【46・オウキュウ】
次の日、鳥のさえずりを聴きながらリューリとリカルドが持ってきた朝食を皆で囲んで食べると、私は1人になり米糠を取るために魔法でどうにか出来ないかとたまに風魔法を弱く使いながら思考を巡らせていた。
今頃、リューリとリカルドは王宮に行くために正装をしている頃である。
「ふむ………。擦り合わせて取るって事は分かった。そうなると風の刃を弱くしてそれを結界で囲んでかくはんさせるのは?玄米を切らないように弱くでもかくはんさせるためには無数に出さないと……思ったより難しいねぇ」
目の前に正方形の結界を貼りその中に風の刃を入れて閉じ込めやってみるが、以外と難しい。
なんせ、魔力の加減を間違えると一緒に入れた花までボロボロに切ってしまうし、かといって弱くすると切るどころか傷一つ付けずに消えてしまう。風じゃなく違うのがいいのかなぁ。
「石を入れてみる?いやいや……。んー……」
そんなふうに悩んでいると、足音が聞こえた。
「アリア。王宮から迎えが来たよ」
「おや、もうそんな時間かい。って、ずいぶんと変わるもんだねぇ」
「僕としては、初めて着るけど、硬っ苦しいからあまり着たくないね」
苦笑いをしながら姿を見せたリューリの姿は正しく小さな騎士だ。かっこいいではなく、可愛いと思ってしまった私は悪くない。
「何言ってんだい。似合ってるじゃないか。是非とも、イケメンに襲われてよ」
「素が恐いよっ?!なに、言っての?!」
「おっと、いけないいけない」
どうも、口が緩い。片手前脚で口元を抑え謝るが、疑り深い目を向けてくる。すると、リカルドが私たちを呼びに来たが、その姿がまたイイ。かっこいいのだ。似合ってるというレベルじゃなく騎士だ。冒険者の姿も有りだが、これはこれで、乙女ゲームに出てきてもおかしくない。
「二人とも、使者が待っている。行くぞ?」
リカルドに急かされ表に出ると、この前の宰相さんと行者にやたらとキラキラした馬車が待ち構えていた。
『うわー……。流石、王宮の馬車。派手じゃない?』
『ははっ……。うん。恥ずかしいんだけど』
馬車を見て思わず念話でそう話をしてしまった。
「わざわざ、迎えに来て下さりありがとうございます」
「いえいえ。大切なお客様ですからな。ただ、フェアリアルキャット様が乗れないのが、申し訳ない」
「いえ。それならご心配なく。リューリ。」
乗らなくて済むように大型肉食の猫科、つまり、ライオンサイズになっていたのに、リカルドはリューリを呼び、それに頷いたリューリは私を見てきた。
「アリア、申し訳ないけど、いつもの小さいサイズになって?」
「……後ろから付いて行くのじゃダメなのかい?」
嫌そうに私は顔をしかめて小さくなるのを渋ると、リューリは苦笑いをしながら私の顎下を撫でてきた。
あー……。そこ、そこをカリカリされると気持ちいい。
「うーん。それだと、王宮の前に居る門でまた止められる可能性があるんだ。……お願い?」
「グルルル……。ヘレンちゃんの手つきを覚えたね?はぁー……。仕方ない」
このカリカリ加減はヘレンちゃんの手つきに似てる。おのれぇ、リューリの癖に生意気な。そう思いつつも、埒があかない為、仕方なく変身スキルでいつものように小さくなった。
「おぉ……。そのようなお姿にまでなれるんですね。それならば、馬車の中に乗れるでしょう」
感心したような宰相さんの言葉にふいっと顔を逸らして前脚で顔を洗う。あくまでも、私はリューリのお願いを聞いたのだ。悪いが、宰相さんの為ではない。
「すみません」
代わりに宰相さんへリカルドが謝ると、私を抱き上げる。
「いえいえ。気にしてませんよ。坊やの言う事は良く聞くのが、わかりましたから。さぁ、立ち話もなんですし、王も皆さんをお待ちです。行きましょう」
宰相さんはそう言うと馬車に乗り、次にリューリ。最後に私を抱えたリカルドが順々に乗ると、一路馬車は王宮へと走り出した。
しばらくして見えて来た王宮はフランスとかにありそうな城だった。でかい。ただ、古びた様子は無く、白亜の城って感じで綺麗。
『ほぅー……。魔法陣が描かれてるねぇ。ふむ、魔素の感じからして結界と攻撃の陣だねぇ』
『どこ?』
『あの辺だよ。結界の陣は王都に入る際の壁面にもあったが、王宮に近いこちらの方がより強力だ。恐らく、城単体となればより強力な陣が貼られてるよ。まぁ、私の勘だけどね。どちらの陣も非常事態が発生した時用のさ』
『そんな事までわかるの?』
『ふん。私だからわかるのさ。まぁ、どんな陣だろうが私には関係ないさね。だから、もしもの時は安心しな』
『物騒な安心をありがとうねっ!』
私達は窓から見える景色を見て王宮に近いているとわかると念話で話をした。なんで、普通に話さないのかって?そんなの、国防に関わる事をあっさりと話してたら危険と思ったからだ。
なので、見た目は二人揃ってお城に興味津々と装っている。
門をくぐり抜け、少し走ると馬車は止まった。
「さぁ、着きましたよ」
促され宰相さんの後を追って降りると、兵士や使用人などが並び出迎えた。
えっ……。騎士爵を迎えるには大袈裟過ぎるって。え?なにこれ?
リカルドもリューリもこの仰々しさには引いたのか、固まってしまった。
読んで下さった方々、ありがとうございます!
稚拙な文章で読みにくかったり、誤字脱字があったりすると思いますが、温かーく、優しーく見守ってくださいませ(笑)
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