親猫達も弄ばれました。……猫じゃらしで。
「おー。ボス猫、久しぶりだな~」
飼い主の父親の声がする。朝っぱらからテンション、たっけー。
「ん? 何、毛を逆立ててんだ? ……ああ、わかった。コイツか? ほれほれ」
ニャ。ニャッ!ニャー!
どっかで聞いたことのある声だな。隙間から外を覗くと、親父(猫)が親父(人)に弄ばれている。もちろん猫じゃらしで。
ああ、飛んで捕まえようとしてるのをつり上げておちょくってる。
ピョンピョン跳び跳ねてむきになってんね。
ニャガー!(死にさらせ~!)
跳び跳ねた父猫が猫じゃらし無視して親父の顔面に猫パンチ!
ーーパシッ!
なっ! カウンターで猫じゃらしを父猫の顔面に打ちこんだ?
「まだまだ甘いな」
猫じゃらしでひっくり返った父猫をツンツンしながら言った。あまりに鋭い猫じゃらしの一撃にピクピクしてんだけど。大丈夫だよね?
ニャガ~。(お、俺は負けてねえ~)
大丈夫そうだ。親父(人)もそれに気がついて、つつくのを止めて家に帰ってきた。
親父(猫)? ショボくれてどっか行っちまった。
「ボス猫、弱くなってね?」
朝食を食いながら親父が飼い主に話していた。
ニャー。ニャー。(てりゃー。おりゃー)
食い終わった後、俺を相手に猫じゃらしでおちょくる。明らかに手加減されているのが分かる。
しばらくして体力の限界を感じた俺は母猫にしがみついて不貞腐れる。何だよ~。さわれねーよー。チートかよ~。
昼過ぎ、飼い主の部屋でウトウトしていると、
ニャー!ニャー!(頼もう!頼もう!)
複数の猫の声。
ーーガリガリガリガリ……。
更に外から爪砥の音が聞こえる。……眠れないんだけど!
覗くと、赤茶けた尻尾の短い猫とでっぷりした三毛猫と体も尻尾もふっさふさのブルーの猫。家の前でうろちょろしてます。
ニャーゴ。(あの3匹が来たね)
ナー?(知ってる?)
ニャーゴ。(アイツの仲間だよ。ゴブリン狩りの)
へー。何しに来たんだろ? 挨拶かな?
「珍しいな~。3匹も来たのか」
「家のより可愛くないのが来てる~」
飼い主を肩車した親父が散歩から帰ってきた。
可愛くないと言われた猫達、地味に落ち込んでる。 足元掘っても何も出ないから。
ニャッ!ニャーガ!(今朝の仲間の仇だ! お前に敗北を教えてやる! それとブサイクじゃねぇぇっ!)
立ち直った様に見えて立ち直ってない。最後のだけが自分達を鼓舞する様に思えた。分かるよ。分かる。
「ボス猫と同じで遊びたいんだな? よしよし」
飼い主を下ろすとしゃがんで猫じゃらしを出す。いつも持っとんのかい!
3匹がそれぞれ親父を囲むように移動する。親父の右手から赤茶、青色、三毛と順番だ。
「ほれほれ。ほれほれ」
親父ぃ~。呑気だね。猫は殺気立ってるてーのに。
ニャッ!(殺れ!)
3匹が一斉に飛び出し、猫じゃらしに向かって前足を伸ばす。囲んだの意味ねえぇぇ!
ニャ。(なかなか取れねーな)
ニャ。(てか、お前の頭が邪魔)
当たり前だろ! そんな頭くっつけちゃ、動きにくいだろうが! 三毛の方はすでに寝転んでやってるし。
あっ! 飼い主が三毛に興味持ったのか捕まえて戦線離脱させられた。
しばらく経つと、2匹して目の前に来る猫じゃらしに反射的に前足を出しながらも動かない。飽きたんじゃない?
三毛? 飼い主に餌付けされて腹見せてるけど? あれ、服従のポーズだっけ?
ニャー。(餌くれる人は神様です)
……どっかで聞いたことのあるようなセリフ言ってます。
この後、母親が夕飯を呼びに来るまでグダグダとやったいた。
「3匹、バカっぽくね?」
夕飯食いながら親父が飼い主に話していた。
夜に目を覚ますと母猫の側から離れ家の中をうろちょろする。だって眠れないんだもん。
で、見つけたのが猫じゃらしとジョッキを持ったままテーブルに突っ伏して寝ている親父だった。飲みながらやったよ~猫じゃらし。もちろん取れなかったさ!……だが、今なら。
抜き足差し足ご飯抜き~。飯抜いちゃダメだろ!
よし、眠ったまんまだ。目標(猫じゃらし)までもうちょっと!
落ち着け! 深呼吸して、目標さだめて飛びつーー
「おとうさん! こんなところで寝ちゃダメ!」
ビックリした! 尻尾までピーンと立っちゃた!
親父は飼い主に起こされて寝床に連れていかれた。
そして俺の前足の下には猫じゃらし。
ニャアァァァ!(取ったドー)
感動に涙していると起きてきた母猫に猫パンチをくらい、寝床に連れていかれた。
ペケリンはーー
素早さが上がった。
抜き足差し足を覚えた。
ーーって何でやねん!




