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今世ではまさかの猫です。〜猫の手も借りたいようなので貸してみた〜  作者: 夢幻望
第一章《人外転生と転生者の出会いと冒険編》
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【53魔物暴走・決着】

ーーー中級氷魔法『氷雪世界』。

術者を中心に半径100〜400メートル、もしくは前方に居る対象者及び地形を凍らせる。正しく氷の世界を作る魔法であるが、あくまで普通の氷なので、対属性の炎熱魔法には弱い。 水属性の派生。難易度は五段階中三位。


 とまぁ、フェアリアルキャットの記憶辞典にはそう載っていた。 リューリにとっては現在とっておきの魔法であって、タイミング、魔力量、威力共に申し分ない。


 マンティコアは氷つきながらも怒りに任せて、尾のサソリ部分から毒液をリューリ目掛けて飛ばすが、今のリューリには無駄な事。



「っ! アリアっ!」



 魔力で身体強化をして毒液を避けながら私を呼ぶ。



「結界魔法『反射』!」



 私は通常の攻撃を打ち消し対象を守る結界魔法ではなく、跳ね返す結界をリューリに張ると避け切れない毒液は結界に付着する寸前で跳ね返りマンティコアや奴の周囲に飛散する。 意外にも奴は自身の毒には耐性が弱いのだ。


 リューリはそれに目もくれず、臆する事無く距離を詰め続ける。 トドメを刺す為だ。 手には先程まで持っていた杖ではなく、アイテムボックスから引っ張り出したロングソードを手に持ちその剣にも魔力を流す。



「トドメだっ! スキル『剣気』!」



 マンティコアの身体は『氷雪世界』で四肢は凍りつき胴にまで氷が達している。 素早く走り踏み込むとマンティコアの頭上へと高くジャンプして『剣気』を放つ。



ーーーグルギャァァア!!!



 狩られまいと身を捩り避けようとするが、マンティコアの身体は動かない。


 そして、とうとうリューリから放たれた『剣気』がマンティコアの首元を捉え切り落とさんばかりにくい込み、リューリ自身の剣も追い討ちで更に上から体重と勢いを付けて切りかかる。



ーーーザシュッ!!



「ククッ……。 お見事」



 リューリがマンティコアの首を切り落とし無事着地。 一連の動きを見て私は独りごちた。



「はぁっ! はぁっ! はぁっ……! か、勝てた……」



 剣を地面に刺し支えにしながら、片膝を付き荒れた呼吸を整えるリューリもまた一人で勝利した事を噛み締めた。


 私は、リューリの成長を嬉しく感じ、側に近づくとヨシヨシと頭を前足で撫で慰めたのだった。



「リューリ! 無事か?!」



 細かな傷を私が治癒魔法で治しつつ、リューリ自身はアイテムボックスから取り出したマジックポーションを飲んでいると、スキンヘッドのおっさんが身の丈以上のばかでかい斧を片手に駆け寄って来て、リューリの姿を見て安堵の息を吐いた。



「はぁー…。 コア持ちとお前が戦闘に入ったと聞いて焦ったが、勝ったみたいだな」


「はい……。 アリアのおかげでなんとかなりましたぁ」


「なに、言ってんだい。 私はほんの少しだけしか手助けしてないよ。 後はお前自身が今まで鍛錬を怠らず頑張ってきた結果さね」



 疲れきった様子のリューリを褒めると、照れたように赤くなりながらも笑みを浮かべる姿は可愛いの一言に尽きる!



「よーし! お前の活躍を祝いたいが、魔物の残党を狩ってしまうぞ!」


「ォオーッ!!」



 おっさんが一際大きく声を張り上げ吠えるように魔物共を見ながら声をかければ、それを聞いていた冒険者や兵士達も士気を上げて声を張り上げ魔物共との戦闘に入っていった。



「僕達も殲滅に行くよ!」


「ちょいとお待ち。 リューリはまだ、魔力が回復しきってないだろう。 従魔らしく働くとするかねぇ」



 私は身体を震わせ右脚を舐めては、リューリを背に庇い立ち向かってくる統率を失い有象無象となった魔物共を見据えた。


読んで下さった方々、ありがとうございます!


稚拙な文章で読みにくかったり、誤字脱字があったりすると思いますが、温かーく、優しーく見守ってくださいませ(笑)


★評価、いいね、感想など良かったらお願いします!


少ないですが、番外編も合わせてどうぞ!

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