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スティアはあまり自己評価が高くない。
寧ろ低いと言っても良い。
その反面、他者に対して優しい。
そんなスティアの事だから、生身の人間を的にした攻撃魔法テストなんてのは最も相性の悪いテスト内容だった筈だ。
それなのに、オレと一緒に1組になるんだと気負い、力を込め過ぎ、的である教師の数倍はあろうかという岩を上空に出現させた。
魔法攻撃に対する防御には備えていたらしい教師だが、岩を頭上から落とされれば、それは物理攻撃。
まさかまさかの、攻撃が教師に当たる前に1組判定を受けたのだった。
こうしてやってきたオレの番。
練習していた顔を水で覆う魔法を使えば間違いなく1組にはなれるのだろうが、我が家の使用人であるスティアがあんなにも派手な技を披露した後にソレでは、物凄く地味に見える事だろう。
一応オレが主人になる訳だから、それは何かとマズイ気がする……執事はこの様子を親父に伝えるのだろうし、スティアの親父も見ているのだから尚の事。
殺傷能力が高そうで、尚且つ派手な……いや、さっきの案で行こう。
氷で作った檻の中に閉じ込め、その檻ごと水で包んでしまえば派手さも魔力も十分に示す事が出来る。その上生きている者は呼吸をしなければ死んでしまうのだから、いくら防御魔法に優れていたって関係ない。
「始め!」
歯切れの良い合図と共に教師を囲むように4本の氷柱を建てると、その柱自体が攻撃だと勘違いをした教師は呆れにも近い表情を浮かべたが、残念でした!
「まだまだぁ!」
今度はその氷柱から枝を伸ばすように氷を伸ばして檻とし、教師を閉じ込める事に成功した。とは言ってもこの時点でもまだ攻撃とは呼べない。
「もういっちょー!」
一瞬、檻の中にも氷を延ばし、中にいる生物を氷の刃でギタギタに……なんて考えが浮かんだが、流石にそれはエゲツナイので止めにして、檻を水で覆った。
呼吸が出来ずにもがく教師は水面を目指して泳ごうとするが、檻があるので指先すら空気に触れる事はない。
このまま水を表面からゆっくりと凍らせてしまえば、恐怖心も煽る事が出来そうだ。
いやいや、これは能力テストなのだから、教師が溺れるまで待ってれば良い筈。明確に攻撃の意思はある事を示す為に微笑みながら教師を眺めておけば間違いない、かな?
ニヤニヤ。
あ、今オレ物凄く悪役令嬢っぽいな。




