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再びの異世界、可愛かった皇子様が俺様竜帝陛下になってめちゃくちゃ溺愛してきます。  作者: 新城かいり
砂漠の国の王子様

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第45話


(リューが、魔族……?)


 私は目を瞬く。


「え、でもリューは竜人族じゃ……」

「竜はその気高さから神と崇める者もいるが、一応魔物だからな。その血を引く俺は一応魔族というわけだ」


 彼は軽い調子で言いながら椅子から立ち上がった。


「だから、未だに俺のことを毛嫌いする奴らは多い。妖精や花の王国の奴らは特にな」


 ――奴が竜人族だからです!


 いつかのメリーの声がふいに蘇った。なんでリューを嫌うのかと訊ねたときに返ってきた言葉だ。

 そして7年前、助けを求めにきたリュー皇子の言葉をなかなか信じようとはしなかった花の王国の人たち。

 あの頃は皇子のあの性格ゆえだと思っていたけれど、ひょっとして彼が竜人族――魔族だからという理由もあったのだろうか。


 そんなことを思い出していると、リューがこちらを見てふっと笑った。


「俺が、恐ろしくなったか?」


 ――!


「……なんでですか」


 思わず強い口調で訊き返していた。

 椅子から立ち上がって彼の前に進み出る。


「リューに竜の血が流れていることは知ってましたし、今更『魔族』だと言われても別に恐ろしいとは思いません。リューはリューです」


 その金の眼が見開かれる。


「そもそも、私にとったらこの世界の人たちは皆『異世界人』ですし、逆に言えばリューが異世界人である私を受け入れてくれたことの方が未だ驚きです」


 するとリューはもう一度笑った。今度は本当に可笑しそうに。


「そうか、そうだったな」


 その笑顔を見て内心ほっとする。

 ……先ほどの笑みはなんだかちょっと、傷ついているように見えたから。


 ぽん、とリューは私の肩に両手を置いた。


「ところでコハル、あの第三王子とは昔どんな関係だったんだ?」

「え゛っ」


 また全く質の違う、圧のある笑顔で見下ろされ思わず変な声が出てしまった。

 先ほども一瞬マズイと思ったけれど、その後の真面目な話題で有耶無耶になったものと思っていた。


「何もないですよ!」

「何かと世話になったんだろう?」

「世話って、港まで迎えに来てくれたり砂漠の国を案内してくれたりって意味で、でも彼、王様に言われて仕方なくって感じでしたし、リューが考えているようなことは何もないです!」

「あちらはまた会えて嬉しいと言っていたが?」

「あんなの社交辞令に決まってるじゃないですか! ……本当に、何を考えているのかいまいちよく分からない方だったので会話もそんなにした覚えないですし……信じてくれないんですか?」


 流石にむっとして睨み上げるとリューは脱力するように私を抱きしめた。


「……すまない。信じてはいるんだが、俺のようにコハルをずっと想っている奴が他にもいるんじゃないかと、どうしても考えてしまってな」


 それを聞いて、私はその背中に手を回す。


「そんなの、リューだけですよ」


 7年の間ずっと、こんな私を想い続けてくれていた人なんて他にいるわけない。


「そうだといいんだが……」

「そうに決まってます!」


 強く言い切って私は彼を見上げる。


「これから緊急会議を開くんですよね? しっかりしてください陛下!」

「……あぁ。そうだな」


 リューは力なく微笑んで名残惜しそうに私から手を離した。


「何やら面倒なことになりそうだ」


 重苦しい溜息を吐いた彼に私は訊く。


「あの、砂漠の国を攻撃しているのが本当にその魔族の人たちだったとして、その理由に何か心当たりはあるんですか……?」


 先ほどのふたりの会話を聞くかぎり、何か共通の認識があるように思えた。

 するとリューは少し間を置いてから低い声で答えてくれた。


「魔族だという理由で虐げられてきた者たちがいる。その者たちが何らかの意志を持って動き出したのだとしたら、厄介だ」




 それから、急遽集められた大臣たちとカネラ王子を交えた会議が始まった。

 そこに私も参加させて欲しいとは流石に言える雰囲気ではなく、私は自室のソファに座り何度目かの溜息を吐いていた。


「コハルさま、大丈夫ですか? 癒してさしあげますか?」

「ありがとうメリー、大丈夫」


 心配そうに私の目の前にふわふわと飛んできたメリーに微笑む。


「ねぇ、メリーは魔族のことどう思ってる?」

「魔族、ですか? 嫌いなのです」

「そ、そっか」


 わかってはいたけれど、予想通りのはっきりとした答えに苦笑してしまう。

 同時にちくりと胸が痛んだ。

 先ほどリューは、妖精だけじゃなく花の王国の人たちも自分を嫌っていると言っていた。

 

(ティーアも、魔族や……リューのこと、嫌っているのかな……)


 花の城でのふたりのやりとりを思い返すと、確かにあまり良い印象は持っていないようだった。

 私がリューと一緒になることも、竜帝妃となることも、友人は良く思っていないのだろうか。


(だとしたら、結構ショックかも……)


 と、メリーがぷくうと頬を膨らませた。


「だって、魔族が魔王を復活させたのですよ」

「!? なにそれ、初耳なんだけど!?」


 私は思わず目の前のメリーをもふっと両手で挟むように持って立ち上がっていた。


「えっ、えっ、知らなかったのですか?」

「知らなかった!」


 7年前、私がこの異世界に喚ばれたときにはすでに魔王が復活し魔物が世界に溢れていた。だから私が喚ばれたわけなのだけれど。

 でもそのきっかけまでは聞かされていなかった。


 ――その者たちが何らかの意志を持って動き出したのだとしたら、厄介だ。


 先ほどのリューの言葉。


(魔族が、また魔王を復活させようとしてるかもしれないってこと……?)



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