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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
来襲侍女と襲来

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Ⅲ271.来襲侍女は回収し、


「オスカー!待たせてごめんなさい!」


もう夜になってしまったけれど、大丈夫だろうか。

そう気が逸りながらも私達はオスカーの元へ再び足を運んだ。パッと見は果てしない高さの土壁だけれど、天井が少しでも開いているなら流石のオスカーも時間の経過もわかる筈だ。また戻ると約束してからこんなに遅くなってしまった。


私がぺたりと壁に手をついて呼びかけたところから、ガラガラと音を立てながらも静かに壁が元の土の塊へと崩れていった。

オスカーの返事を聞く前に崩れだしたから、アーサー達に危ないから下がるようにと後退を促される。レオナルドが目を覚ましてからは覚悟していたよりもあっさりとオスカーの解放が決まったお陰で無事に私もこうして立ち会うことができたのは幸いだった。これで今日の最大目的は無事果たすことが出来た。

土壁から五歩以上下がってもパラパラと崩れる土粒が頭上に降ってくる中、オスカーの声は聞こえないままだったけれど、戸惑うような悲鳴も聞こえないのはほっとした。また寝ているのかしらと見当づけながら待ち続けている間、首領テントがあった方向からは大きな歓声が慌ただしく聞こえてきた。多分、無事レオナルドがテントの外の彼らに無事をお披露目できたのかしらと考える。

後からは若干不穏にも思えるざわめきが聞こえたのも考えると、レオナルドが明日フリージアに行くことが発表されたのか、それともオスカーのことが正式に発表されたのか。どちらを考えても心臓に悪くて落ち着かない。一応、今回は周囲にも警戒を強めて気配に窺ったけれど、幸いにも貧困街の住人達がオスカーを逃がすまいと攻め入ってくるようなことはなかった。むしろロドニーに確認しても、私達を見に来る気配が全くなく、きっとまだレオナルドの方に集中しているのだろうと思う。


土壁の高さが私達の目線よりも低くなり、ようやくオスカーの姿が見えてきた。ひと跳ねで飛び越えたい欲求をぐっと我慢し「オスカー!」ともう一度呼びかける。

土壁が崩れてからか、その前からかオスカーの目はぱっちり開いていてそれだけでほっとする。大きく見開いた赤い目でこちらに顔ごと向けてくれていた。暗くて顔色がいまいちわからなかったけれど、その表情だけでも生気があって私は一人胸を撫で下ろす。


「オスカー?こんばんは。話は済んだわ、これから騎士の方々が貴方を安全な場所にまで連れ帰ってくれるそうです」

また縛られているままの彼が怯えないように、落ち着けた声を意識して呼びかけ歩み寄る。

私と一緒にステイル達も歩むからただでさえ人数の圧もあって怖いだろう。ゆっくりと足並みに留意して接近を試みれば、もう飛び越えなくてもスカートで跨げる程度の高さまで壁も崩れた。

その間、不思議なくらいオスカーの目は私に向いていた。騎士達への方が印象的には注視してしまうと思ったけれど、いや寧ろだからか。既に壁越しも含めて会話をした相手である私には目を合わせる程度には慣れてくれたようだ。

小さく手を振りながら彼の眼前に立ったところで、初めてオスカーがびくっと小さく肩を揺らして顎を反らした。そうだ彼は触れられるのがと、そう思い出し私もつい伸びてしまいそうな右手を左手でぎゅっと押さえ付ける。


「今、縄を解きます。体調は大丈夫ですか」

「あ、多分………貴方、ですよね?その、…………さっき話した…………」

「?ええそうです。壁の向こうで約束をしましたよね。ちゃんと守りに来ました」

どうかしましたか?と私から小首を傾げる。何か疑わしそうに声を漏らした彼は、目の前でないと聞こえないくらいのぼそぼそとした声だった。

エリック副隊長とマートが彼の背後に回り触れないように注意を掛けあいながら縄を切り始めてくれるのを視界の中で把握しつつ、まさか私達がいない間に誰か他に来ていたのだろうかと思う。私達の中には女性は私しかいないし、流石に女性と男性の声を聞き間違うとも思えない。まさかティペットが、と過ぎった瞬間にうっかり喉が鳴ってしまう。

ステイルも同じことを考えたのか「僕らの一回以外にも誰か来たのですか」と私の隣からオスカーに問い掛けた。けれどオスカーは首を横に振ってから、ふと今気付いたように背後に首で振り返る。縄が切れてたるんだ途端大きく息を吸い上げたけれど、両手は縛られていた状態と同じままぴしりと動かそうとしない。

