ブチ猫を追う。それは残像だ!
奥さん、ここら辺でブチ猫が出たんですって。ブチ猫ってあのブチ猫? そうなのよ! 私も見たのよ。そこの宿屋の前を横切って行ったわ! 脳内井戸端会議修了~。
ナー?(たしかこの角曲がったよな?)
今、猫に戻ってスネーク中……猫なのに。
ナ。(いた)
ブチ猫が酒場がある通りを悠々と通りすぎていく。人の足元をすり抜け、時たま落ちている食べ残しを食わえてはじっこに寄って食べる。その様子をスネーク中……猫なのに。
だんだん人が居ない暗い所に向かっていき、とうとう袋小路で足を止めた。
ニャ。(後ろから付いてきている奴、バレてるから出てこい)
誰だよ、そんな間抜けは。
ニャ!(キョロキョロしてるお前だよ!)
だから何処にいるんだよ!
ニャ!(お前だ!)
後頭部を前足で叩かれる。俺か!
ニャニャ!(だいたいずーっと着けて来てたよな! 何してんの? 話しかけろよ! お前待ちで落ちてるヤツも確保したのに!)
ただ単に腹へっただけでしょ?
ニャ。(俺くらいになると着けてくる奴はわかるんだよ)
誤魔化したな。
ニャ。(私には気づかなかったみたいね)
ブチ猫の後ろに現れたパシュティさん。どうしてここに?
ニャ。(ペケがどっか行くから追ってきたのよ。そこのブチ猫と話するんでしょ)
ニャ!(話? 俺と話できると思ってんのか? これは残像だ!)
ブチ猫の姿が薄れ消え去る。パシュティさんの後ろで毛繕いしてるブチ猫が現れた。
ニャ。(さて、こっちが話を聞かせてもら……)
ニャ!(こっちも残像よ!)
パシュティさんが消えて、ブチ猫の背後で木の板で爪を磨いでいる。
ニャ。(あなたには10年はや……)
ニャ!(これも残像だ!)
パシュティの背後にブチ猫がーー
ニャ!(残像よ!)
ブチ猫の背後にーー
ニャ!(残像だ!)
パシュティさんのーー
ニャ!(残像よ)
ブチ猫ーー
ニャ!(残像よ!)
ナ!(何してんの! 2匹とも何してんの!)
2匹の残像を追いかけて行くと息切れして倒れていた。
ニャ。(なかなか……やるな)
ニャ。(あなたもね)
2匹の間に友情が生まれたらしい。どうでもいいわ!
ニャ?(で、なんで着けてきたんだ?)
ナ。(盗賊達の所で見た後、こっち来てるから挨拶しようと思って)
ニャ!(だったら普通に話しかけろ!)
2匹に文句言われた! 何で?
ナ。(盗賊達、捕まったんで今度行っても何もないかもしれないよ)
ニャー。(マジかー)
ブチ猫さんの髭がヘニャっと下がった。
ただ単に『残像だ!』を書きたかった。後悔はしていない……はず。




