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0片 良心に則り

「————別に規則違反をしているわけではない」

「そうですね。ですが……、それは時間の問題と言うもの。今のうちに少し間引いてあげた方が彼らにとっても幸福であるでしょう」


 薄暗い室内で数人の人間が長机を囲んで座っていた。そのうちの何人かは薄く青白く光っていた。ホログラムであろう。彼らは激務に追われている故、定期会議で直接集まることなど滅多に起こりえないのであった。


「思うんだがさ。それって俺らの職務を逸脱していないか? それよりももっと明確な外れ値(あく)に対処すべきだ! 俺らは正義の組織なんだから!」

「ウチらって圧倒的に少数精鋭なワケだからあんまり個別の事象には対応できないし、しない方が良いんだよ。人々には自助努力でどうにかできるようにしてほしいし、ウチらの真の役割は有事の際のストッパーなんだからなるべく手は空けておくべきなんだよ。まっ、今回は予防策ってところだから微妙なラインだけどね」

「最近『怪人』なる者達が日本で暴れているらしいじゃないか! どうして見逃しているんだ!!!」

「熱意があるのはいいんだけどさぁ。キミさー、主張だけしてまともに会話できないのやめてよね。ホント」

「…………」

「救済を」

「…………。まっ、こっちの二人よりはマシだけどさぁ」


「儂にやれと申すか……」

「そうですよ。あなたの担当なのですから」


 そのうちの一人はひどくしわがれた声で、それでも酷く嫌そうな様子を醸し出していた。シルエットしか見えないが、背中が大きく歪曲しており、髪はぼさぼさ、身に着けている者もボロボロで歪んだ醜いものだった。

 酷く気乗りしない雰囲気を漂わせ、十数秒ほど逡巡した後、重い腰をあげたのである。

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