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第36話   探索ガールズ?




(―――諦めろ・・・・・・・・・・何を?)



(―――考えるな・・・・・・・・・・どうして?)



心の中で呪文を唱える。

これまで散々繰り返してきた事だった。


“諦める”―――肯定的な言い方に変えるならば、“受け入れる”

流れに身を任せ、思考せず、選択せず、ただただ・・・・・・受身に。

善にも、悪にも、染まらず。

中立であり続ける。否、出来るなら中立すら放棄して、関わらず、拘泥せず。


これが(すぐる)が選択した唯一の処世術であり、楽な生き方であった。

心を殺し、閉ざし、諦める。




(―――諦めろ、諦めろ、あきらめろ・・・・・・ああ、クソッ)



「だめだ。考えてしまう。なぜ、なぜ、なぜ?わからない事に拘っても仕方ないし、出来る事と出来ない事の区別ぐらいはできる(・・・)つもりだったのに・・・・・・・・ちくしょう!!」



 両親と生まれるはずだった妹が、目の前で(・・・・)死んだ時から、ずっと諦めてきたつもりなのに・・・・・・!!

 ずっと、ずっと、後悔する選択から逃れ続けてきたのにっ!!



そう、それは何処にでもある不幸だった。

閉じこめて、押しこめていた記憶。

囚われないようにそっと鍵をかけ、深く沈めて、忘れていたこと。

自動車事故によって家族を失った瞬間。

弱い自分は何も出来ないという強烈な自己嫌悪を覚えた。


死亡者総数32名という大惨事の現場に(すぐる)は居た。

居合わせていたのだ。


その後、奇蹟的に一人だけ生き残ってしまったという、強烈な罪悪感。


トラウマと呼べるその出来事の記憶は虫食いだらけだった。

(スグル)は奇蹟と呼べる瞬間を全く覚えていない。

どうして自分が助かったのか・・・・・・気が付けば、両親と自分(・・)の葬式が執り行われようとする現場に立っていた。

喪主をしていたのは、母方の姉―――伯母の由利花(ゆりか)さんだった。


突然現われた(スグル)を彼女は抱きしめ、号泣した。

何が起こったのか分らないまま、優は彼女に抱きしめられ続けた。


三日間の空白。


(―――かんがえたくない)




*** *** *** ***




大柄で筋肉質、且つ精悍な顔つきの男が祈祷をするように目を瞑っていた。

彼の祈りは、神に捧げるものではなく、精霊に語りかけるものであった。

敬虔な神父、或いは修道女。

やがて、目をつぶったままの彼はおもむろに口にする。

オネエ言葉で。

「あらやだ。生体反応よ」


男に話しかけられた女は当り前のように普通に対応する。

「新手の魔導兵器ですか?」


「ううん。人っぽいわよ、これ」


「・・・・・・25階層で出たミュータントの例もありますし、近づかない方が無難です」


嫌なことを思い出したような顔をする女に対して、

くわっと目を見開く大男。

そして、くねくねとした仕草で不満の意を表わす。

「ちょっと、私が信用できないのぉ?」


フリフリ


「あなたの見た目のどこが信用できるのですか?」


半目になって呟く視線の先、

男の顔。

付けまつげ、グロス、マスカラ、真紅の口紅に彩られている。

俗に言う、厚化粧というやつである。

極めつけはその服装!!


メイド服だった。


これでもかっといわんばかりに黒と白のフリフリレース、膝上30センチはきっちりキープ。

超ミニスカ。

ご丁寧にカチューシャまで装着してる。


恐るべき、完全装備であった。


「うふっ」


クネクネ


「笑うなキモイ」


「うふふふふ~」


フリフリ


「・・・・・・」


「あー無視した!!ひどいわ!!フィオちゃん。自分に自信が無いからって、私の美貌を妬んでるのネ!?」


「ホントに気色悪いです」


「またまた~フィオちゃんも十分可愛いゾ!!」


キラリッ!ウィンク!!


「・・・・・・手足もいでダルマにすんぞ?」


「ヒィィィ―――――――!!怖いっ!顔が怖いことになってるわよ~!!」


悲鳴を上げている割に嬉しそうに身体をくねらせるマッチョ。

からかわれてる事に気が付き、深々(ふかぶか)とため息をつく。

青髪に怜悧な視線の持ち主、フィオ・D・マルセスは言った。


「・・・・・・一応、危険が無いかだけ確認しましょう」


「りょうか~い」

ムフッと真っ赤なくちびるを突き出して、敬礼するマッチョメイド。



冒険者ランク:B++

本名:ゴルベーザ・オルド・アレックス・ルルシェ 性別:男(自称:乙女)

