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クソ女子大生の日常 -俺の彼女が人として終わっているんだが-  作者: Melon


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プロローグ

 二十歳の春、午後八時の大学のラウンジにて。

 俺は勇気を出し、一人で残っていた同級生に告白した。


 ずっと好きだったけど、声をかけることができなかったあの子に。

 正直、今までほとんど話したことないから、断られると思っていた。

 だが、俺は勇気を出し、無謀にも告白をした。


「お、俺! 志永翔(しながしょう)って言います! そ、その......! 付き合ってください!」


「……いいよ」


 驚くことに、告白に成功した。

 嬉しさと緊張からの解放で、今にも泣いてしまいそうだった。



 次の言葉を聞くまでは。



 彼女は、俺の肩に手をポンと置く。


「じゃ、さっそく酒飲みにでも行くかぁ」


 彼女の言葉と、口から漂ってきた酒とタバコの臭いで、俺の涙は止まった。






 告白から一週間後。


「うまー。やっぱ学校終わりの酒って最高だよねー。あはははぁ!」


 座布団に座り、授業の予習をしている俺の肩に足を乗せ寝ながらパック酒を飲む彼女。

 たまに足でバシバシ肩を叩かれる。


「......燐華(りんか)さん。そんなに堕落していたら留年しますよ?」


「だいじょーぶ。私、やる時はやるから。それに、私には志永(しなが)くんがいるし! 万が一困ったら教えてくれるんでしょ?」


「......まぁ」


 俺は告白し、同級生の咲園燐華(さきぞのりんか)さんと付き合っている。

 学校では真面目であり、黒い長髪が美しい、落ち着いた雰囲気の女性だ。


 しかし、学校から帰ってくると、このようにダメ人間になってしまう。

 飲み終わった酒の缶や瓶を俺の部屋に放置し、タバコの臭いを充満させ、カーペットに嘔吐する。


「俺の家でも、大学にいる時みたいにしていてほしいんですが......」


「えーやだぁ。ずっとあんなに真面目でいたら疲れちゃうよー」


 そう言いながら、足で俺の体を挟む。


「あー眠くなってきちゃったー。寝るねー」


 寝ながら酒を飲んでいた彼女は、俺のベッドに寝転んだ。


 彼女は実家を追い出され、一人暮らしをしている。

 おそらく、酒とタバコの臭いをまき散らされるのに、家族が耐えられなかったのだろう。

 そして、俺と付き合い始めてからは、よく俺の家で吐き、寝ている。


「ちゃんと横向いて寝てくださいね。嘔吐物が詰まって、窒息したら困りますから」


「あーい」


 言われた通り横になる燐華さん。

 そして、すぐにぐっすり寝てしまった。

 俺は立ち上がり、優しく布団をかける。



 正直、俺は告白したことを後悔していた。

 すぐに別れたいとも思ったが、自分から告白しておいてすぐに断るのも失礼なので、なんだかんだ付き合い続けている。

 しかし、一緒にいればいるほど、いい所が見つかるどころか、ヤバいところしかわからない。

 それでも、良い所があると信じ、なんだかんだ付き合い続けているのだ。






 ......そんな彼女と付き合い続けて、一年が経過した。

 良いことも悪いことも沢山あったが、今は二人で楽しく過ごしている。



「見てよ志永くん! 割り箸とタバコでハーモニカを作ってみたよ!」


 タバコ十本を折った割り箸で挟み、火を付ける燐華さん。


「まぁ、ハーモニカと違って吸うんだけどね。しかも、音も出ない!」


 燐華さんは笑いながらお手製ハーモニカを口にくわえ、一気に吸い込む。

 そして、勢いよく煙を吐き出した。


「けむっ! 燐華さん! すぐにその最悪な楽器......。いや、楽器じゃないけど! とにかく止めてください!」


 俺の部屋が、白い煙で満たされていく。

 当然、換気が追い付かず、火災報知器のけたたましい音が鳴り響いた。


「あーもう! どうしてくれるんですか! とにかく、他の部屋の人に状況を伝えないと......!」


 俺は部屋の扉を開け、マンションの通路を見渡した。

 次の瞬間、各部屋の住民が避難するために、勢いよく飛び出してきた。


「お、落ち着いてください! 誤作動です! いや、誤作動では無いんですけど! 火事の煙じゃないんで! どうか落ち着いて!」


 しかし、部屋からモクモクと出てくる煙を見て、住民たちはパニックになっている。

 そして、そんな住民たちは、マンションの前の道路から、俺の部屋のことを、そして、俺のことを見つめていた。


「め、面倒なことになったぞ......!」


 俺は通路の頭を抱えながら、部屋に戻る。

 そして、燐華さんからお手製ハーモニカを取り上げ、分解して灰皿に叩きこんだ。


「あーん。まだ残ってるのにぃ......」


「とにかく、早くここから出ますよ!」


 そして、一酸化中毒で倒れてしまう前に、燐華さんと一緒に脱出した。



 数十分後、マンション付近では消防車の音が鳴り響いていた。

 俺と燐華さんは消防士にこっぴどく叱られた。



 俺は燐華さんと付き合ってから、こんなことが日常茶飯事の生活を送っている。

 これが、俺の日常。

 そして、彼女である燐華さんの日常だ。

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