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お茶どう?

バングラを歩いていると、色々と声を掛けられる。外国人という珍しさもあるだろう。実際、年末年始の旅行シーズンなのに外国人をとんと見ない。とても少ない。周りはバングラ人ばかりだ。かつて、日本に来た欧米人が、「日本人ばかりだ」と言ったらしいが、そんな感じだ。

単に挨拶で、ハローとか、どこから来た?、なんてのが多い。元気に明るく声を掛けて来る。子供達もだ。でも大抵はくだんのスーパーの店員と同様、何か聞こうとすると英語が通じない事が多い。しかし、中には「インテリ」な人間もいるようで、そういう人達も話しかけて来る事がある。英語を使ういい機会、と思っているのか、自分のインテリ度を見せびらかそうとしているのかは分からない。しばし会話をした後、意外にもお茶に誘われることがある。

「ちょっと、お茶どう?」

他の国なら、怪しい客引きだったりする事もある。以前マレーシアで、自宅に招いてご飯でも、などと言って実はカジノでイカサマの共謀に誘おうとしていた、という事があった。バングラではこういう事は少ないようだ。もちろん、良い人も居れば、悪い人も居る。

お茶屋さんは至る所にある。どんな田舎町でもある。数分歩けば見つかる事が多い。湯沸かしとお茶道具があれば簡単にできる商売のようだ。大抵は何人か座れるベンチがこさえてある。1杯15円から20円くらいと安い。インドのチャイと同じく、砂糖とミルクたっぷりだ。こちらではチャーと呼ぶ。予め言えば砂糖は抜いてくれる。ミルクの代わりに生姜を入れたお茶もあり、こちらもおいしい。ミルクは意外にも生乳ではなく、粉ミルクを使っている店が多い。砂糖と粉ミルクを入れて盛大に掻き混ぜて作る。粉の方が扱いが簡単なのだろう。味は良い。そういえばスーパーでも、粉ミルクの棚は妙に充実していて、色々な商品が並んでいたように思う。

お茶は取っ手の付いた小さなガラスコップに入って出て来る。量は少なく、エスプレッソでもいただくような感じだ。イスラム国家なので、基本的にお酒は禁止だ。いきおいお茶文化になる。でも、不思議とコーヒー文化は無いようだ。コーヒーは売っていてもほとんどインスタントで、コーヒーを嗜むという慣習は見受けられない。

誘ってくれた「文化人」は、お茶を奢ってくれた。バングラで奢ってもらえるなんて思ってもいなかったから、驚きでもあり、嬉しかった。なんだか親しくなったような気になる。暫し世間話などした後、ではさようなら、という事になる。そんな事が何回かあった。バングラの事を色々と知ることができて楽しい。

お茶だけではなく、ごはんを奢られたこともあった。ある食堂で同席して話しをした人だ。ただ、何故か全額ではなく、金額の一部だけ出してくれた。

一日中街歩きをして、食事や買い物をする間に、時折こんなバングラ人との交流に出会うので飽きない。日本に一人でいる時よりも人と会話をしているかもしれない。欧米的な「気さくさ」とは微妙に違うが、人と人との距離が近い。人口が多いので、もちろん物理的にも近いが。「三尺下がって師の影を云々」とか「親しき中にも云々」という国とは対照的だ。バスの中でも、私の座っている目の前に身を乗り出して話したり、窓の外を見たりする。勝手に私のスマホを取り上げて写真を撮ったりする。人との「接触」を気にしていないようだ。昔の韓国で同じような体験をしたのを思い出す。ダッカに向かう飛行機の中では、日本で事業をしているという隣席のバングラ人が、良かったらウチに来てもいいよ、と言っていた。共通して言えるのは、良くも悪くも、余り人を疑わない、距離を置かない、普通のノリで接してくれるという感じだ。だから、他者との間合いや視線、言葉遣いなどを気遣う必要が無く、とってもお気楽だ。日本は何かと以心伝心的でややこしいので、疲れる事が多い。ちょっとパラドックス的だが、日本で人とのごちゃごちゃにウンザリしてきたら、最高に人とごちゃごちゃできるバングラでリフレッシュするのがいい。お奨めする。

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