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百十二

「こちらが、ユリア=リブラ=ユーリウス様よりお預かりした品物を納めている倉庫になります。鍵を柱の穴に入れ、左へ回して下さい」


 リリーカさんではなく、何故かマリエッタ王女が鍵を柱の穴に差し込んで左へ回すと、ゴンゴンゴン。と、音を立てて鉄製と思しき扉が床へと沈んでいった。ってかおばさま、ユリアって名前だったのか!?


「そういえばルレイルさん。さっきイクテュエスって呼ばれてなかった?」

「ルレイル=イクテュエス=パーソンズ。それが彼の名前よ」

「なっ!」


 ラストネームかと思いきや、まさかのミドルネーム持ち!?


「じゃあ、ルレイルさんも(かん)を持つ貴族!?」

「ええ、そうです。十二位の(くらい)を賜っております」

「考えてもみなさいよ。これ程大きな港に倉庫。一商会じゃ手に余るわ。国が関与しないとね」


 言われてみれば確かにそうだ。これ程大きな港なのに、他の流通商会は見当たらずに『アルカイック』商会のみが独占している。き、気付かんかった……


「じ、じゃあ。ルレイル様とお呼びした方が……?」

「いえいえ。私はユーリウス様と同じく民衆派の貴族ですので、(かん)を持っているからといっても、畏まる必要はありませんよ」

「あ、そうなんだ。良かったぁ。じゃあ、今まで通りにルレイルさんって呼ばせて貰いますね」

「順応早いですね……まあ、良いですが。それでは中へお入り下さい」

「あれ? ルレイルさんは来ないの?」

「ええ。原則として立ち入るのは鍵を持つ方々だけですので、私はここでお待ち申し上げております。気にせずごゆっくりどうぞ」

「じゃあ、行くわよ」


 ルレイルさんをその場に残し、私達は倉庫へと足を踏み出した。




 扉を潜るとすぐに地下へ降りる階段になっている。体育館ほどのスペースしか無いのに貴族達の荷物を預かる事が出来るのは、地下にそのスペースがあるからなんだ。あの無駄に広い敷地は、地下に貴族達の倉庫が埋まっているからなんだと分かる。


 階段を降りきると、今度は長い通路。あちらこちらに魔法の明かりが灯されているので(つまず)く心配が無いのは有難い。


「あそこね」


 王女の視線の先には、木製で出来たドアがあった。


「オジサマ達の冒険者時代の思い出の品があるんだね」

「そうですわね。お母様が自慢気に話を聞かせてくれましたが、『ホルロージュ』で二十階層の番人を倒したのもお父様のパーティーだったそうですよ」


 おおっ。それってっ。神様の時代からあるとされる塔から何かお宝を持って帰ったとしたら……


「それ、期待持てるんじゃない?」

「ええ、そうですわね」


 リリーカさんは向日葵の様な笑顔でそう応えた――


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