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6.

「それにしても破滅に関わるなんて……怖いね」


 セドリック様は暗い表情を浮かべた。

 未来に起こるであろう”破滅フラグ”に臆しているのではない。死を感じる恐怖。誰だって、死は怖い。

 ”死”と言う言葉はそれほど強烈で、恐ろしい言葉。

 不安にさせたくないけれど、避けることができない。でもでも。


「あぁ!違うのです! それはその、私の言葉が極端というか、語彙力が足らないというか……」


 私自身が目にしたことだけど、わからないことも事実。

 でも、セドリック様にそんな表情をしてほしいわけじゃない。

 目指すは「ハッピーエンド」もとい「明るい未来」だ。

 はじめから私がこんなにしどろもどろになってはセドリック様だって頼れはしない。不安になって当然だ。

 なにをやっているの、ニーナ。


「セドリック様は必ずや、このニーナがお守りします!」


 体の向きを真正面に変えて、セドリック様と向き合う。

 すぅと空気をしっかり腹の底に入れる。そして1歩、足を横に開いて、しっかりと床を踏み締める。拳をつくった左右の手を下ろし、かまえる。


「え?」

「たとえ火の中、水の中、魔獣からだって守ってみせましょう!」


 だてに「変わり者のニーナ」なんて呼ばれていない。

 両親が与えてくれた教育の中には、武術も含まれている。

 この言葉は虚勢ではない、事実だ。

 破滅フラグを回避するための、私の持てる武器のひとつ。


「だからドーンとニーナを頼って下さいませ」


 言葉と共にどすっと拳で胸を叩く。

 わかりやすく、私がたくましい存在であることをセドリック様へお伝えする。


「え、えっと。ありがとう、ニーナ」

「はい!」


 またもや暴走気味な言動をした私にセドリック様は少々驚いて、言葉をつまらせていたけれど、最後には微笑んでくれた。

 そして少し目線を下げて、再び顔を上げたセドリック様は眼差しをぐっと強くした。


「僕、がんばるよ」

「えぇ。2人でちからを合わせてまいりましょう!」


 親指と人差し指でL字えるじをつくって、天を指す。部屋の中だとか、空が見えないとか、関係ない。こうするとやる気がむくむくと湧いてくるから不思議だ。


「目指せ、ハッピーエンドです!」

「……ニーナにはほんと、かなわないや」

「?」


 高揚してしまっていた私はセドリック様の言葉を聞き逃してしまい、侍女としていかがなものかと反省すべきことではある。家令にバレたら、説教1時間ですまないと思う。でも。


「ううん。なんでもないよ」


 微笑みながら首を振ったセドリック様の表情は柔らかく、肩のちからが抜けて呼吸がしやすくなったように見えた。


「がんばろうね、ニーナ」

「はい。おまかせください!」

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