縄を切ってくれたことにお礼を言おうとしたのか、それとも自分に触れないか心配したのか。顔がエリック副隊長とマートの方に向いたまま口だけがステイルへ返答してくれる。


「なんか、さっき、もう暫く会えないみたいな言い方だったから…………」

ああ、なるほど。思わず声で返す前に安堵も混じって頭の中で先に腑に落ちる。

続けてきちんと話しかけてきたのは私達の一回だけと説明してくれる彼が、ぎこちない口調で騎士二人にぺこりと頭を下げた。その様子をを見つめながらなんとも言えず申し訳ない気分になる。確かにそう言ったのは私だ。

あの時はオスカーを回収する時に私も同行できるかは状況によってわからなかったから、彼もそう受け取ったというのも無理はない。またフリージアで会いましょうねくらいの感覚で受け取ったら当然のようにまたいたら拍子抜けもするだろう。


「レオ………首領との話が思ったよりもすぐ済んだの。もう貴方を連れ帰って良いと許可も得ました」

フィリップ様のお陰で、と。あくまで私は侍女ですステイルがご主人ですという意思を態度で示しながら笑い掛ける。

そこで初めてオスカーの顔がきちんとステイルへと向いた。どうも、と言わんばかりにぺこりと頭を下げる動作が首だけの小さい動きがまるで会釈のように見えてしまう。ステイルも誤解が解けたところでにこやかな笑顔で応じてくれた。


「商人のフィリップと申します。貴方の特殊能力についてはもうこの場の全員が把握しておりますのでご安心ください。立てそうですか?」

「あ、うん…………はい。ちょっと、腹減ってるだけで……全然………」

こちらからは触りませんよと、ステイルがやんわり示したところでオスカーが大きく深呼吸してから膝を立て出した。

自分で立ってみせようとしたのだろう、背後の廃材に手を付きながらふらふらと足に力を込めようとしているのが見てわかった。けれど長時間座りっぱなしで痺れもあるのか、立ち上がるどころか膝立ちにすら苦労している。空腹もそうだろうけれど、やっぱりそれ以上に実際は怪我もあるだろう。乾いてこびり付いた血の跡が暗闇の中でもわかる。

生まれたての子鹿、という表現が本当に合ってしまうほど、しっかり立とうとすればするほどにガクガクと足が激しく震えている。無理をしないで大丈夫ですよとステイルがもう一度座るように促したけれど、平気だと見せようとするように片膝を立てたら、今度はずるりと砂で滑ったのか前のめりに転んでしまった。その一瞬の間に、私だけでなく騎士達も全員が反射的に支えようと手を伸ばしかけるのが見えた。

そして、………べしゃんと。痛そうな音と共に両手両膝を地面につくオスカーは無言のまま、息を切らす音だけが聞こえた。身体の痛みは正直だ。

すると、さっきまで私の背後に付いていたカラム隊長が「フィリップ様」とステイルに呼びかけた。実際は私にも向けてくれているのだろう。


「一度、この場で手枷をしましょう。罪人ではありませんが、治療の為にもそれが一番かと」

確かに。と、カラム隊長からの提案に私もステイルも示し合わせたようにほぼ同時に頷いた。

「枷………?」とオスカーが小さく呟いた。せっかく縄を解いた後に、また枷と聞いて良い予感はしないだろう。

大丈夫、と私からも笑い掛けながら彼の手をとれない分、両手を胸の前で振って見せた。こちらには悪意がないことをなるべく目に見えるように示す。レオナルドと違う、今回は彼を捕まえる為でも抑止力の為でもない。

カラム隊長がマートに声を掛けたところで、レオナルドに使った枷を再び取り出した。大丈夫、大丈夫と、まるで毛を逆立てているように肩を狭め強張らせるオスカーに私は言葉を重ねながら説明する。


「特殊能力者用の手枷よ。フリージア王国の騎士が所持している特別な物で、これを付けている間は絶対に特殊能力は使えないの」

「そっそんなのあるの…………?!」


ラス為アニメSeason2・第2話が<<本日>>放送です!

https://lastame.com/


TOKYO MXで毎週火曜22:00~

無料のABEMAで毎週火曜22:30~


放送です。

是非、よろしくお願い致します。

皆様に心からの感謝を。


==




「バッドエンドから一年後~誰にも期待されない魔法使いの私が、伝説の精霊魔法使いに実力を認められ王子を救う~」 略して「バドいち」連載中です。


ncode.syosetu.com/n9682ly/


こちらも是非よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
オスカーが安心してプライド様と笑顔でお話し出来るといいなぁ
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