これから
夜。
村の片隅で、焚き火が静かに揺れていた。
騒ぎは落ち着き、生き残った村人たちはそれぞれ眠りについている。
「……助かったな」
レオンが、地面に寝転びながら呟く。
「ギリギリだったけどな」
「本当にギリギリよ」
エリシアが小さくため息をつく。
「あと少しでも崩れていたら、終わってたわ」
「……ああ」
否定はできない。
あの戦いを思い出す。
誰か一人でも欠けていたら——負けていた。
「……ユウト」
小さな声。
振り返ると、ルナが座っていた。
「その……ありがとうございました」
「……礼を言うのはこっちだ」
「え?」
「お前がいなかったら、ガレスは死んでた」
「……っ」
ルナが言葉に詰まる。
「だから、胸張っていい」
「……はい」
少しだけ、表情が和らぐ。
「なあ」
レオンが体を起こす。
「これからどうすんだ?」
「ここにずっといるわけにもいかねえだろ」
「……そうだな」
村は助かった。
でも——
(ここじゃ、強くなれない)
直感的にそう思う。
「もっと強くなる必要がある」
静かに言う。
「また同じことが起きたら、次は守れないかもしれない」
「……だな」
レオンが珍しく真面目な顔で頷く。
「じゃあ、どうするの?」
エリシアが聞く。
「レベルを上げる」
短く、答える。
「レベル?」
「さっきの戦いで分かった」
あの感覚。
「俺は強くなってる」
「……なんとなくだけどな」
「なら、そのまま上げていけばいい」
「シンプルね」
「嫌いじゃねえ」
レオンが笑う。
「この近くに、まだ魔物はいるはずだ」
ガレスが口を開く。
「完全に安全とは言えない」
「ちょうどいい」
立ち上がる。
「明日、もう一度戦う」
「は?」
「休んだ方がよくねえか?」
「休むのも必要だ」
レオンを見る。
「でも——止まったら終わる」
少しだけ、間を置いて。
「強くなるチャンスを、逃したくない」
その言葉に、全員が静かになる。
「……分かった」
最初に頷いたのは、ガレスだった。
「付き合おう」
「まあ、いいけど」
レオンも肩をすくめる。
「退屈しなさそうだしな」
「……私は効率よくやりたいわね」
エリシアが小さく笑う。
「……私も、頑張ります」
ルナがぎゅっと杖を握る。
「……よし」
小さく息を吐く。
これでいい。
——次は、もっと上手くやる。
そのために。
——強くなる。




