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第11話 援軍は来ない?

 まるで映画のスパイのようである。


 ビルの角から顔を覗かせ周囲を警戒。安全を確認した浦賀が他3人に指示を送る。それぞれ役割を持って後方や左右も警戒しながら着実に駅を目指す。


 もう市街地であるが、これほどの都市部に関わらずまったくと言っていいほど人気がない。ビルの窓は割れ、車は乗り捨てられている。もはやゴーストタウンというべきであろうか。


「ここがこんなに静かなんて……」


 何度か来たことがある場所なだけに、浦賀にとってもこれほどの光景は異様だ。人の少ない深夜でももう少し騒がしさがあるだろう。


「駅はもう少し?」


「うん。そろそろ見えてくるはずだけど……」


 水波の問いに、警戒心を緩めずに答える浦賀。


 そうしていると廃ビルの隙間から本当に駅舎が視界に入ってきた。とてもきれいなはずの都市部の駅ビルは、ガラスが割れ、ところどころ爆撃を受けたようにえぐれている。大地震の後でももう少しきれいな姿をしているのではないだろうか。


「音は……しないな。味方はともかく敵もいないなんて」


 さらに浦賀は駅前のバスターミナルを見渡す。燃えたのであろう路線バスの姿などが見えるが、やはりそこにも人影はない。


「敷島さん」


「ん?」


 そこで葛城が敷島に問う。


「これほどこのあたりに敵がいないってことは、それだけ敵は前線にいるのでしょうか?」


「う~ん。まだ相手の戦略も正体も分からないからどうとも言えないけど、自衛隊が来れないってことはそうなんだろうなぁ」


「じゃあ、飛行機や船だとかでこっちに来れないんですかねぇ? 内側ってスカスカなんですよね?」


 葛城の言うことももっともだ。もし敵が最前線に集まり内陸がスカスカなら、空挺強襲なり、そうでなくとも生き残っている飛行場への着陸などで部隊を送り込めばいい。もしくは海からの強襲上陸という手段もある。浦賀たちは陸路でなくてはこの九州から脱出できないが、自衛隊はそれ以外にも九州に乗り込むことは可能なのだ。しかし、


「制空権や制海権を取れてたら、ね」


「と、言いますと?」


「部隊を送り込もうとしても、飛行機や船が落とされたら無理。仮に一時的にそれができても、補給が続かないしね。補給が続く現在ですら前線を押し返せてないみたいなのに」


「そんなに敵が強いんですか……米軍でも難しいのでしょうか?」


「そもそも米軍が来てるのかすら怪しいけど。世界中、火中の栗は日本に拾わせたいだろうし。日本にとっても下手に他国に援軍を求めるのも憚られるだろうし」


「なんでですか? 援軍なら頼んだ方が……」


「核兵器が叩き込まれても?」


 その一言に葛城も黙り込んでしまう。


 まさか他国を招き入れたばかりに核兵器が日本に落ちるなんてことは考えられないだろう。しかしこれだけの膠着した状況を打破する破壊力を持つものは核兵器以外に考えられないというのも事実だ。もっとも、空が奪われた状態で核兵器が落とせるのかという疑問はあるが。


「日本へのミッションだわな。自力でこの危機を乗り切れるか。っていう」


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