閑話 神官の本性 前編
今回からリムル視点の閑話となります。
ちょうど神殿で何処かに連れていかれた後ですね。
あと一回だけ閑話を入れてから本編に戻ります。
(まあ本編に結構関わる話だけど…)
(*6/8、修正をしました。)
私はリムル・ライガンフォール
今日の成人の儀式で私がSランク職業、剣聖持ちだということが分かった。
ああ。どうしよう。困った事になった。
私は今、罪悪感に縛り付けらけている。
そして私は巫女に連れられて何処かに向かった。
しばらく歩いていくと、巫女が私に
「こちらでお待ちください。」と言って一礼をして去っていった。
私は立っているわけもいかず一応部屋に入って待つ事にした。
「ごめんなさいラント……!一緒に冒険者になるって約束したのに……!」
勝手にそう声が漏れてしまった。
そして次に出てきたのは……涙だった。
今後私は自分の職業を恨み続けることになるだろう。
ラントはこの一生決め方をおかしいといった。
私はそれを肯定したが、この仕組みを変えられない、と嘆くのみだった。しかしこの仕組みは何よりも変えなければならない。私の幼馴染、ラントの今後の人生を奪ったに等しいのだから。
こんなことを考えるくらいだからやっぱり私には剣聖なんて向いていないと思う。
何より私が頑張っていられたのはラントのおかげだ。
いつも虐められて悪魔の子と呼ばれ続けて
挙げ句の果てには誘拐まがいのやり方で白の病院に入れようとしたものが出てくる程だ。
白の病院とは、一般的には精神病院と呼ばれる所である。しかしそこはもっと酷く、看護師や医師が患者に暴力を振るうのが日常茶飯事なのだ。
しかもそこに入っているものの大半は家族に捨てられたり、誘拐されたりしたものである。
私は幼かったため白の病院の恐ろしさがよく分からなかったが、このことに関しては私は今でも犯人を許せない。
私がラントとの様々な思い出を懐かしく思っていると、先程の神官が部屋に入ってきた。
「失礼します、クッキーです。お口に合うかわかりませんがどうぞ」と言って私にクッキーを勧めてきた。
私はこういう時に遠慮ができない性格もあり、
「ええ。いただきます。」と言ってクッキーに手をつけていた。
私は知らなかった。この迂闊さで後悔をすることを…
そしてしばらく何気ない世間話だったのだが、
ついに神官が本題を切り出してきた。
「えー…Sランク剣聖のリムル様。どうか貴女のお力を貸して頂きたいのです」
「……どのような件でしょうか」
私がそう聞き返すと、神官はこう言った。
「実はですね…我らの屋敷に入り込んでいるネズミを退治して欲しいのです」
私は知っている。この言葉の意味を。
我らの屋敷というのは神殿のことだ。
そして入り込んでいるネズミというのは
この神官が快く思っていない別の神官の事だろう。
……つまり、私にその人を殺せ。と言っているのだ。
私は当然そのような事をする気はないので
お断りします、といった。すると神官が
「そう言うと思ってね、このクッキーを置いておいたんだ!」
急に神官の口調が変わり、そう言って私の前でクッキーに解毒薬をかけて見せた。するとみるみるうちにモヤが現れ、泡のようになって弾けた。
「驚いたかい?これはね、特殊な衰弱剤でワイバーンにも効いちゃうんだよ」
「一一一一!」
私が助けを呼ぼうとするが、声が出ない。
どうやらもう薬が身体中に回っていたようだ。
「君は絶対にボクのものにしてみせるよ…!
リ・ム・ルちゃん!」
神官がそう言ったのを聞いたのを最後に、私の意識は途絶えた。
【最後に】
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