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どうして僕なんかに

「あなたはトップから、普通の生活を送りながら、ある一定の人達を自分の前に連れてくるように、とトップに言われた。その一定の人達を連れてくることに成功すれば、自由にしてやるとも言われたのね。トップの目的も、人を連れてくる理由も何も知らされずに。そして貴方はそれを実行した……」

 頭を抱えているソラの後ろに背を向けて立っていたカルサイトは、ソラの方へ振り返る。一方ソラは頭をかかえて目を見開いていた。

「お話はそろそろ終わるから安心して」

 カルサイトは冷たくそう言い、話しを続ける。

「失踪事件に関与した貴方は一定の人達を巻き込んだから、トップが最初に言ったとおりに自由にしてもらったのね。……今までやっていた失踪事件の記憶を消されて」

「…………思い、出してきました」

 今まで頭を抱えていたソラはカルサイトの顔をしっかりと見た。

「記憶を消される前、僕はあと一人を巻き込んだら自由にしてくれるとトップから言われた……そしてその最後の一人は……」

「そう、私ね」

 カルサイトは少しだけ笑みを見せた。

 ソラはだんだん消されていたはずの記憶を鮮明に思い出してきていた。あの夜、黒いフード付きのマントをはおり、仮面で顔を覆って金色に輝くバトンのような武器をカルサイトに突きつけて彼女を消した。

「そうだ、僕はカルサイト先輩を消した後……トップに記憶を消されて……失踪事件に関与していたときも、そうではなくなった後もそのまま何も知らない顔で学校に通って……」

 ソラの声がだんだん小さくなっていく。そしてソラは崩れ落ちるように手を地面につけ「馬鹿だ、僕」とぽつりこぼした。その様子を見てもカルサイトは表情一つ変えない。少し考える仕草をしたと思うと、ソラの目線に合わせてしゃがみ、こう言った。

「罪の意識は、ある?」

 自分を消したソラを憎んでいるのか、よくわからない音色で問いかける。ソラは力なく「はい」と答えた。そしてソラの目にはいつの間にか涙は一筋通り、カルサイトを見た。

「僕……出頭します」

 カルサイトの表情が少しだけ変わった。だがすぐに無表情に戻った。

「出頭して、罪を償います。……そうしたほうがいいと思ったんです」

「それはまだはやいんじゃないかしら」

「どういうことですか?」

 ソラの震えている声にカルサイトはそう返した。カルサイトは初めて笑ってこう言った。

「私もそろそろ限界なのよ」

「カルサイト先輩も出頭するんですか?」

「出頭はもうちょっと後。ねぇ、ソラ……私と一緒にトップを捕まえない?失踪事件に巻き込まれたふりをして、ね」

 ちょっといけない考えかしら。そう言いながらカルサイトはソラに近づき「どうかしら?」と言ってソラの手を取る。ソラは泣き笑いのような顔をして「上手くいくようにがんばります」と言った。

「最後に一つ聞いてもいいですか?」

 ソラが問う。その言葉にカルサイトは「なぁに?」と笑って言う。

「さっきも言ったと思うんですけど、どんなきっかけで僕の行動を知る機会があったんですか?やっぱりトップですか?」

 冷静になったソラは、素朴に思っていたことを聞く。カルサイトは「ああ」と言う。

「そうね、トップかしら。詳しく言うとトップの書類を勝手にみちゃったのもあるのだけれどね。……本当は見てはいけないものなんでしょうけど……そこらへんに放置しておくのが悪いわ」

「書類?」

「ええ、書類。今までの関係者は全部リストになっているの。誰が何人失踪させたとか、能力とかね」

「そうだったんですか……」

「じゃあ、いくわね」

 ソラは頷いた。そして部屋が轟音と共に一瞬光ったと思うと、ソラはカルサイトの電撃を受けて倒れ、少しづつその体が透き通るようになって、消えた。カルサイトはソラが消えたことを確認すると、マントを翻して部屋から消えようとして動きが止まった。

「電撃の……跡」

 カルサイトは出入り口に目をやる。するとそこにはヴィオラとコーベライト、それにアマがおり、三人はショックを受けたような様子で見ていた。

 この場所から聞こえた音を聞いて駆けつけたのだろう。だが、駆け付けた時にはソラはおらず、代わりにソラの帽子と消えた証拠の電撃の跡だけが残り、他には何もなかった。

「ソラ先輩……?」

「あら、ソラの友達?」

 カルサイトは意地悪そうに言うと、コーベライトを見つめ、次にヴィオラを見た。

「金髪のあなたは、光の証が護ってくれたようね」

「どういう意味?」

 焦りと不安で悲しそうな声になる。聞いたところで何もないと思われるが、コーベライトは先ほどのカルサイトの口から出た単語について聞いておきたかった。

「光の証。それは勇気のある人だけが持つことができる印よ。時折主人を護ってくれる」

 アマは光の証のことは聞かされていなかったらしく、二人に「つけたの?光の証」と小声で聞く。二人は小さく頷いた・

「カルサイト……何故こんなことをしているの?」

 アマは悲しそうな表情で言った。カルサイトは「お久しぶりです」とだけ言う。そしてヴィオラに向かって「あなたはまだ光の証を持っているのね。……気をつけるようにと、警告だけはしておくわ」と言って彼女は消えた。

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