034 ギルド
◆
ルシードは眠りから目覚め、薄っすらと目を開く。
「うう、朝か?」
部屋の窓からは太陽の明かりが届き、部屋は明るい。
左隣を見ると、サーシャがいた。
「そうか、昨日はサーシャと――ルーファ?」
一人用のベッドではあるが、小柄なサーシャと一緒でも問題はなかった。それがやけに狭く感じると思い、右側を見ると、ルーファが気持ちよさそうに寝ているのが、ルシードの瞳に映る。
「なんでルーファが……」
「……んっ、神様?」
ルシードの声に反応したのだろうか、サーシャも目が覚めたようだ。
「おはよう、サーシャ」
「……ん。おは――ルーファ?」
サーシャもルーファに気づいたのか、上半身を起こして声をあげ、ルシードを見てくるが、ルシードにも思い当たるところがないのだ。どうしようもない。
「いや、俺も起きたらルーファが隣に寝てたんだけど……サーシャ?」
「――地獄に落ちろ」
サーシャはルシードの体を乗り越え、ルーファに手を添えるとベッドから押し出した。
「いてっ! な、何が!? ……なんだ、ベッドから落ちただけ……あ? サーシャ?」
「なんでここにいる?」
「なんでって……逆に聞くけど、なんでサーシャがアタシの部屋にいるんだよ?」
何事もなかったかのようにベッドに戻ろうとしたルーファは、サーシャに気づくと、寝ぼけているのか、変なことを言う。
「ここは神様の部屋。ルーファのじゃない」
「おはよう、ルーファ」
「ん? ルシード? ……あ、そういや、お前らが全然起きてこないから起こしに来たら、あまりにも気持ちよさそうに寝てたもんで、アタシもちょっとだけって思ってベッドに入ったんだっけか。サーシャもここで寝てたってことは、アタシと同じか?」
「ま、まあ、そんなとこ」
昨日ルシードと一緒に寝たことを、子どもだと笑われたくないのか、サーシャは誤魔化したようだ。
「ミイラ取りがミイラってやつだな」
「へへっ、面目ない」
「神様のベッドは神聖な場所。ルナミリス教が立ち入っていい場所ではない」
「う、いいじゃんか、ちょっとぐらい」
ルシードはばつの悪そうなルーファから時計へ目をやると、時計の針は十一時二十分を指していた。ルーファが起こしに来てくれたことから、太陽が昇るのはこれに近い時間、十一時か……十時と推測する。
「あ、もう昼じゃんか! アタシが起こしに来たのは九時だったから、二時間以上寝ちまってたのか」
ルーファの叫びに、ルシードは先程の考えを吹き飛ばすほどの驚愕。
「……昼? 朝じゃなくて?」
「昼に決まってんじゃん。十二時がちょうど昼だ。寮だと、朝はだいたい七時過ぎには起きて学園に行く準備するんだけど、久々にこっち来て気を抜いちまったのか、ちょっとゆっくりしすぎたな。セラフたちも、起こしに来てくれりゃあいいのによ」
ルシードは自分が朝弱いことをすっかり忘れていたようだ。ルーファの口ぶりから察するに、太陽が昇るのは、どうやら六時か五時、もしくはもっと早い時間なのかもしれない。ルシードは聞くのが怖いと、止めておくことにした。
「そう言っても仕方ないさ。さっさと着替えて準備し――あ、着替え……」
ルシードは着替えようと考えたところで、昨日風呂に入る時に脱いだ服を、洗濯もせずにそのまま放置していたことを思い出す。
「それなら、セラフが洗ってミラが乾かしてくれてたぜ。アタシが持って来たよ。ほれ、あそこ」
ルーファが親指で背後を指す机の上には、確かにルシードの服が用意されていた。
「そっか、悪いな。あとで二人にもお礼を言うよ」
「ああ、そんじゃあ、アタシは先に下に降りてるよ。飯はどうする? 昼からギルドに行く予定だけど」
「そういや、今日はギルドに行くんだったな……。んー、ご飯はすぐ胃に入れられる物でいいよ。待たせるのも悪いし、俺も早くギルドに行ってみたいかな」
