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【アニメ2期!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
来襲侍女と襲来

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そして誘導する。


「なんだアレは!?」


あれは、と。レオンは踵を返し新たな渦中へと駆け出した。

周囲の来賓や兵士騎士が後退し、武器を掲げ警告を喉で張り上げる中で全く反対の行動をする。突然駆け出したレオンに、周囲の来賓は迎撃に向かったのだと考えた。

人混みを騎士にかき分けさせ、進んだ先で大岩の一角ではなく、正しくその全体図を視界に収められるまで接近したレオンは僅かに声を張る。見上げた先へと呼びかけた。


「こんなところで何をしているんだい?」

「あ゛ー?」

数秒の後に、聞き慣れた低い声が大岩の〝内側〟から返された。

外からはただの大岩が地面をのんびり移動しているようにしか見えないが、もう彼の特殊能力を見慣れたレオンは正体もわかりきっていた。何も見ずに進行できるようならば今までの戦場でもそうしていたことを考えても、恐らくは周囲を囲っていてもどこか薄い表面越しになんとなくはこちらが見えているのだろうとまで推理する。


そしてレオンの呼びかけに、ヴァルもまた大岩の動きをぴたりと止めた。

もともと無理矢理人混みをこじ広げる為に速度を落として進ませていた分、反動もなくすぐに停止できた。薄い土壁で覆った膜がパラリと崩れ出す。

ヴァルとは違う声で「うっわ待てマジで?!」と飛び上がった男の声が新たに聞こえてきた。それを皮切りに、天頂部から大岩が次々と砂塵と化し、内側から二人の男性が姿を現す。ヴァルとそしてライアーだ。

しかし、堂々と胸を突き出すヴァルと違い、小さく背中を丸め姿勢を低めたライアーは逃げ場を探すべく駆け足で人混みへと紛れ


ガチャガチャガチャッ!!!


「離れない方が良いよ?君一人じゃ侵入者と間違われちゃうから」

「ハイ仰る通りに?!!」

レオンの合図で素早く銃を突きつける騎士達に、ライアーの姿勢が伸びる。声をひっくり返らせながら両足を揃えて両手を挙げた。男の声など記憶にも留めていない。

薄い砂の壁で、大勢のシルエットだけで判断し大岩を進ませていたヴァルにとっては、幸いな顔見知りとの合流だ。しかもレオンであれば都合も良い。が、ライアーにとっては意味不明の上級層の人間でしかない。

顔を覚えられたくもないライアーにとって、今は一秒でも人目から逃げたかった。もう仕事の殆どは終えたのだから、最悪自力でフリージアに帰れれば良いとまで考えていたライアーは、銃口を前に降伏を示しながらやはり逃げることばかりを考える。


素早い降伏姿勢とは裏腹に、視線をちらちらと忙しなくするライアーに、レオンもすぐに彼の意図を理解した。

彼がライアーと知りつつも、自分のこの顔は知らないからこそ反応に無理もないと察す。

騎士団に指示を出し、再び自分達を中心に人の壁として囲わせた。分厚い騎士隊の背中に隠され出した途端、ライアーはわかりやすく姿勢をまた屈め小さくなった。高身長に入る自分が僅かにも周囲の人間に顔を見られないようにと、最終的には全面降伏のふりをして片膝をついた。目の前の金持ちそうな青年を敬う気も降伏の気も全く無いが、それが一番安全だと判断する。

跪くライアーを無視し、ヴァルはレオンの真正面にまで歩み寄る。その間にも土塊の固まりになった大岩だったものも重力に潰され目立たなくなっていった。大岩だったものの表出と、そしてアネモネ騎士団の整列に注目度は変わらないが、それでも中心は人目から守られた。


「君、……なんだよね?多分。なかなか面白いことになってるね」

「俺の趣味じゃねぇ」

「へぇ、不満なんだ」

うわー、と腕を組みながら改めて自分を眺めるレオンに、ヴァルも不快をままに睨みを強める。

フィリップからの特殊能力を解かれた今、レオンにもヴァルの目は珍しい。

用があるから引き留めたんじゃないのかと、口を閉じたまま睨み付けてくるヴァルにレオンはもう一度呼びかけた時と同じ言葉を投げ掛けた。


ライアーも「それな!!?」と心の中で叫んだが、今はぴっしりと口を閉じ続けた。

目の前で騎士をぞろりと引き連れた青年が何者かもわからない以上、下手に話しかけるどころか存在を認識されたくないと滝の汗を掻く。何故、ヴァルが、しかもこの格好でそれでも彼と普通に会話をしているのかもわからない。

新型であろう銃を持つ騎士を引き連れ、軽い動作だけで自由に動かす彼が貴族ですらない可能性にそれだけでライアーは喉が干上がった。頼むからさっさと会話を終えてくれと心の中で叫ぶ。しかし、ヴァルは嫌そうに口を閉じ、顔を失礼この上なく顰めたままレオンからの問いに答えない。