職業(クラス):精霊術士、オルド教所属、超1級司祭・『神狼の黒司祭』


冒険者ランク:A-

本名:フィオ・D・マルセス 性別:女

職業(クラス):魔法使い、ギルドナイト所属・『氷姫』


両者共に二つ名持ち。

名うて冒険者であった。


彼・・・・・・彼女等は現在、最近発見された中規模遺跡の探索の途中である。

現在の到達階層は32階。

これまでの情報から推察するに“超越時代”の遺跡と思われた。



超越時代。

それは空白の時間。

魔力の前兆や物理的法則を無視した文明。

極端な例を挙げると、“超越時代”の遺跡(ダンジョン)は街中にも突然現われる。

記憶、記録を残さず突如現われる超先端技術文明ハイパーオーバーテクノロジーを指す言葉、それが“超越時代”だった。


原理不明のアイテム、凄まじい破壊力を誇る武器、現在主流の技術を何段階も飛び越す圧倒的文化。

まるでこれまで先人が築き挙げたものを無視するかのごとく、異端の跡を残す。

なにより異常なのが、それを管理するシステム。


今までにも、多くの遺跡が発見、観測されたが、そのほとんどが攻略されずにいる。


理解できないのだ。

想像してみて欲しい。

野生の猿にポンッと拳銃を渡す。果たして、その猿が拳銃を使いこなすだろうか?使い方が分らないのに?ありえない。

ましてや、銃を一から製造して、外敵から身を守る手段として広めるだろうか?

答えは全てノーだ。

気に入らないなら、ほかのものでもいい。

自転車は?車は?飛行機は?

乗り物だという事さえ知らないのに扱えるわけが無い。


つまり、遺跡から持ち出された道具は、有用なものより無用な物の方が多かったのだ。

辛うじて、形状や何かしらの幸運によって使い道が分るようになったアイテムが『アーティファクト』と呼ばれるようになった。


そして攻略の難易度が異常なのだ。

不可解な技術で構成され、不可解な原理で動き回る魔導兵器の数々。

うじゃうじゃと湧いて出てくる機械(マキナ)の軍団。

その危険度は探索専門の冒険者のセオリーから大きく逸脱している。

その敵の多くは戦争でもしようというのかという火力と、多くの冒険者から武器を奪う事になる強力な魔力抵抗(レジスト)、ほとんどの戦士を圧倒する機動力(スピード)を備えている。

なかには自己修復能力まで付与されている個体までいるのだから、並大抵の冒険者では手が出せない。


この2点から、多くの冒険者は諦める。


ハイリスク・ローリターン


手に入れられても使える物が無いのでは出資者も現われないし、危険過ぎるためほとんどの国が立ち入りを禁止している。

魔導の技術は今だ一般的ではなく、魔導都市を謳っている『シーステア』でさえ、超越時代における遺跡技術の数々には遠く及ばないだろう。


魔法(マジック)機械(マキナ)の交じり合う技術(ハイブリッド)


―――《魔導》―――


ハイテクノロジーから得られる利益は莫大ではあったが、それを利用し切るにはまだまだ時間が掛かるのが現状であった。



さて、

以前冒険者は三人ないしは6人で活動するという話だったが、出はなぜこの二人は少人数で活動しているのか?その理由は簡単だ。彼女達も最初は6人で活動していたのだ。

その前に、彼女達がこの遺跡を探索する経緯について話しておかねばならない。


そもそものところ、昨日まで何も無かった所に現われる“超越時代”の性質のおかげで、これがどの程度の危険性を秘めた遺跡なのか簡単に判別できる。

すなわち、突如現われた遺跡はもれなく“超越時代”だと判るのだ。


その点、このダンジョンは突然現れた事は疑いようも無い。

なにせテオドール帝国領内の管理する土地、首都グランシルトから七千メルの位置にいきなり現われ、観測されたのだから。


そこで冒険者ギルド内の秩序を保つために選定されたメンバー。

ギルドナイトにその遺跡(ダンジョン)の探索が命じられたのは当然のことと言えよう。

そういうわけで、フィオを含めた三人のギルドナイトと応援を募った三人の冒険者が“超越時代”の遺跡の攻略に乗り出したのだった。

その他にも二つのグループが探索を進めたが、成果を上げたはフィオのグループだけだった。

順調に階層を進み、10階に到達した時に現われた魔導兵器に二人が負傷。

ある程度の危険度(リスク)を見切ったギルドナイトのリーダーが、二人を選出して探索を続行した。

そして何を隠そうギルドナイトのリーダーが、フィオ・D・マルセスだった。




設定を掃き出し切りました。だいぶ書き易くなったかな?

徐々にですが、更新したいと思います。

なお、感想していただけると励みになります。

はい、ごゆるりと

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