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67 青春惨禍

 目を覚まして、5分と経たずにカンナさんがやってきました。


「気が付かれた主殿?」


 最悪な気分ですけどね…


「そうか、とりあえず、主殿にこれを」


 これは?


「『朱雀牌』です」


 ということは、『青龍牌』と同じものですか?


「そうともいえるが……この牌には主殿の武魂も封印されておる」


 つまり、鵬天(ほうてん)が……


「どの様なことに、なるかは、わからないので注意されよ」


 そう……ですか……


「なにか?」


 少し昔話に付き合ってもらってもいいですか?


「……かまいませんが?」


 そうですね……あれは27年前くらいでしょうか…


 当時、わたしには二人の仲間がいました。一人はヘイ・フウ。中華連邦の安徽(あんき)省、上海からの留学生。もう一人は、赤土沙月(あかつちさつき)


 最初は、なんとなく気が合ったフウとの二人で、多くのダンジョンを巡りました。この頃のわたしは、一つのユニークスキルをもっていたんです。


「ゆにーくすきるですか?」


 はい、スキル【降龍】。龍の力を身に宿すことができるスキルでした。


「……もしや、主殿の【龍天武功】の招式は」


 察しのとおり、昔を思い出して、作り上げました。


 本当に、本当に、あの頃は楽しかったんですよ。フウは陽気で好奇心が強くて、飄々としているくせに、どこか負けず嫌いで……『獣身丹』といって獣の姿に変身する丹薬を創るだす天才でした。


 そんなフウが連れてきたのが、彼女、赤土沙月でした。彼女は天才も天才。なんでもできる天才でした。容姿端麗才色兼備とは彼女の為の言葉だと思えたほどに。そして、彼女が加わってからは更に破竹の勢いで、わたしたちは頭角を現し、同世代なら五指に入るチームとなっていました。


 天狗になっていたのだとは、思いますが、間違いなく強かったとは思います。


 だから、起きたのですかね。


 A級ダンジョン「鵬翼殿」


 わたしたち、三人が最後に挑むことになったダンジョンでした。


 その最奥にいたのは、金色(こんじき)の巨大な鳥人。激闘の末に瀕死へと追い込み……そこで彼女に裏切られました。沙月のスキルは【強制徴収】は奪う相手に【強制徴収】のスキルの説明、対象となるスキルの使用を見ていること、スキル名が分かっていること、スキルの効果をはっきりと認識していること、信頼関係ができていることで相手のスキル一つを奪うことができるスキルでした。


「それで、奪われたと」


 はい。そして、それにフウは協力をしていました。理由はわかりませんが……


 そして、なぜ私の中にダンジョンボスを封印したのか……それもわかりません……


「そう……ですか」


 その後は、後遺症で2年ほど寝込んで、時代から取り残されて感じです。


 すみません。いろいろと愚痴になってしまいましたね。


「いえ、それでよく立ち直られた」


 そうですね……本当に、母とそれと、以前の会社の社長や織田さんや鬼柳さんのおかげですね……なので、恨みはそんなにないんですよ。フウに対しては、ただ、なぜあんな事をしたのか……それが知りたいとは思いますが……


「そうか……」


 本当に……フウ。君がなぜあんなことをしたのか知りたいよ。



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