↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋の成就も、ネコしだい?  作者: 朝姫 夢
第六章 恋の成就も、ネコしだい?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
56/68

1.ここなら安全

『クロ、おはよう』

『おはよう、ルシェ』


 クロがボクのお家に来た日は、ニンゲンたちがクロのために庭においしいごはんをいっぱい用意してくれて。久しぶりにお腹いっぱいになるまで食べられたって、クロも喜んでたんだ。

 それで眠くなったってクロが言ったから、そのままボクの部屋まで案内しようと思ったんだけど、庭からだとボクがいつも使ってる扉はクロには小さすぎて入れないからって、ニンゲン用の扉から入ってもらうことになったんだ。

 その頃にはクロもほとんど周りを警戒しないでリラックスしてくれてて、そっからボクたちは毎日一緒にいる。でも庭から入るための扉だけは、クロが入れるような大きさだとニンゲンも侵入できちゃって危ないからってことで、結局今もそのままなんだけどね。これからも変える予定はないんだってさ。

 ちなみにクロは外にいたから、キレイにするまでセレーナの部屋には入っちゃダメなんだって。一応ニンゲンが濡らした布で拭いてるのを見てたんだけど、ちゃんと洗わないとダメって言われてて、クロだけじゃなくってボクとセレーナもシュンってなっちゃったんだ。だからその代わりに、最近ボクは毎晩寝る部屋を変えることにしてる。そうやって、セレーナとクロと交互に寝てるんだ。


『ごはん、食べる?』

『うんっ』


 頭をクロにこすりつけて朝の挨拶をしてから聞いてみたら、嬉しそうに尻尾を振りながら返事してくれる。もしかしてボクを起こさないように、ニンゲンを呼んで先に食べたりしないで待っててくれたのかな? だとしたら、すぐにごはんにしないとね!


「や~ん! 二人並んで食べてる姿、可愛すぎる~~!!」


 ちなみに、ごはんを用意してくれるこのボクたちのことが大好きすぎるニンゲンにも、クロはもう慣れてくれたみたい。最初の頃はビックリして、ごはんのお皿から顔上げて凝視してたけどね。それに気づいたニンゲンがクロを驚かせないように小声になってからは、クロもこういうものだって諦めたんだと思う。

 にしても、その頃よりも声おっきくなってない? ボクたちがカワイイのは当然だから、嬉しくなっちゃうのは仕方ないんだけどさ。


(ま、クロが驚いてないなら別にいっかー)


 なんて考えながら朝ごはんを食べ終わったボクが、セレーナの部屋に向かう直前。


「今日はシャンプーしましょうね♪」


 って、クロに向かってニンゲンが言ってるのが聞こえたんだけど。振り向く前に扉が閉められちゃったせいで、残念ながらその瞬間のクロの顔はボクには見えなかったんだ。

 絶望、してないといいんだけど。頑張って、クロ。


(でも濡れるの平気だから、もしかしたらクロなら大丈夫かも?)


 どうなんだろうなーなんて思いながら、いつも通りの道のりを歩いていつも通りにセレーナの腕の中に飛び込んで。気持ちよくゴロゴロしてたボクは、まさかこのあとすっごくビックリさせられるなんて考えてもなかったから。


「お嬢様! 大変です!」

『っ!!』


 駆け込んできたニンゲンがセレーナに大声で話しかけた時に、いきなりで驚きすぎてセレーナの膝の上で飛び上がっちゃったんだ。

 そのまま急いで、セレーナのスカートの中に隠れる。ここなら安全だからね。


「あらあら! 困ったわ、ルシェが……。大丈夫よ。怖くないわ」

「あ……。し、失礼いたしました……」


 姿勢を低くして、耳を後ろに倒して。いつでもトップスピードで逃げ出せるように準備しながら、スカートの中で周りを警戒してると、優しく話しかけてくれるセレーナの声が聞こえてきたんだ。


「ほらルシェ、大丈夫よ。怖いことはなにもないから。スカートの中から出てきて、可愛いお顔を私に見せてちょうだい?」

『……ホントに? ホントに大丈夫?』

「あらっ、うふふ。ルシェったら、そんなふうにしている姿も可愛いのね」

「お嬢様?」


 スカートからちょっとだけ頭を出したボクを見て、なんだか嬉しそうに笑ってるセレーナ。で、その姿を見た別のニンゲンが今度はセレーナの名前を呼ぶ。

 ていうかこれ、結構普段通りな感じかも。ってことは、ホントに大丈夫なのかな。


「あら、私ったら。ルシェがあまりにも可愛かったから、つい。ほら、大丈夫よ」

『……信じるよ? ボク、セレーナのこと信じるからね?』


 差し出された指のニオイを確かめながら、軽く挨拶する。確かにセレーナは普段通りだし、たぶんホントに大丈夫なんだと思う。

 とはいえさっきのニンゲンはまだ部屋の中にいるから、低い姿勢のままスカートから出てすぐ、セレーナの膝の上に戻って小さくなって。なにかあっても素早く逃げ出せるように、一応まだ少しだけ警戒しておくことにしたんだ。


「うふふ。可愛いわね」


 毛づくろいするのはあとでいいから、今は警戒しつつ素直にセレーナに撫でてもらっておこうかな。あ、耳のとこ気持ちいい。


「それで? 可愛いルシェを驚かせてまで伝えたかった、大変なことなのでしょう? 聞かせてもらえるかしら?」

「た、大変失礼いたしました……」


 あれ? セレーナ笑ってるけど、実は結構怒ってる? ボクがビックリしちゃったから? だとしたら、すっごく嬉しいなぁ。

 って、この瞬間までは思えてたんだけど。


「その……王家より今回の王太子殿下救出の功労者として、お嬢様も含めてルミノーソ侯爵家全員に褒賞を、とのことでして……」

「まぁ。つまり、陛下から直々に王宮にお招きいただいたということ?」

「はい、そうです」

「それは……確かに、大変なことよね」


 なんか、結局最後はセレーナも納得しちゃってたんだよね。ボク、ちょっと悲しいよ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。