部屋に来るとか?
いや、昼休みの度に入室許可を取ってたんじゃあ流石に怪しまれるな。
「食堂に行ったらおにぎり食えないだろ?後スープな。結構楽しみにしてんだからな?」
兄であるアフィオに会いたくないと、そう素直に言えば良いのに。あ、ナナ御一行全員に対する嫌悪ポイントがあるんだった。
それも本音かどうか。
はぁ……味方が1人もいないと分かっている中で、こうしてスパイのように近付いてくる相手に対しての心の持ちようがどうにも分からない。
もしかしたら友達位にはなれているのかも?なんて勘違いを起こしてしまった後になって、嘘でしたー。なんて突き放されたら……まぁ、突き放され経験は豊富だけどさ。
だったらもう面倒だから見破ってやろうじゃないの。
「セミオン殿下は、ナナの手先なのですよね?」
手先って言い方が適切なのかは分からないが、スパイと言って通じなかったらスパイの説明をしないといけなくなるから、省略。
「え?どう言う事だ?」
惚けても無駄だ。
「ナナさんにお伝えください。邪魔はしないので私に関わるな。と」
さぁ、行くが良い。




