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二百二十九

 タドガーがテーブルの上に置いた水晶球。どうやらコレは映像を投影するする為の道具の様で、映し出された映像に驚きを隠す事など出来なかった。


「んんぅ、良い表情(かお)してますよ」

「ま、まさか……ここって……」


 見覚えのあるベッドにテーブル。そしてクローゼット。映し出された映像は、紛う事なく私の部屋だった。


「そんな、まさか……遠視封じの結界が在る筈なのに……」


 以前、誰かから盗撮されている事を看破したリリーカさんが、盗撮されない様に結界を施してくれた。それなのに……


「ええ、アレは強引に破ると掛けた術者に分かってしまいますからね。だから苦労したんですよ」


 映し出されている映像にはやたらとローアングルが多く、スカートの中も丸見え。その他は私の顔のドアップなどもあった。


「まさか……まさか……」

「やっと気付きましたか。あなたに預けてある『リンクス』。その眼球に、仕掛けてあるんですよ」


 タドガーは人差し指で、自身のこめかみをトントン。と叩いた。


「遠見では気付かれ防がれる結界であっても、記録型の魔道具ならばその心配もありません」


 『にぃちゃん』が行方不明の時に、裏路地でコイツと出会ったのは偶然じゃなかったんだ。『にぃちゃん』に仕掛けた魔導具の記録を吸い出して私の元に戻す所だったのか。


 『にぃちゃん』はネズミでも発動する様なトラップだらけの敷地内に入り込んだんじゃ無い。コイツに連れられて入ったんだ。コイツが『にぃちゃん』の本当の飼い主……。どうりで捜索願が出されない筈だ。


「何故ここまでするのか……? そう疑問に思われた筈。それは、冒険者でも無い女が週一で鉱物を持ち込む。そう報告を受けた事が全ての始まりでした」

「え……?」


 ま、まさかそれって……


「おや? これは知りませんでしたか? 民衆派の貴族を謳う『イクテュエス』も、別に貴女の味方って訳では無いのですよ?」


 なんて事だ……私のやってた事は全部コイツに筒抜けだったのか……


「そしてある日、今度は金鉱を持ち込んだというじゃないですか。それで私は調査をする事にしました。貴女が鉱物を何処から手に入れてくるのか、をね。もしそれが盗品であるのなら、法の裁きを受けさせる為に」


 捕らえられた盗賊は、その場で首を刎ねられても文句は言えない。物品にしろ命にしろ、人のモノを奪うという事はそれだけ重い罪となる。


「証拠が揃えば、スグにでも首を刎ねるつもりでいたのですが……コレを見て、気が変わりました」


 水晶球から映し出された映像は、相変わらずローアングルから撮られた『にぃちゃん』視点の映像。ベッドの床が見えている事から、恐らくはベッドの下に隠れているのだろう。そして、玄関にほど近いドアを開けて出て来た私は、真っ赤に染まる鉱物を持っていた――

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