表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『【RTA】婚約破棄イベントがガバガバすぎてイライラするので、悪役令嬢(元ゲーマー)の私が壁抜けアシストしてやることにした』  作者: 沼口ちるの


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/1

【ミッション】時間内に目標を達成せよ?

「エ、エレーナ! 貴様との、こんやっ、こんやっくはき……を、ここに宣言しゅる!」


王城の輝かしいシャンデリアの下、第一王子ルードヴィヒの声が裏返り、見事に噛んだ。

静まり返る貴族たち。顔を真っ赤にする王子。


(……あーっ! もう! だから直前のセーブポイントで『滑舌のポーション』を飲めって言ったのに!)


扇子で口元を隠しながら、私、悪役令嬢エレーナ(前世:限界RTAゲーマー)は内心で頭を抱えていた。


この世界は、私が前世でやり込んだ乙女ゲーム『きらめき☆王宮デイズ』の世界だ。

ただし、この世界には「絶対的なシステム」が存在する。

王族の婚約破棄を成立させるためには、**『大勢の前での宣言』『証拠となる三つの罪状の提示』『ヒロインの涙』『王子の右腕の角度45度による指差し』**という厳密なイベントフラグを、制限時間5分以内に連続で満たさなければならない。


失敗すればフラグは折れ、私は明日、このポンコツ王子と結婚させられてしまう。

それだけは絶対に嫌だ。私はさっさと婚約破棄されて、辺境の領地でスローライフ農業シミュレーションを始めたいのだ!


「る、るーどヴィヒ様ぁ……」

王子の腕に抱きつくヒロインの男爵令嬢。しかし、緊張のせいか一滴も涙が出ていない。

(ヒロイン! お前も泣きポーズだけで涙のパーティクルが出てないぞ! イベントが進行しない!)


タイマーはすでに2分を経過。このままではタイムアップ(強制結婚ルート)だ。

私は覚悟を決めた。こうなったら、力技でイベントを強制進行させるしかない。


「ふふ、王子殿下。私に何か言うことがあるのではなくて?」

私は優雅に微笑みながら、ドレスの影で密かに【無詠唱・不可視の風魔法(レベルMAX)】を展開した。


「そ、そうだ! 貴様は! マリアの教科書を破り、階段から突き落とし、さらに、ええと……」

王子が三つ目の罪状をド忘れしてフリーズする。

私は即座に【念話】を王子の脳内に直接叩き込んだ。

『(……噴水! 噴水に突き落とした、でしょうが! 早く言って!)』

「そ、そうだ! 噴水に突き落としたであろう!」


よし、罪状フラグクリア!

次はヒロインの涙だ。私は風魔法を極細の針のように収束させ、テーブルの上にあった『激辛オニオンサラダ』の汁を弾き飛ばし、ヒロインの目元へクリーンヒットさせた。


「痛ぁぁぁいッ!? ぅ、うわぁぁぁん!!」

よし! 【ヒロインの涙】フラグ、強制クリア!


残るは王子の『右腕45度の指差し』。しかし王子はパニックになっており、両手で頭を抱えている。

(腕を下ろすなバカ! 判定がシビアなんだよ!)


私は風魔法を物理的な力場に変換し、王子の右腕を無理やりガシッと掴んで引っ張り上げた。

「な、なんだ!? 右腕が勝手に……ッ!?」

「殿下! もっとビシッと指を差してくださいませ!」

「こ、こうかぁぁぁッ!?」


私が魔法で微調整を行い、王子の右腕が完璧な45度(システム許容誤差±0.5度以内)で私を指差した。


ピロリンッ♪


その瞬間、天上からファンファーレが鳴り響き、システム音声が脳内に響き渡った。


『【婚約破棄イベント:条件達成】。これより、悪役令嬢エレーナの国外追放ルートへ移行します』


「勝った……!」

私は思わず両手でガッツポーズをした。

記録、3分42秒。ガバガバな王子をキャリーしたにしては、悪くないタイムだ。


「えっ? エレーナ、お前なんでガッツポーズして……」

「それでは殿下! 今までお世話になりました! 辺境でのスローライフが私を待っているので、これにて失礼しますわーっ!!」


私は呆然とする王子と、玉ねぎの汁でガチ泣きしているヒロインを置き去りにして、王宮の扉を文字通り蹴破って走り出した。

明日からは念願の農業無双だ。まずはくわの素振りから始めよう。


【完】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