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今世ではまさかの猫です。〜猫の手も借りたいようなので貸してみた〜  作者: 夢幻望
第一章《人外転生と転生者の出会いと冒険編》
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【57・ジッショク】

 テーブルの上におかずを並べ終わると、それぞれの料理から香る懐かしい感覚に、自然と今までのハイテンションが落ち着いてきた。



「これはスープ? 随分と茶色いな……。」


「これは味噌汁さ。 色々な野菜や魚介をその時々に合わせて入れて食べられる物さね。 味噌という調味料を入れて作るんだ。 いい香りだろう」


「味噌汁……。 この揚げ物は?」


「それは、唐揚げ。 鶏肉を一口大に切って、醤油、ニンニクなど調味料や小麦粉に付けて揚げた物さね。 これも香りが良く揚げたてが美味いのさ」


「ほぉ。 どれも初めて聞く料理です。 アリア殿は食べた事があるのですか?」



 リカルドに料理の説明をしていると、不意に聞かれた言葉。


 食べた事あるに決まってる。 散々、前世で食べてきて慣れ親しんだ味だ。



「……話しに聞いた事があるぐらいさね。 ただ、聞いた限りじゃ、白米と同様美味いらしい」



 話しが落ち着くと、タイミングを見計らったようにリューリが、炊けたご飯を入れた鍋を持ってきた。


 僅かに漏れ香る炊きたてご飯の香り。 元の世界を思い出し懐かしさと共に少し寂しさが胸中に広がり、少しリカルドへの返事が遅れるが気付かれる事は無かった。



「お待たせ! 炊きたてご飯を持って来たよ!」


「待ってましたー!」



 そんな私の気持ちを知ってか知らずかリューリはドンッとテーブルの脇に鍋を置いて蓋を外した。



「はぁー……。 いい香りー……」


「うん……。 上手く炊けて良かったよ」



 私とリューリは炊きたてご飯の香りを肺に入れるように深く吸い込んで顔を見合わせ頷きあった。


 リューリの目元に薄らと光る涙に、私は同じ気持ちを感じたんだと嬉しく思った。


『懐かしいね』


『うん……。 あんなに食べ慣れたご飯がこんなにも懐かしく感じるなんて、なんか寂しい』


『僕もだよ……。 これからもこんな思いする事あるかな』


『あるだろうね。 でも、私達は二人だ。 その気持ちも一緒に分け合って行こうよ』


『うん。 ありがと』


 念話で話しながらも、リューリはご飯を三人分にわけてスープ皿に盛ってそれぞれに渡していた。



「それじゃ、東の国の作法に習って両手を合わせて「いただきます」しようよ!」


「リューリ、それはなんだ?」


「えっと、本を読んだんだよ。 食事をする時の作法で、作ってくれた人への感謝、作物の生命を感謝しながら食する意味を込めてるんだって」


「ほぅ。 変わった作法だが、意味を知ると良い事じゃないか。 分かった。 せっかくだからそれに習おう」



 リューリの説明にリカルドは納得すると、二人は揃って手を合わせ「いただきます」というと食べ始めた。


 私も二人に合わせて、両前足を合わせていただきますしたけど、これ私じゃなくリアルお猫様がやったら絶対可愛かったはず。 見たかった……。



「んんっ! 美味いっ!」


「炊きたてご飯うまぁー……」



 リューリや、いくら何でもしみじみ過ぎる。 素直に驚くリカルドが一緒だからそのリアクションは浮くよ?



「あっつ! た、食べられないっ! このっ! はっ、はふっ! あちちっ! うまっ!」



 そんな二人を他所に私も食べ始めたが、その熱さにヒィヒィしていた。



「えっ?! まだ熱かった?! だ、大丈夫っ?!」


「う"ぅー……。 美味しいのにぃー……」



 舌の熱さに耐えきれず居ると、リューリが慌てて木のお椀に水を入れてくれたので慌てて飲むが、悔しい。 これじゃ、味噌汁も唐揚げも冷まさないと食べられないじゃないか。 人間の時はなんとも無かったし、寧ろ、熱々のが美味しかったのに、猫舌とはまさにこの事だ。



「ど、どう?」


「うん。 ありがとうー…。 でも、美味しいのは間違いないさね」


「それは、良かった。 唐揚げも上手く揚がってるけど、食べられそう?」


「勿論、食べるさね。 冷ましてからね」



 心配そうなリューリに首を振ってると、傍ではリカルドがガツガツとご飯と味噌汁、唐揚げを食べていた。


「んぐっ! この唐揚げも味噌汁も美味いぞ! サクッとしながら溢れ出る肉汁に食べ応えある食感。 そして、間に挟む味噌汁は深い味わいに野菜の旨味がそれぞれ主張しているが、上手く交じわいいい味をしている。 そして、なんと言ってもこのご飯! 噛めば噛むほど、甘みが増して味噌汁も唐揚げ纏めあげ更に食を進ませる!」



 ふっふっふっ……。 そうだろう、そうだろう。 私達二人があれこれと悩みつつ実現した唐揚げ定食! 香の物がないのは仕方ない。


 だがしかし! 一番実現可能が高かったし、単純に美味いのさ!


 そして、私達三人は山ほど作った唐揚げもご飯も味噌汁も、それぞれ綺麗に食べきったのだった。


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― 新着の感想 ―
親子丼かと思ってました!(笑) やっぱり唐揚げが一番人気なのか~
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