「りょーかい。んじゃ、伝えてくるよ」
「頼んだ」
ルシードはルーファが部屋から出て行くのを確認し、やけに静かなサーシャに視線を送ると、サーシャはまた夢の世界へ行こうとしているのか、ベッドに横になっているではないか。気持ちはわかるが、起こさないわけにもいかない。
「サーシャ、もう起きないと、置いて行かれるぞ?」
「……ん。わかってるけど、神様の横、気持ちいい」
「そう言ってくれるのは嬉しいけど、ほら、起きて」
ルシードはサーシャの両脇を抱え、上半身を起こさせる。
「ん。着替えてくる」
それだけで観念したのか、サーシャは一度ルシードにもたれかかるように抱きつくと、笑顔で部屋を出て行く。
「ああ、下で会おう」
ルシードはサーシャも見送り、服を着替えた。
◆
ルシードが一階に降りて顔を洗い、食堂へ入ると、サーシャを除いた全員が集まっているのが見える。食卓には昼食だろうか、大量のサンドイッチ並べられていた。昨日の昼に食べたものと同じではあるが、すぐに食べられる物と言われて他の物がなかったのだろう。美味しかったことからも、ルシードに不満はない。
「おはよう」
「ふふっ、こんにちは」
「こんにちは、ルシード。よく眠れたみたいね」
勢いで誤魔化そうと考えたルシードだったが、どうやら無理なようだ。ミラとセラフに昼の挨拶を返され、ルシードは誤魔化すのは無理そうだと諦める。
「……こ、こんにちは。いや、俺も思ったより寝て――」
「あら、今日はいつもよりも早いお目覚めね」
それでもなんとか足掻こうとしたが、すでに前科を知られているアルマリーゼの前では何を言っても無駄なようだ。ルシードは素直に謝るしかない。
「悪かった。ベッドで寝るのは久々だったから、いつもよりぐっすり眠れたよ」
「それはよかったです」
「私たちも案内した甲斐があるってもんだわ」
「ああ、ホント気持ちよさそうに寝てるもんだから、アタシもつい引き込まれちまったぜ」
「私はもう少し早く起きて欲しいところだけれどね」
「だから悪かったってば。そりより、服ありがとう。洗濯までしてもらって、昨日はベッドメイクまで」
「お安い御用よ」
「乗りかかった船ですからね。アフターサービスまでバッチリサポートしますよ」
「ありがとう、逆に俺にできることならなんでも言ってくれ。力になるよ」
「へへっ、期待してるよ」
そこへサーシャが扉を抜けてやってくる。
「おはよ」
「サーシャ、こん――」
「おはよ」
「お、おはよう」
「おはようございます」
サーシャの有無を言わさず押し切った姿に、ルシードはそうすれば効果的なのかと感心する。
「簡単な物とのことでしたので、昨日と同じサンドイッチになってしまいましたが、よろしいですか?」
「気にしなくて大丈夫、いただくよ」
「私ももらう」
「はい。では、皆さんでいただきましょう」
セラフの合図で、全員がサンドイッチへと手を伸ばした。
◆
昼食を食べ終えてギルドへ向かう。昼時だというのに、昨日のレーヴェと同じで、街には人っ子一人いない。少し寂しく感じるが、これがこの街なのだろう。逆に堂々と歩いている自分たちの方が異物なのだ。気にするだけ無駄だった。
「ここよ」
ミラの示した建物は、他の建物よりもかなり大きい。場所は街の入り口に位置しており、ルシードは昨日街に入った際に、最初に目にしていた建物であることを思い出す。
「ここがギルドだったのか……」
「ええ、入りましょ」
大きな扉を通り抜けると、一人の女性がカウンターの向こうに座っていた。彼女が受付を任されている人のようだ。お昼で休憩に入っているのか、受付以外に人の姿は見えない。
「こんにちは」
「こんにちは、皆さんお揃いで、依頼の報告ですか?」
「ええ、お願いできる?」
