表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/11

春:終わり

君がいた頃のことを考える。季節はうつって、その面影もないような、穏やかな日の元をゆく。僕は思った。このままずっと幸せになれないのなら、あの時の僕はきっと美しいことをしたのだろう。まだ望みもないとはいえない、熟した果実の落ちるまでの短い時間。落ちてしまえばパタッと、元には戻らず、僕はそっと掬うだろうに。いまはまだ、梢について、的歴たるそのやわらかさを見る。美しいのかい?美しいんだろう。

黄緑の公園を、幼少の者がかけてゆく。若干の彩りと、遠目をゆく僕の黒いシルエット。なんて若々しいのだろう。しかし、君を思ってならない。星のめぐりがもう一度だけ、僕と君とを同期させたら……それが多分僕の一生の望みになるだろうと。

青春の実は熟した。そう思っているけれど。それからできた記憶の美酒を飲むまでは、僕は謙虚に祈ろうと思う。まだ君と会えないとも限らない。もちろん、飲んでしまっても、僕はそっと祈ろうと思う。君は僕の天使のような子だ。


空港前、閑静な光の海を眺める。冷たい風に乗って、潮の香りは生々しく、僕の頭を呼び起こす。キラキラと、また、現実に戻る……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