嫌な予感が……
203号室にやって来た。相変わらずボロいアパートだな……。
まだ私達は奥の殺風景な部屋とその隣の近未来的なコンピュータールーム、そして洗面所にしか行ったことがないが、あの廊下の長さから考えても、まだまだ未知の部屋が存在しているに違いない。五十嵐といいこの部屋といい、謎が多そうだ。
五十嵐はコンピュータールームに入っていった。床のコードに気を付けつつ後に続く。
「この前猫を逃がしただろ?」
歩きながら五十嵐が言う。
「はい。えーと、GPS付けてたんですよね?」
鈴音、足元気を付けて……!答える彼女の後ろで私は気が気ではない。
「私達を呼んだってことは、勿論突き止めたんですよね?」
なんとなく失敗したんじゃないかと思いながらもそう尋ねてみた。
五十嵐はじろりと私を見る。
「いや……途中で外された」
「そうですか……」
残念そうな鈴音。私も残念ではあるが、それよりも嫌な予感がしていた。
「あの……じゃあ次の任務って」
冷たい目で彼は小さく頷く。
「そう、SOの拠点を探ってもらう」
楽しそうだと微笑む鈴音を見ながら、どうすれば無事に帰ってこれるか必死に考える私だった。