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恋の成就も、ネコしだい?  作者: 朝姫 夢
第六章 恋の成就も、ネコしだい?

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2.噂

『そうね。今頃ワタシたちのことで、会話が盛り上がっているんじゃない?』

『それもそれで困るなー』


 今日、セレーナがお呼ばれしちゃったんだって話をビアンカにしたら、返ってきたのはそんな言葉で。確かにセレーナとフィリベルトの共通の話題って、それだけなんだけどさ。


『ここ最近、フィリベルトはずっとご機嫌だったのよ。もうすぐ会えるんだって』

『手紙のやり取りしてるじゃん』

『それとこれとは、また別なのよー』


 なんか、そう話すビアンカもちょっとご機嫌じゃない? というか、楽しそう?


『ところで、一緒にお留守番って言われた例のイヌは? 今どうしているの?』

『クロなら、お家でニンゲンと遊んでるんじゃないかな? この間シャンプーされて、結構キレイになったんだよ』


 さすがにネコやイヌは連れて行けないからって言われたんだけど、その分フィリベルトが今度なにかお礼してくれるって手紙に書いてあったってセレーナが教えてくれたし、ボクが手紙を受け取った時もフィリベルトから直接言われたんだ。その時一緒にクロのことも話してたから、ビアンカもちょっと気になってたみたい。


『イヤな言葉ね。ワタシ、濡れるの大嫌い』

『ボクもー。でも、クロは平気だったみたい。むしろ水遊びできて楽しいし、気持ちよかったって言ってた』

『変わってるわね』

『ねー』


 水に濡れるなんて、怖すぎるよ。ホント、よく平気だよねクロ。

 でも一番ボクがビックリしたのは、実はクロって真っ黒じゃなかったってこと。鼻の周りとか目の間とか額とか、ホントは真っ白だったんだなって。あと、胸とかお腹とか足の毛も。

 あんまりにも色が変わりすぎてたから、ボクですら最初誰なのか分かんなかったくらいだもん。ニオイも違ってたし、オスワリなんてしちゃうと正面から見て黒いのは顔のあたりだけだし、もはや別イヌだった。もちろん後ろから見ると、変わらず黒い部分が多いんだけどさ。首の周りと尻尾の先とかは白かったけどね。


『なんかね、ニンゲンがボーダー・コリーっていう種類のイヌだって言ってた』

『ボーダー・コリー?』

『最初に発見されたのがニンゲンの縄張りの境界線みたいなとこだったから、ボーダーって名前なんだって』

『ふぅん? イヌの種類は、さすがにワタシも知らないわね』


 ボクもよく分かんないけど、とりあえずクロがいっぱい遊ぶイヌだってことだけは確実みたい。ニンゲンが「運動量が多いので」って言ってたからね。それと「賢い」とも言ってたな。

 あとやっぱり広い庭でかけっこしてみたら、ボクはすぐ追いつかれちゃったんだ。予想はしてたけど、ちょっと悔しいよね。楽しいからいいんだけどさ。それに高いとこに逃げちゃえば、クロは追ってこれないし。


『ちなみに、ルシェは知っているの?』

『なにを?』

王宮(ここ)では今、動物に愛された侯爵令嬢がフィリベルトのことを救ったって、ニンゲンたちが一番楽しそうに噂しているってことをよ』

『え!? そうなの!?』


 ってことはつまり、セレーナがフィリベルトを助けたってニンゲンたちに思われてるってこと!?

 確かに革袋はセレーナのモノだし、ボクが手紙を届けたのもセレーナにだったけど……。


『フィリベルトも言っていたでしょう? 本音を言えば、ルシェたちも呼びたかったって』

『え、フィリベルトが他のニンゲンにそのこと話したの?』

『フィリベルトだけじゃないわ。ルシェたちを見たニンゲン全員が、その話を広めたみたい』

『えぇ!? なにそれ!!』


 なんか、知らない内に結構おっきなことになってない!?

 いや、いいんだけどね。そのおかげで、セレーナはフィリベルトに会えてるわけだし。いいんだけどさ。


『でもおかげさまで、ネコも頭がいいってニンゲンたちが理解し始めているのよ』

『そう、なの?』

『えぇ。だからもしかしたら、ワタシもこの部屋の外に連れて行ってもらえるかもしれないの』

『やったじゃん! その時はボクも一緒に行くよ!』

『そうね。楽しみにしているわ』


 言い方は素っ気なく聞こえるけど、実際は嬉しそうに尻尾がユラユラ揺れてたから、きっとビアンカも本気で楽しみにしてるんだろうなってボクには分かった。

 ボクたちの行動がフィリベルトを助けただけじゃなくて、セレーナやビアンカを喜ばせてあげれてるなら、どんな噂になっててもいっかって思えたんだ。



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