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ダッカ中心街へ

翌朝。いよいよダッカ中心街に移動する。この国では交通機関が心配だが、だからこそ楽しみでもある。バスで行く手もあるのだろうが、まだ全く不案内なので、とりあえず行きは列車を使う事にする。もちろん、リキシャやタクシーもあるが、現地の電車・バスに乗るのは海外旅行の醍醐味だ。

エアポート駅は郊外の駅と言う感じで駅舎もさほど大きくはない。ごったがえすような窓口を想像していたが、並んでいる人は少なく、意外と順当に切符を購入できた。15kmほどで60円と安い。乗れる列車と乗れない列車があるのだろうが、良く分からないので最初に来た列車に乗ってみた。「Intercity」と書いてあったので急行かもしれない。座れずに立っていた。しかし、さほど混雑はしていない。よくテレビなどで、列車の側面も屋根も人が鈴なりになっている光景を見るが、そんなに酷くない。ただ、ドアはやはり開けっ放しで、動き出してからも人は乗って来る。最後は2人の少年が飛び乗ってきて、一人はドアのところに腰かけてずっと外を見ていた。ボロボロの服装からは貧しさが窺える。

バスもそうだが、車内は人間模様だ。大きな荷物の人、物を売りに来る人、演説?を始める人、などなど。そういえば、ヨーロッパの列車でも突然乗ってきて、一しきり大道芸をやってお金を集めている若者を見た事があるが、車内で何も起きないのは日本くらいなのかもしれない。尤も、昨今は皆さんスマホに熱心なので、車内を物売りが通り過ぎても、芸人が横切っても、トトロがいても、ゴジラが歩いて行っても、気づかないかもしれない。そうそう、成田空港に行く京成電車の中では、これから帰国する風の外国人が多く乗っている訳だが、ずっとスマホをいじっている。飛行機などの確認をしているのかもしれないが、勿体ない。なにげない風景とはいえ、離国前に見る最後の美しい日本の田園風景だ。私なら、ボーと車窓を眺めているに違いない。

ダッカの中央駅は立派だった。日本の駅のようにややこしい立体構造ではなく、単純で平板な造りなので分かり易い。しかし、表示の多くはベンガル語なのでさっぱり分からない。ところで、旅行中に試してみてその威力に驚いたのだが、写真に撮ったものをグーグルレンズで翻訳する方法だ。しかも、ベンガル語だと自動認識する。訳もかなりちゃんとしている。まさに驚異だ。少しまともな構えの飲食店には入口にメニューの看板を掲げているが、これも一発で翻訳してくれる。「チキンライス 20タカ」といった具合に。でも、こんな便利なものが無い頃から暗中模索で海外旅行をしてきた小生としては、やはり「なんだかなー」という思いに駆られる。とはいえ、昨今では海外旅行もネットを駆使して準備するので、どっぷりITのお世話になってるのだが。

中央駅を出ると、そこは大都会だ。空港の時よりもさらに騒々しい雑踏の中に投げ出される。バングラ2日目の私は、昨日よりは落ち着いていた。気候が良いので助かっている。これが夏の最中であれば街歩きどころではないかもしれない。

さて、今日泊るホテルを探そう。今日の宿泊までは日本で予約して来た。駅から15分ほどで歩けるはずだ。右へ左へ道を曲がっているうちに、早速どこにいるのか分からなくなった。そこで、グーグル先生の登場。これも以前なかったものだが、国内外を問わずすっかりお世話になってしまっている。GPSの出始めの頃は、このような軍事目的で開発されたシステムなんか使ってたまるか、と息巻いていたが、悲しいかなあっさりとその便利さに負けてしまった。小生、山歩きもするのだが、山でのGPSは無くてはならないものになっている。「便利なものは使えばいいじゃん」と割り切ってはいるが、少しだけ吹っ切れないものを感じている。

先日テレビで、とある冒険家の話しを聞いた。地図無しで山を歩くという。自ずから自然との深い一体感が得られるという。奇人、変人の部類かもしれないが、この冒険家の言う事には共感できるものがある。例えば、雪山を歩く時、道などない。目的のルートはあるが、自分で道を作っていく。少しくらい遠回りしても構わないし、歩きやすい所を選んで歩けばいい。これには開放感がある。予め付けられた道を辿るのとは違い、自由だ。その分、慎重にルートを見極めるので、ちょっとした斜面の起伏、尾根、谷、などをきちっと把握しながら進む。自ずから、より自然と一体化する事になる。

それにしても大気汚染が酷い。空港地区も良くなかったが、さらに悪い。臭いで分かるのだが、車の排気ガスだけでなく、竈での煮炊きの煙も混じっている。確かに、路地裏の住宅や、お店では土で作ったような竈で煮炊きをしている。このままでは早晩、鼻や喉をやられてしまいそうだ。そう思いながら、ホテルへの歩を進めた。

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