それだけ今の姿を揶揄うのは軽口が過ぎたかなと軽く反省しながらレオンは今度こそ言葉を選んだ。ヴァルを呼び止めたのは、自分もまた話したいと思ったからだ。


「ジャンヌ達は?無事なのだろう?」

「あ゛ー?面倒くせぇ」

ガシガシと頭を掻き、舌打ちまで鳴らしながら悪態を吐くヴァルにライアーは本気で後頭部を叩くか考えた。

知り合いとはいえ、王族かもしれない相手になんて態度をしてるんだと思う。ここで自分達が銃殺されてもおかしくない。

しかし「良いじゃないか教えてよ」と声を潜めたまま滑らかな笑みを浮かべるレオンにとっては今更だ。周囲に聞かれないように細心の注意を払うレオンに合わせ、ヴァルもまたそこでぐらりぐらりと身体を左右に揺らしながらもレオンに顔を近付けた。

更に聞こえないようにと、距離を埋めてくるヴァルにレオンも自ら耳を傾ける。ヴァルの落ち着きようから考えても、やはりプライドの無事は間違いないと思うレオンだが、しかしもともと声を潜ませていたのを更に注意深くされることには引っかかった。口の中を飲み込み、耳元に神経を集中させる。セドリックとも合流していない今、レオンにとって最も最新の地下の情報だ。

地下の奴隷と競売品は全て無事確保、プライド達の中に怪我人はなく、……そしてと。

ヴァルなりの要点だけで、全てが告げられた。


「……………」


「後は知ったこっちゃねぇ。詳しいことは主から聞くんだな」

大きく目を見開いたレオンに、言い終えたヴァルはあっさりと身を引いた。

一から百まで丁寧に説明する趣味はない。少なくともプライド達の無事を報告しただけでレオンの要望には答えている。

もうこれ以上長話をする気はないと言わんばかりにくるりと背中を向けるヴァルは、跪いた体勢で固まるライアーの肩を雑に叩く。置いていきたいが、プライドに命じられている以上フリージア王国に帰すまでは自分がお守りとして連れ歩かなければならない。

ライアーにとっても、ジャンヌとなるべく関わりたくなければ比較一番行動をしやすいヴァルについていくしかない。肩を叩かれ、行くぞという意味なのかとライアーは口を接着したままゆっくり立ち上がる。また土の壁に覆われるまではと姿勢の低さを保ちつつヴァルに後ろに続いた。

縁を作りたくない相手にはなるべく気配を消す、印象を残さない、尋ねない、発言しないと裏家業時代で学んでいる。今更王族とお近づきになりたいとは思わない。

「じゃあなレオン」と背中を向けたまま手を軽く振るヴァルの言葉に、どこかで聞いた名前と思ったがやはり口にしない。ヴァルの名すら、会場外に出てからは口にしないように歯を食い縛り沈黙を貫いている徹底に隙はない。このまま知らない金持ちとすれ違っただけだと思うことに




「待って」




静かではっきりとしたその声だけで、今度は二人の足が止められた。

心臓が大きく跳ねたライアーに反しヴァルは「あ゛ーー?」と面倒そうにレオンへ首を回す。一音返した後には歯を食い縛り、眉間に皺を寄せてレオンを睨んだ。

もともと人相の悪い顔が、今は別物にされていても表情いっぱいに彼の不快感がアネモネ騎士達には伝わってきた。しかし変わらず笑みを保つレオンは、今度は呼び止めたことに謝罪も省略し、挨拶程度にヴァルへ首を傾げる。

軽く手を肩の位置まで上げて見せる動きは別れの動作にも見えたが、同時に放たれた言葉は全く違う。


「ちょっと、付き合ってよ。暇なんだろう?」

「なんでそう思ったのか知らねぇが。取り敢えずふざけんな」

「今度二人ともお酒驕るから。来週末とかどうだい?」

いやいやいやいやいやいやいやいや、と。ライアーだけが二人の危なげな会話に滝のような汗を滴らせる。

王族相手に喧嘩腰を貫くヴァルもさることながら、自分まで数にさらりと入れている王子にも馬鹿いうなと思う。

酒は好きだし浴びるほど飲みたいが、それ以上に金輪際ヴァルにも王子にも自分が関わりたくない。酒飲み金だけ寄越して消えろと本心から思う。

そして酒を餌にされたヴァルもまた「こいつと一緒にするんな」は同意見でそのまま言葉にした。ミスミ王国のオークションが中止になったのは火を見るよりも明らかだが、だからといって自分を巻き込むなと思う。

そもそもプライドから任された仕事を全て終えた自分を暇人扱いされるのも気に食わない。ライアーのせいで無駄に汗を掻き、突然のプライドの命令で余計に働かされたヴァルにとって、もうこれ以上追加の仕事はしたくない。レオンが何を言うかもいくらか想像できるから余計に面倒に思えて煩わしかった。

酒など礼など関係なく頻繁にレオンに飲まされている。それを餌にされたところで目新しさもなければ、寧ろライアーまで一緒に飲みの席に置かれることは損でしかない。

苛立たしげに顔を歪めるヴァルに、しかしレオンは一歩歩み寄り微笑みかける。



その翡翠を妖艶に光らせて。



「頼むよ」

「………………チッ」

レオンの短い懇願に、ヴァルは舌を打つと同時に髪を片手でグシャつかせ俯いた。

レオンもその背後に控える騎士達も全てを視界から取り除くべく目を瞑り眉間を狭める。今はセフェクも、ケメトもいない。地下で自分を蒸し焼きにしたライアーにも嫌がらせ程度にはなると思うことにする。

ドゴァ、と大きな地鳴りがまた響くのはその直後のことだった。


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とうとう三人集合……?!
ライアーにレオンが王子であることはいつバレた?
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