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子猫、取ったど~!

 ビーライト商会から帰った次の日から猫狩りが増えた。中には家を壊して猫を追いたてる者も出てきて人も猫も大変迷惑を被っている。


「見回りの兵士も増えたがこのばか騒ぎはなんだってんだ」

「猫を狩っている連中に言いなよ」

「噂じゃどっかの商会がやってるんだろ?」


 猫を追いかけ回す奴。それをぶん殴る猫好き冒険者。便乗して毒薬売る奴。それに比例して解毒薬と回複薬が売れる。


「今月の売り上げは達成した!」


 朝っぱらから大通りで叫んでいるハゲネタのオッサンがいた。


「嬉しいからって道で叫ばなくても。そんなこと言ってると禿げるよ」

「なんとでもいいたまえ。最近はあの呪文のおかげで増えてる気がする」

「あっ、あれ髪の根っ子からの死滅を願った呪文だから。今増えたように見えるのは残った根っ子が最後の頑張りを見せて、毛が伸びているだけだから」

「なっ、なっ……」


 頭にやった手から細長い髪の毛が垂れる。『ぼっ、僕……がんばった……よ』そう言ってるようだ。


 orz 状態のオッサンを置いて店にはいる。宿屋から散歩に出たついでにビーライト商会の事を知りたいとこの店に寄ったんだが……。


「ビーライト商会は先代が急死してね。代替わりしているのよ」


 がらんとした店内でお姉さんとお茶を飲んでいる。先代とも知り合いだったそうだ。


「先代は女性で私の所にちょくちょくお茶を飲みに来たわね。私の所に奥さん方が集まるから」


 年をとっていたが、背筋のしゃんとした人だった。ここで商売のアドバイスもしていたらしい。


「いつも子猫を抱いてここに来ていたわ。商会に置いておくと何されるかわからないって」


 子猫を可愛がっていたのか。でも、商会に置いとけないって?


「商会のNo.2、今の会長のサマーさんが動物嫌いで特に猫を毛嫌いしてるの」


 毛嫌いしていても先代の猫を捨てるまでやるかね? それに先代さんが死んだんなら外に放り出すだけで済むのに。……他に何かあるのか?


ニャー。


 世間話(生首を乗せた馬の話等)を交えてそんな事を話していると、猫の声が聞こえた。


 お姉さんの肩越しに奥を見る。棚の上に黒い子猫がルビーのような紅い目で見ている。


ニャー。


 再び声がする。俺は紅い目に見いられた様に動けなくなった。


「もう帰るのね。また来てちょいだい」


 お姉さんがいきなりそう言うとお茶を持って奥にののドアに消えた。


 俺の体は意思とは関係なく入り口へ向かい外へ、


「ニャガ!(出ていくか!)」


 俺は魔力を脳から手足の隅々に流して体の支配を取り戻す。振り返って目を見開いている黒い子猫に風脚を使い一瞬で近づき首筋を掴み外へ逃げる。


ニャー!(離せ! 痴漢! 変態!)


 手の中で暴れる子猫をそのままに宿屋へ風脚を使い走る。ニャーニャー鳴いてうるさいが構ってられるか! 宿屋に駆け込み部屋に入り開けられないようにドアにつっかい棒をする。


ニャー。(お帰り早かったな)


 粗末なベッドの上でくつろぐガンタイと子猫達。そう、俺の部屋は今、ガンタイの所の子猫達の避難場所になっている。


「猫、取ったど~!」


 黒い子猫を掲げる俺にバカでも見るような視線が集まった。

 



無理矢理に子猫と引き合わせた。この後は猫達の反逆がある……だろうか? 天よ、我にアイデアを下さい!

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