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間章    散逸する真実

 のっけからの間違え修正。




 すらりとした手足、凛とした佇まい。リンデノーア・セルト・フォン・シュトレーは日の光に鮮やかに反射する緑葉の髪がたなびくのを押さえつけながら、焼け跡に立っていた。白い陶磁のような頬は炭で煤け、熱された大気がむっとする空気を押し流し、リアの髪を揺らす。


 辺りは燃え尽き、そこに木製の建物があったことを表すものはほとんど無い。かろうじで焼け残った梁すら、今にも崩れ落ちそうな有り様である。何千度にも熱せられた木材が一瞬で炭化される様は豪快の一言に尽きた。



「う~ん、超必殺バカデカ・だーい火球ちゃんをかましてみたものの、どっかで仕事でもしてるみたいね」

 リアの背後から暢気(のんき)な声が響く。リアが振りかえればそこに立っているのは、メリッサ・テオドーラその人であった。テオドーラ帝国の第3皇女であり、帝国の筆頭宮廷魔術師でもある彼女。メリッサの妖艶な肢体を強調するかのような服装。本人は占い師と言い張るだろうが、踊り子のような衣装からアラビアンな雰囲気をかもしている。スグルがこの場にいれば、大変目によろしくないなどと呟いていただろうか。


「・・・・リアっち、リアっち!気がついてくれた?」

「・・・・何に?」

わざと目をウルウルさせ、上目使いをしてくるメリッサに呆れながら聞き返す。


「だーい火球のだーいは“大”と“die”を掛けてるんだよ~ん。うふふふ・・・」

「アホか」

「ひどい、ひどいわっ!!私のこと嫌いになったのね!私の事をあっさり捨てるつもりなのね!!」

「ひ、人聞きの悪いことを言わないでくれ!」

慌てるリアの反応にケラケラと笑うメリッサ。


「リアったら反応かわいーい!城に勤めてるエルフは反応が薄くていけないわ~。折角綺麗な顔をしてるんだからもっと表情豊かじゃないとつまんな~い」

「・・・・はぁ。わがまま言ってる場合か。ここら辺で他に襲われるような所はどこなんだ?ここを引き上げたんじゃないのか?」

「・・・・どうかな、奴隷商の馬車をぶっ潰した事はまだばれてないと思うけど、次の獲物を狙うとしたら・・・シモン?」

「・・・・はっ、ここに」

 周辺地図を手に持って、忽然(こつぜん)と姿を現すシモン。リアは時々思うのだが、シモンは時空超越魔法でも使えるのではないか?英雄章や超越時代にその存在を伝えられる究極魔法、『時空超越』。過ぎ去りし時と離れた距離を一瞬で詰める魔法。それでも使わない限り、こうも突然に望む時に現われたり出来ないと思う。

 しかし、そんな不気味でミステリアスなシモンを従えるメリッサはどうだ。真剣な表情をした彼女は、その圧倒的存在感で皇女としての風格と品格を備えている。ふざけた様子の彼女とシモンを使役する彼女。どちらが本当のメリッサなのだろう?



「う~ん、わからん」


「がく」


「もーリアっち、わざわざ口で言わない!シモンはどう思う?」

あっさりとそれまでの空気を壊すメリッサ。

たぶん、王としてのメリッサも、陽気で無茶なメリッサも、どちらも彼女なのだと思うと安心する。



シモンは地図上の1点を指差した。


「・・・・次に盗賊が狙うのは“ココの村”でしょう」

「その理由は?」

「“疾風の盗賊”はここら辺では有名になってきています。しかし、このココの村ならばテオドーラとケーリンベルクの国境付近にあります。危険があれば国境を越えて高飛びできますし、ケーリンベルクは奴隷制を奨励している国です。調べた所、最近の奴隷取引が活発になっているようです。国とこの“疾風(はやて)の盗賊”が繋がっているという話もあります。」

「ふ~ん、嫌がらせ工作?」

「お察しの通りかと」



話をどんどん進めるメリッサとシモンに慌てて口を開く。

「ちょっと待ってくれ。嫌がらせ工作?それはどうゆうことなんだ?」

「うーん、ケーリンベルクのどいつがこうゆう事をやってるのかは知らないけど、戦争に負けた腹いせでテオドーラの国民を攫って奴隷にして売りさばいて笑ってる奴が居るんじゃないかな~ってこと」

「・・・・国と繋がっていると言ったな、そんな事がばれれば戦争は必至じゃないか!!」

声を荒げるリアに冷静そのものにシモンは答える。


「ケーリンベルクからすれば、たかだか盗賊と言う事でしょう。テオドーラからの詳細要請があったとしても白を切ればそれで済みます」

「でもっ!!」

「確かに、テオドーラはそれを見逃さないかもしれないわ。でも、こうは考えられない、リア?ケーリンベルクは戦争を(・・・)起こしたい(・・・・・)のだと・・・」

「っ!!」

「・・・・なーんてね、明確な証拠もないのに憶測でものを語ってもしょうがないわ。シモン、後は任せるわ」


「御意」

それまでの雰囲気をあっさり翻すメリッサ。



(―――し、心臓に悪い)

リアはメリッサの顔を窺う。そこに深刻さは全く見られなかった。

それはそんなことは起こらないということだろうか、それとも軍事力を誇る帝国の皇女の自負ゆえなのか。

もし、戦争を(たくら)むとして負けるであろう戦に挑む国があるのか、何か秘策があるのではないだろうかと疑わずにはいられない。まぁ、実際のところ、メリッサ一人を見てるだけでもテオドーラが負けるところなど想像しようがないのだが。



「ごめんね~リア、とりあいず満足したから帝国に向いましょ」

「・・・・私は構わないが、シモンは?」

「“ココの村”に向わせたわ。シモンに任せておけば良いでしょ」

 メリッサが盗賊を許せなかったのは奴隷を扱っていたからだろう。盗賊になった人間にも理由がある。しかし、戦争が起こり農民としての居場所を奪えれ、盗賊に落ちぶれるしかなかったのだとしても、帝国の第3皇女として奴隷を許すわけにはいかない。帝国は奴隷の存在を認めていないのだ。

 メリッサには責任がある。戦争を起こした血縁者として振舞い、怒りを受けとめる義務。そして、宮廷魔術師として、法を用いて裁く責任が・・・・。




+++ +++ +++ +++




 出没する盗賊の噂を聞きつけて、メリッサがその本拠地を壊滅に追い込んだのは、スグル達が“ココの村”に着く、約一週間前。スグルはまたしても厄介ごとに巻き込まれようとしていた。本人は気づかぬまま、奇妙な縁を以ってして・・・・。



もぐもぐ・・・・《すずかぜらいた》。

あー今回はちょっとばかし伏線を作りたいなぁ~という長期的目的の基、書いてみました。う~ん・・・これが出てくるまでどれくらいかかるんだろう?みなさんがこの作品に飽きないうちに出したいなぁ~・・・・・ふぅ。


はい、それではごゆるりと

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