「はい。討伐依頼でしたね。魔獣の死体はお持ちですか?」
「ああ、アタシが持ってる」
「では、鑑定室へとお願いします」
「んじゃ、ちょっくら行ってくる」
「私も行きます。ミラたちは、ルシードさんたちに登録方法を教えてあげてください」
「了解」
「任せて」
ルシードはミラと受付の女性のやり取りを眺めていたが、ルーファとセラフが女性の座るカウンターよりも奥にある部屋――鑑定室へ入って行ったところで、その扉を見る。名前からして、依頼の証拠として持参した魔獣に間違いないか鑑定する部屋だろう。
「ルシード、アルマリーゼも、こっち来て」
ルシードはミラに呼ばれて受付の女性の前に立つが、女性はルシードを見て、目をパチパチと動かすと――
「……え? だ、だだ、男せ――!? ちょ、ちょっと、ミラさん! 隠して、隠して!」
魔法都市レーヴェでは男性を見かけないせいだろうか、ルシードに驚いた女性は急に声を潜めて周囲を確認すると、ルシードを隠すように指示を出した。
「は? なんで?」
「いいから、彼の周囲に立って、壁になってください。早く!」
ルシードがわけもわからずカウンターと同じ高さまで身を屈めたところへ、ミラとアルマリーゼが隣へ移動する。サーシャは背のせいもあり、壁にならないことから、ルシードがサーシャを背負うと、サーシャは背後からルシードの首に腕を回し、両足を胴を挟み込むようにして絡ませ、ルシードの頭の上に顎を乗せた。
「……これでいいの?」
「は、はい。ちょっとそのままで待っていてください」
受付の女性は席を立つと、背後に置いてあった箱から何かを取り出し戻って来る。
「これをつけてください」
次にルシードへと、手に持った物を突き出してくる。
「……仮面?」
それは白い仮面だった。表には奇妙な模様が施され、のぞき穴は見当たらない。
「魔道具の一種です。ちゃんと視界も確保されますから、この街にいる間はつけておいてください。顔に押しつけるだけで結構です」
言われて、ルシードは仮面を顔に押しつける。すると、留め具もないはずの仮面は顔にピッタリと張り付いた。しかも、のぞき穴がないにもかかわらず、視界は良好だ。仮面をつけていない時と変わりなく見えるではないか。
「これでいいのかな?」
「あれ? 声変わってない?」
「え? そうか?」
ルシードは自分ではわからないが、ミラの言葉で声が変わっていると知る。
「はい、声も変わるようにできていますから、その仮面をしている人は同じ声になるので、人間違いには注意してください。服は……まあ、男性的な服を着ている女性もいますし、大丈夫でしょう。さあ、もう壁はいいですよ」
女性の声で、アルマリーゼとミラは動きやすいように一歩横へと離れた。
サーシャはルシードの頭の上が気に入ったのだろうか。動こうとはしないが、ルシードも軽いとばかりに気にしない。
「そういえば、前に街でこの仮面つけてる人を見たけど、なんなの?」
みんなの疑問を、ミラが代表して言った。
「ここ最近のことなのですが、今この街では、男性が入れないのをいいことに、一種の駆け込み寺になっていると言えばいいのか……とにかく、男性を排除しようとする動きもあるんです。男性がいるとわかれば、非常に危険なんですよ?」
「え? マジ? 今そんなことになってんの?」
「はい。別れた男性に頼まれて、説得しようとこの街へ来る女性もいますから、顔を見られたくない女性のために用意されたのがその仮面です。声が変わるのも、本人と気づかれないためですよ。無理に仮面を剥がそうとしても取れませんし、人の仮面を剥がそうとする人は、この街の法律で罰せられますので覚えておいてください」
「いつの時代も、男女間のもつれは大変ね。あなたたちも気をつけなさいよ?」
「お互いに見る目がなかっただけ。私は大丈夫」
