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第56話 明日香の正体

明日香はニコリと笑って起き上がった。


「まー、ようやくタマちゃんと遊べるわい。よかった。よかった。すべて円満解決だ。ええい。どかぬか。いつまで抱きついておるつもりだ」


明日香は陽太をの腕を払いのけ、ベットから飛び起きるとクルリと一回転していつもの黒いワンピース姿に。

そして、スマホをポチポチと操作していた。陽太はその後ろ姿を見ながら考えた。


自分が蘇生しただけで鬼は野放しのまま。

全然円満解決ではない。


しかし、陽太の頭の中に鬼の存在を感じる。

かなり遠い山の中だ。

そのビジョンが途切れ途切れに信号となって届いてくるのだ。


陽太は、遥か彼方の鬼の位置を探ろうとするが、それは打ち破られた。明日香の大きな声で。


「あ、タマちゃーん! ごめーん。連絡できなくて~。ウン! 元気元気! 元気だよ~。グス。ホントに久しぶり~。ゴメンね。ゴメーン」


突然のしおらしい声に驚きの陽太。一体どっちが本物の明日香なのか。

こうして前野と話しているとすごくカワイイ女の子なのに。


「うん。うん。復活したよ。ちょっと待ってね~。ホイ。タマちゃん」


そう言って、明日香は自分のスマホを陽太に渡してきた。陽太はその意を悟って電話の向こう側にいる前野に自分が復活した旨を伝えた。


「もしもし。ヒナタです。すいません心配かけました」

「ホント? ホントに生き返ったの? よかった。アンタホントに良かったね~」


「うん。ありがとうございます。師匠」

「ちょっと、待ってね。ハイ。ヒナタ」


電話の向こう側で前野は竹丸に電話を預けたようだった。


「おおお。ヒナタさん……」

「竹丸さん。すいません。オレ、竹丸さんの言いつけ守らなくて」


「いえいえ。無事で。無事でなによりです。あなたにはもっと重要な仕事があるのですから」


陽太はその真意を汲み取った。世界を救うこと。それが陽太に託された任務なのだから。


「うん。そうだね」

「お祝いしましょう! 復活の!」


と言って、竹丸は電話を前野に変わった。


「そーだ! そーだ! 今から行くから~!」

「あ、はーい!」


四人は再会した。陽太と明日香の部屋で。


前野は大きな鍋を持ってきた。

なんでも、願をかけて骨付き肉をずっと煮込んでいたらしい。


「意味は?」

「ん? 意味? 美味しいと思って」


意味が分からなかった。

そう思っている陽太に、竹丸は泣きながら抱きついてきた。


「良かった。本当に良かった」

「うん。ゴメン。心配かけて」


みんなそれぞれが笑顔だ。

竹丸はずっと泣いていたのだ。守り切れなかった自分の不甲斐なさに責任を感じていた。

だが、陽太が生き返った。これほどうれしいことはなかった。


「じゃぁ、食べようか。肉。ケーキもあるよ~」

「やった!」


明日香は手を叩いて喜んだ。

みんなで食卓に座った。

一番テンション高いのが竹丸だった。


なにしろ大好物の骨付き肉があるのだ。

なにが願だ。竹丸のためだろうと陽太は思った。


「あはー! 実に目出たい!」


竹丸は嬉しそうに骨をくわえたまま叫ぶ。

陽太もまたみんなに会えてうれしかった。


竹丸が一本の骨をずっとしゃぶってる間に、陽太はめぼしい大きめの肉を全部とった。

なにしろ久々の食事だ。料理上手の前野の味を存分に体に染み渡らせていた。


そんな陽太の顔を明日香は丁寧に顔や髪をなでていた。


「いいね~。いい食べっぷり! 完全復活だね!」


そう言いながら、ニコニコと笑っていた。そんな明日香に前野は微笑みかける。


「んふふ。アッちゃん」

「ん?」


「ヒナタ、死んじゃった時にパニクって地がでてたね?」

「え? マジ!?」


「うん。も~。すごかった。“余”とかって言ってたよ?」

「キャー! 恥ずい! 中二!」


そう言って、明日香は顔を手で覆った。そして前野と共に笑い、笑いが落ち着くとためらいながら話し始めた。


「はーぁ。面白い」

「んふふ」


「私ね~」

「うんうん」




「アスタロトなんだ。正体」


「あ~。やっぱそうなんだ~」

「え? そーなんですか? えー! だから……」


と、前野は少し分かっていたように応え、竹丸は驚いて、骨をしゃぶるのを止めた。


「うん。でも、爵位とか王公貴族とかそういうの関係なく、これからも同じ関係でいたい。みんなと」


「うん。大丈夫だよ」

「ワタクシも全然大丈夫です。ただ、畏敬の念は前よりも出てしまったかな? はは」


二人とも魔力とかそういうのは明日香と等しいかもしれない。

それでも、それぞれがやはり正体を知って尊敬し気持ちが深まったのだった。


「じゃぁ改めてよろしく」


明日香はスッと手を出した。


「うん。よろしく!」


そう言って、前野はその手の上に自分の手のひらをのせた。

陽太と竹丸は急いでナプキンで手を拭いて同じように手を乗せ、もう一本の手も合わせて四人はがっちりと手を組み合わせた。


「我々のチーム、復活ですね!」

「そーだね~。一人へなちょこがいるけどぉ」


前野の冷たい視線が陽太に突き刺さる。


「スイマセン。師匠」

「ま、アンタも人間の中ではトップクラスだから、特別にチームに入れて上げるから。後は体力だね~」


それに竹丸も同調した。


「そうですね。今度、旅行がてら天狗の郷で修行しませんか?」


それに明日香も「いーねー!」と応えた。天狗の郷という場所に興味を持ったのだ。

しかし、前野は一人暗い表情に変わった。


「天狗の……郷?」


「あら。タマちゃん。どうしたの?」

「いやぁ。天狗の郷。まだ大天狗いるの?」


といって、竹丸の方に顔を向けた。

しかし、目は合わせないようにしてる。


「いますけど?」

「あっそ。まいっかぁ。昔なじみなんだよ。ちょっと苦手」


「ああ、そうなんですか? 偉大な方ですよ」

「あっそ」


天狗の郷や大天狗。

どんなところなのか? 日本のどこにあるのか?

陽太も明日香同様、その場所に興味を持った。

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