第六十三話 『王子、科学都市へ』
-聖霊暦 8108年 王都クロノス-
ギイラはクロノスへと戻ってきた。その時、王城に入る人々を見つけた。
「アリレス達、そして俺がいる…。近寄ったらまずい…。」
ギイラは一旦城門近くで待機することにした。一定時間が経ったので、王子を連れ出すためギイラは城内に入った。王子の部屋を探し入ろうとすると後ろに気配を感じた。
「あなたはここにいたのですか?ギイラさん。」
そこにいたのは魔女秘書ヴェノムだった。この時はまだアリレス達に倒されていない――
「お前に用はない…。魔法"レイヴァテイン"!」
闇魔法を間一髪のところで避けられる。
「あなたここまで強かったですか…?まあいいでしょう。今の私の狙いはあなたではありません。」
ヴェノムが去ると同時に兵士たちが闇の気配を感じてギイラの近くに走ってきた。
「危ない…今すぐ逃げるか。」
王子の部屋に急いで入り込みアリレスを抱え、窓から外に脱出した。
「ぴえーん!ぴえーん!」
アリレスが泣き叫ぶ。その声に人々が駆けつけてくる。王城にいるギイラと思われると危ないので顔を隠し逃げる。
「そういえば…!」
アリレスがヴェノムに閉じ込められた倉庫――。ギイラはそこに持っていた銃を使って壁に穴を開けた。
「あの時壁には謎の穴が開いていた…。これでアリレス達は大丈夫なはずだ。」
銃声、アリレスの鳴き声で城下町はパニックに包まれる。しかしその時は魔女の襲来があったため、それが原因と思われたのか、なんとか聖霊門に入って逃げ切ることが出来た。
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-聖霊暦 8112年 テテス島 科学都市テテス-
ギイラが遅れて生き残った人類が全て集っている科学都市に着くと、アリレス達とオレンジの髪の男が話していた。
「あなたは…まさか。」
「彼は皆さんの仲間ですか?初めまして。私は科学都市の研究長をしております。テークと申します。」
テーク――。未来で日記を綴っていた人物だ。日記からも読み取れたようにテークには一人で時空移動装置を作れるレベルの技術があった。実はギイラは小さい頃科学都市で働くことを目標としており、テークはギイラの憧れの人物だった。
「ところでその赤ちゃんは?」
アリレスに近づけではいけない。ギイラはそれを考慮し大人のアリレスと距離をあけながらテークにこれまでの旅のいきさつを説明した。
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「もう時間が無いです。北――。ドラヂェリア山脈からこちらに向かってくる異常な電波がすぐそこまで来ています。」
北の海で巨大な波が起こっている――。魔神はすぐそこまで来ていた。
「皆さん!魔神ギャズヴェイラがすぐそこまで来ています!地下壕に避難してください!」
何故それを知っているのか?という表情でテークはこちらを見たが、状況が状況だったのでテークも一旦それを置いておき、住民全員を避難させた。人々が慌てて魔神から逃げる中、1人の女性がアリレス達の元に来た。
「会いたかったわ。セティス。」
それはセティスの母だった。