サーシャはルシードの首に回した腕をギュっと絞めるが、ルシードはちょっと苦しいと思いながらも振りほどきはしない。
「しかし、驚きました。私がここに勤めて五年。男性にお会いしたのは初めてです。あ、握手いいですか?」
ルシードは差し出された女性の右手を握り返し挨拶する。
「初めまして。ルシードです、よろしく」
「こ、こちらこそ。私は受付のリリーと申します。以後お見知りおきを……あ! ギルドへの登録でしたね。こちらの用紙に記入をお願いします。それで、魔法は何をお使いになられるんですか?」
「あ、いえ、魔法は何も」
「……え?」
期待の眼差しを向けていた受付の女性――リリーは、ルシードの返答に笑顔で固まり、ルシードも何がいけなかったのかと聞き返す。
「……ダメですか?」
「あの、ここ魔法ギルドですよ? 魔法の使えない方はちょっと……」
魔法ギルド。魔法を専門にしているギルドということだろうが、登録するには魔法を使えないといけないようだ。これでは登録ができない。
「あれ? 私たちが四年前に登録した時は、魔法使えなくても大丈夫だったじゃない?」
「はい、そうなのですが、本部の方から、それでは専門の意味がないとお叱りを受けてしまいまして……皆さんはすでに冒険者に登録されていますし、聞かれなかったのでお伝えしていませんでしたが、去年から専門のギルドに入る場合、入りたいギルドのスキルは必須ってことになってしまったんです」
「そうなんだ。でも、この街に総合ギルドないでしょ?」
「それも議題に上がってはいるんですが、この街でギルドに入りたいのに魔法が使えないという方はいないものですからあと送りに……」
「まいったわね……どうする?」
どうすると聞かれても、どうしたものか悩むしかないルシードは、この街での登録は諦め、次の街で登録するべきだろうかと考える。
「なら、覚えればいいじゃない。魔法」
「まあ、それが一番の早道よね」
「神様ならできる」
アルマリーゼたちは簡単に言うが、ルシードは仮面で伝わらないものの、なんと返していいかわからないといった顔だ。
当然、覚えられるなら覚えたい気持ちはある。しかし、適性が……と考えたところで昨日の話を思い出す。
レーヴェに着いたことで有耶無耶になり、話が途切れてしまったが、ルーファたちの話ではルシードに適性がありそうなことを言っていたのだ。更にアルマリーゼの話では、今のルシードは通常の男性より魔力量が多いとのことだった。そもそも、アルマリーゼが無理だと思っているのなら、提案すらしてこないだろう。アルマリーゼなりに勝算があるはずだ。
「……そうだな。せっかくだし、挑戦してみるか」
「決まりね」
「私が師匠になる!」
「土より炎よ。私が師匠になってあげる」
サーシャとミラはルシードが引き受けたことで師に立候補してくるが、ルシードはどちらの魔法に挑戦するべきか悩む。実際のところ、旅に使うならどちらも有用そうではある。
「お二人とも落ち着いてください。ルシードさんにどの適性があるかわかっていない今、無理に押しつけたところで覚えられませんよ」
「む、それもそうか。ルシードは出身どこだっけ?」
リリーの声に、ルシードは人は生まれ持った属性があること、出自がおおいに関係するというテオの話を思い出す。
「俺はミレット村だよ。ここよりずっと北西の、雪と氷に囲まれた小さな村なんだけど」
「聞いたことないわね……でも、それだと水属性かな。私の相反属性じゃん。となると、セラフかな」
「むぅ、残念」
「ふふっ、せっかくですから、賢者様のところへ行かれてみてはどうですか?」
リリーの言う賢者とは、火、水、風、土の基本四属性を使うことのできる人物のことだろう。
「えー、無理でしょ。私たちが最初行った時は、会ってすらくれなかったもん。気に入ったら無料で教えてくれるなんて噂はあったけど、今まで師事できたって聞いたこともないし」
