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カラフルピース —探偵の自罰的事件収集—  作者: 秋野キリン
『下心・真心』

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第7片 「膝まづけ。」

「そうだ――――と言ったらどうするつもりなのだ? 先ほどのやり取りを通した上で貴様らでは俺様をどうすることもできないと分かったはずだと思うのだがな?」


 男は両手を開き、肩をすくめた。馬鹿にしたというよりも心底見下しているような態度である。いっそ関心を向ける気力すら湧かないのではないかとすら思わされた。

 クソッ。ふざけやがって。ノックスの十戒はどうしたのだ。こんな超常現象じみたものが事件の真相であっていいわけがないだろう !!


「一体……、何が目的なんですか?」


 だが実際、打つ手が無いのも事実。探りを入れることぐらいしかできない。逃げようにも拘束しようにも相手がその気になってしまえば、僕たちに抵抗する術など無いのだ。


「はぁー……、そんなこと自分で考えればよいではないか。頭脳労働はそちらの領分であろう。なぁ探偵とやらよ」

「……チミ、あまりワチシのことをイラつかせないでくれると助かりますんだがねぇ」


 烏賊いずくさんの口調がもとに戻っている。平静を取り戻すことができたらしい。だが、男に対する怒りが抑えきれていないようで、声が震えていた。


「…………あなた何様なんですか?」

「おいおい、どうしたというのだ? 世界を肌で感じる者よ」

「私は……、……L&Gの末端も末端です。烏賊いずくさんにだって先ほど初めてお会いしましたし、私に手伝いを頼んだボスのことも良く分かっていません。今行方不明になっている人達のことだって詳しくは知りませんよ。それでも……、それでもここは私の居場所なんですよ! こんな私のことを受け入れてくれるコミュニティなんですよ。だから……、それを壊そうとするような輩に私は決して屈したくはありません」

「そこまで、包み隠さずに全てを口に出すことができるのも、その恰好ゆえか? ますます気に入ったぞ。――それに比べて、貴様は本当につまらんな。探偵とやらよ。貴様は、そうだな……」

()()()()。」

「それがお似合いだ。もっとも、男にそんなことされてもちっとも嬉しくなど無いのだがな」


 思考が一瞬にして支配される。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


別のことを考えようとしてもその言葉の、その命令の圧倒的存在感にすべてが押しつぶされる。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 いつの間にやら僕はその男の前で膝まづいていた。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 地面につけた右ひざを力一杯押し付ける。アスファルトのざらざらした感触と小石が膝にめり込んでいくのが分かる。ズボン越しに体温が地面から奪われていく。それでもまだ僕の思考は「()()()()。」その″お願い”を実行することしか考えることは出来なかった。


「――っ!! 止めさせて下さい!!」

「ふーむ。別に必要性があってやっていることではないゆえ、そこまで涙目になられてはまるで俺様が悪いことをしているようではないか」

「……チミ。あまりふざけるなよ」

「ハッハッハッハッハッハ。そうだな……。それならば貴様ら二人が土下座して懇願すれば考えてやらんことも無いぞ? 今度は俺様がお願いすらしない。完全に自分の意思でやってみろ」

「下種が……」

「オイオイオイオイオイオイ。俺様はただその男にお願いをしているだけなのだ。実際にそれを行動に移すかどうかは本人の問題であろう?」

「分かりました……! 分かりましたから。本当にやめて下さるのですね?」

「きっちゃん…………。くそっ! ……覚えてやがれ。」

「――ほうほう。3人の下人からこうも敬われるというのはあながち悪くはない。ヨーシ。……………………ふむふむ、考えた結果しばらくこのままの状態を楽しむことにした」

「ア゛ア゛ァ゛? ふざけるなよ?」

「おっと、顔を上げるのは良く考えた方が良いのではないか? この状態を俺様はしばらく楽しむと言ったのだ。そのうち解放してやるつもりだったというのに貴様が顔を上げたら気が変わってしまうかもしれんなぁ?」

「こなくそッ!」




「娘たちを」

「んん? 何だ貴様?」

「今日は早く寝かしつけられらたから」

「ああっ! そういえば特性を発揮しているのだから人目について当然であるか」

「こうして様子を見に来てみたんだけど……、それは新しいプレイとかじゃないよね?」

「貴様たちの知り合いか?」


「――っ! キンちゃん!!!」

「そう。その通り。自称、人類最愛こと性性性性たちさが せいしょうさ」

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