第11話 修行
間章扱いにしようか迷いましたが、話数に数えることにしました。
実際のところ、魔法についての考察のようなもので、オチとかいったものはついていません。
読まなくても差し支えありませんが、読んだ方が何かしらのヒントが得られるかもしれません。
では、ごゆるりと
「おっ、ここら辺がいいかな?」
現在、リアとは別行動を取って、俺一人で活動している。リアは、外はそれなりの備えがないと危険だとか、オーガを倒したぐらいでいい気になるな、とか等と言っていっしょに行くと言って聞かなかった。
しかし、実際のところ、交易都市であり、観光名所でもあるアクアレイアの周辺は、ギルドによってモンスターの駆逐が為されていて、基本的には安全なのである。
もしもの場合でも、結界が常に張られているし、各ギルドに設置されたアラート装置がモンスターの接近を教えてくれる。
そのことを教えてくれたのはリア自身なので、説得の材料としては十分だった。遠出をしないことを約束に、一人で出かける権利を獲得したのである。
さて、一人でこそこそと出かけたのには訳がある。
ズバリ、修行だ。
素直にリアに教えを請うのがベストなのだろうが、エクシードの方はそうはいかない。ギルド連中に教えを請うという手段も残されているのだが(エクシードの使い方を教えてくれるようにクエストで依頼するという事)、それは、この男の子であるスグルのプライドが許さない。
もちろん・・・・・ユンロがもったいないというのもあるが。
なにはともあれ、修行を開始。
+++ +++ +++ +++
「其の手に掴めるは光、束ね集めし輝きはなににも勝るものなり。
散光矢!!」
「其の手に掴めるは雷、雷網!」
「其の手に掴めるは風、風牙!」
「其の手に掴めるは水、癒し、誘い、清浄を好むものなり。 治療 !!」
「其の手に掴めるは闇、大気をを呑み込みし闇に侵されろ、 闇霧 !!」
わーはっはっはぁ!!気分爽快だ。
威力もばっちし!!
頭の隅で悪人丸出しだな、とは思うものの止められない。ちゃんと理由があって無駄撃ちを行っているのだ。
魔法を使いまくることしばし・・・のどが先に潰れた。
「げほごほっ・・・、ま、まじか。え、魔力切れ、おこ・・さないし」
人には無茶だと言われようが、己の道を突っ走ることが大好きなスグルは、自分の限界を確かめるためにわざと魔法の打ちっぱなしを試したのである。
結果、岩のひしめていたはずの大地が焦土と化したものの、魔法が撃てなくなるという事はなかった。
これ、結構すごいことなんじゃないの?
などと思いつつ、瞑想に入る。
最初、魔法を習う前にリアの指先から魔力を流しこんでもらった。
・・・・リアの手は白くてほっそりしていてよだれが・・・じゃなくて。
魔力を流しこむのは、魔力を自分で感じられるようになるための手段なのだそうだ。
他人の魔力は属性の比率が違うため、体内に取りこむのは危険だという。
そのため、リアは自分の魔力をすぐに抜き取った。
誰かに魔力の受け渡しをすることはできない。また、魔力を奪うこともできない。
そのため、魔力、ゲームでいうところのMPの回復は、自然回復、または自然回復を促すためのポーションを飲むしかないのである。
魔法使いにとって魔力の枯渇は死活問題である。己の限界を知るためにやったことだが、今、自分の中に感じられる魔力に陰りは観られない。
もっと詠唱の長くて、威力の高い魔法なら減るのか?
それとも込める魔力を調節するか?
イメージ力がカギとなる魔法は、現代人であるスグルの敵ではない。
人並みにゲームも漫画もやってきたのだから、そうそう劣るとも思われないのだ。
“其の手に掴めるは”という起動語と、基本の型は存在するものの、オリジナルの魔法を編み出そうと瞑想するのは本来ならかなりの年月研鑚した者の領分なのだが、天然の魔法使い?であるスグルはいとも簡単にやってのけていた。
体内の魔力に意識をむけつつ、瞑想を解く。
そこで、ふと疑問が頭をもたげた。
俺は、気と魔法を使える。
しかし、この2つは相克、つまり反発するのだから、両方使えるのはおかしくないか?
あれれ~?
再び頭を悩ませ始めたスグルであった。
はい、《すずかぜ らいた》です。
お付き合い下さっている読者の皆さんに感謝です。
では、ごゆるりと
―――修正しました。