「まあ、駄目元ってことで。この街に来たなら、一度は見ておいて損のない場所ですしね。断られた場合はミラさんたちもいますし」
「それはそうだけどさあ……決めるのはルシードだし、どうする?」
ミラは乗り気でないようだが、ルシードは賢者とやらに興味があった。
「俺は、会えるなら会ってみたいかな」
賢者。ルシードが本で読んだ物語では、立派な髭を蓄えた老人が賢者と呼ばれていた……いや、この街の場合は老婆だろうことから髭はないだろうが、一度は会ってみたい人物であるのだ。
「……むぅ、じゃあ、行くだけ行ってみよっか」
「お待たせしました」
そこへ、鑑定室へと行っていたセラフが戻った。その後ろにはルーファもいるが、気難しい顔をしている。魔獣が高く売れなかったのかもしれない。
「おかえり、どうだった?」
「いや、それが新種の魔獣に間違いはないそうなんだけど、詳しく調べてみないことには金は払えねーってんだよ」
「あら、新種だったんですか? 依頼では、レイジングベアだったと記憶していますが」
「ああ、レイジングベアはいなかった。それより強そうなのがいたから、新種に食われちまったのか、もしくはレイジングベアが進化したか……ここいらで新種の報告はないのか?」
「はい、私がここへ勤めて五年、新種の発見はありませんが、その体や素材から、調べるために時間がかかりますからね」
「ああ、五日から一週間待ってくれって言われた」
「一週間かー、休みのうちに帰る予定だったけど、学園に戻るのが遅れるわね」
「そうですね。休学届けを出しておきましょうか。ギルドの依頼ですから、授業の免除理由にもなりますし……。リリーさん、連絡をお願いできますか?」
「はい、承りました」
ルシードは王都の学園に通っているはずの彼女たちが、何故この地方にいるのか聞いていなかったが、今の会話から長期の休暇を利用してこの街へ戻って来ているようだと知る。第二の故郷と言っていたことから、森に魔獣が発生したと知り、街を脅威から守るために、はるばる遠くからやって来たのかもしれない。
「神様と一緒にいられる時間が増えた。いいこと」
「まあ、それは……ってなんだよ、急に背が伸びたかと思えば、羨ましいことしやがって。それにその仮面、ルシードだよな?」
サーシャほどではないが、ルーファも四人の中ではサーシャに次いで背が低い。頭上からかかった声に、初めてサーシャがルシードの頭上にいることに気づいたのか、見上げるようにして言う。
「あ、ああ、まあ、ちょっと訳ありでな……あとで話すよ。声も気にしないでくれ。それより今は――」
「そうそう。ルシードが魔法を覚えるのに、賢者様のとこに行こうって話してたのよ」
「おー、覚える気になったか。しっかし、賢者様か、アタシも会ったことないな。会えるのか?」
「行ってからのお楽しみってやつよ」
「ふふっ、まあ、見ておいて損のない場所ですし、行きましょうか」
「一見の価値あり」
リリーも言っていたが、賢者のいる場所は特別な場所のようだ。
「では、またのちほどお待ちしていますね」
「はい、色々とありがとうございました」
ルシードはリリーにお礼を言い、ギルドを出る。
道すがらルーファとセラフに仮面の説明をし、賢者の場所へと案内をしてもらう。
場所は街の中心なのか、少し歩いたが、さほど時間もかからず到着する。
「ここよ。ここが賢者様のいる塔」
ルシードが案内された場所には、一本の塔が聳え立っていた。街に入ってすぐに見えていたはずだが、街に見惚れるあまり、上にまで視線がいっていなかったことから、気づいていなかったようだ。その塔を見上げて驚く。かなりの高さを誇る塔だったが、驚いた理由は別にあったのだ。




