試合が終わって
翔と黒鴉の決闘に決着がついて黒鴉は悔しさいっぱいの表情で翔を睨む。
「おいおい、恨みっこなしだろ」
ぐぬぬと唸る黒鴉、翔は握手を求めると仕方なさそうに握手に応じる。
「必ずリベンジするわよ…!」
「勘弁してくれ」
黒鴉は翔に対して再挑戦の意向を示す。
サプライズの一戦はこうして幕を下ろすのであった。
翔が控え室に戻るとホッとした様子の黒姫に向かえられる。
「姉さんには悪いですが翔君が勝ってよかったです」
「俺もホッとしてる。手の内を知ってるからこその一戦だった」
翔も初見殺し系の相手だったらもっと苦戦してただろうと額の汗を拭う。
「苦戦で済むんですね」
「負ける訳にはいかないからな」
意地っ張りで負けず嫌いなのは姉と同じだと黒姫は苦笑いしてしまうのであった。
残りの戰の試合を二人で観戦していると黒鴉が控え室にやってくる。
負けた事は一旦忘れメンタルのリセットをした様子の黒鴉は気を抜いてまったりしている妹夫婦を前に険しい顔をする。
「やれやれね…ちょっといいかしら?」
「姉さん、どうかしましたか?」
「今後の話よ、救世主としての…」
翔はゴクリと生唾を飲み込み緊張した面持ちになる。
「代替わりを前提に話進めてるんだし浜松は特に緊張感持ってもらわないと」
「あ、ああ…そうだったな」
「実戦経験もう少し積むために正式に闘技者やりなさいよ」
黒鴉から正式な闘技者をやれと言われるが翔はイマイチ乗り気になれなかった。
「戰は実戦とは違うんじゃないかな…」
「生き死にを掛けた闘い…じゃないと?」
「別に生き死にが全てじゃないだろ?」
黒鴉は納得し切れない様子でへの字口になる。黒姫も翔と同意見で戰では身に付かない事もあるんじゃないかと考えを出す。
「まぁいいわ。でも必ずリベンジマッチはさせてもらうんだからね?」
「マジで逆恨みは勘弁してくれ」
憎しみマシマシな黒鴉の口振りに翔は恨みっこ無しじゃなかったのかと嘆くのであった。
ーーーーー
話は移り異世界のアキト、帝国軍の首都からやって来た本隊が合流してきて最前線をさらに押し上げる作戦が開始される。
「これはスライダー将軍!前線までご苦労様です!」
ファウルが敬礼してスライダーを迎え入れる。
「ここからは私が引き継ごう。反乱軍の根城たるサードベースまで私が指揮を執る」
「はっ!指揮下に入ります」
ストレイト部隊もやってきて大隊のおおよそ千人規模になる。
スライダーはアキトを見かけてわざわざ声を掛けてくる。
「君は傭兵だったな。ここまでの報酬を…」
「俺の目的は以前話した通りです。それに最後まで付いていきますよ。報酬はその時にまた」
「そうか、それでは早速仕事を依頼しよう。近場に賊の根城が無いか調査してくれ。反乱軍の領内だからといって居ない訳はないしな。ああ、合ったらつぶしてくれて構わない」
また賊退治かとアキトは苦笑いしてしまうがやれる事はやってしまおうと承るのであった。
ナイゲームの周囲を探索し邪魔になりそうな山賊が居ないかを確認する作業に取り掛かる。
道から少し外れた崖に元々は帝国軍の兵士達の駐在拠点である監視所を発見する。いかにも何者かが使っていそうな雰囲気にアキトはゆっくりと近付く。
案の定山賊が根城にしていてアキトはサクサクと攻略を開始する。突然の襲撃者に山賊達は混乱した様子で迎え討つ。
「何者だぁ!」
返事をするのも面倒臭いとアキトは教える事なく山賊を倒していく。
監視所の頂上では山賊頭領がどっしり構えていた。
「よくもカワイイ部下達をやってくれたな!」
「輸送路の確保に必要だったんでな…討伐させてもらうぜ?」
「フン!一筋縄では行かぬぞ!」
どうやらギフト持ちのようでアキトは気合いを入れる事になる。頭領は片手斧を二刀流に構えて雄叫びを上げる。
(ウォークライってやつか、見るからにパンプアップしてやがる)
筋力が増した頭領は服がパツパツになる程にパンプアップしてアキトに襲い掛かる。斧をブンブンと振り回し高笑いする。
「フハハハ!このパワー!受けるがいい!」
「絶対に嫌だね」
アキトはヒョイヒョイと敵の直線的な攻撃を見切って躱してカウンターの機会を狙う。しかし圧倒的な手数で押してくる頭領に遂に端へと追い込まれてしまう。
「フハハハ!もう逃げられんぞ!」
アキトは舌打ちしなが刀を抜く。
「貧相な剣だな!へし折ってやる!」
それは困るとアキトは苦笑いしながら刃を交えて鉄の斧を切り裂いてしまう。
「!?」
自慢の手斧が逆に切り裂かれ使い物にならなくなり頭領は目を丸くする。
「斬れ味は鋭くてな…悪かったな」
「キサマぁ!」
アキトは挑発するように謝ると逆上した頭領は残った斧を両手に握り締めて怒りに満ちた表情で勢い良く振り下ろす。
アキトは半歩ズレて攻撃を避けて返し刃で隙だらけな頭領の首元を一太刀で切り落とす。
「脳味噌まで筋肉的になるんじゃあ宝の持ち腐れだな」
山賊の処理を終えてアキトはやれやれと一息ついて報告に戻る事にするのであった。




