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二百十八

「ところでコレ、本当に渡さなきゃダメ?」


 壮大な無駄話もそこそこに過ぎた頃、マリエッタ王女が元の話を蒸し返す。


「ええ、渡さずにいたら根掘り葉掘りネチッこく聞かれるのは目に見えていますし、宝石(エサ)を与えておけば大人しくなるでしょう」

「そっかー」


 マリエッタ王女は困った顔で後ろ頭を掻いた。


「何か問題でもありましたか?」

「そりゃ問題も問題、大問題。アイツの性格がねぇ……」


 ああ、叱咤されてゾクゾクゥってきちゃう変態さんだったっけ。四位五位のマダム達は宝石の魔力の虜になってタッグを組んだ様だけど、王女は毛嫌いしているんだね。


「誰かに変わって欲しいなー……」


 チラリ。と横目で見つめる王女。その先にはリリーカさんが居た。


「わ、(わたくし)も遠慮しますっ」

「こんなに頼んでいるのに……?」


 横目で見ているだけで頼んでないじゃないか。その後、隣に居たルリさんがビクッ。てした所を見ると、次はルリさんを見つめているらしい。


「えっ、私?! 私はホラ、カナさんの身体を開発しなきゃならないから……」


 おおいっ、言い方っ!


「それに、しがない冒険者にそんな大役務まる筈がありません」

「ハァ……それもそうよね。冒険者に任せる訳にもいかないか……」


 今会ったばかりの人に任せる方がどうかしてる。


「良いわ。コレは私が責任持って届け…………ないとダメ?」


 美幼女化してもダメですって。


「はい。マリー様以外の誰にも出来ませんので、宜しくお願いします」

「んじゃあ、仕方ないから渡しておくわ。ところで……」


 渋々了承してくれた王女は、ルリさんに向き直る。


「お姉ちゃんの身体の開発について詳しく」


 聞かんでいいっ! その後私が訓練を再開しても二人は庭の隅でコソコソと何かを話し続け、(かん)八位のウォルハイマーさんが大慌てて迎えに来た所で、満足げな表情をしながら王女は帰っていった。余計な事吹き込んでないだろうな……




 木剣を頭上に振り上げて右足を前に出してから振り下ろす。そしてまた振り上げ、今度は左足を後ろに下げて木剣を振り下ろす。見様見真似だけど、元の世界で剣道部がこんな練習をしているのを見た事がある。剣術。と聞いてパッと頭に浮かんだ風景だ。


「グレイ様、何かおかしくないですか……?」

「キミは魔導士なのによく気が付いたな」


 えっ?! 私のやり方間違っているの?!


「ええ、知り合いに剣士が居るものですから」

「なるほどな。カナ君、ちょっと良いかな? ……どうした?」

「……え? あ、いや。何でもないです」


 そのカナ君っての、もう一回お願いしても良いですか?


「カナ君は――」


 はうっ! その言い方キュンキュン来るぅ……


「――そのやり方何処で覚えた?」

「へ?」


 ジッと見つめるオジサマとルリさんに心の中では汗が滝の様に落ちていた。コレ、言っても信じて貰えないよね。

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