第十三話 『最凶の敵』
-聖霊暦 8109年 魔女の洋館-
アリレス、ギイラ、セナ、セレルの四人は魔女の洋館へと到着した。セレルが思いを告げる。
「わしは…ギイラ殿と聖霊、炎霊の従者殿と一緒に冒険が出来て非常に光栄だと思っておる…。しかし、わしは其方らと違いレメス様に仕える者なのだ。だから、魔女を倒したらわしの使命は終わりじゃ。主の元へ帰る。」
「もちろん大丈夫です。魔女は僕たち3人で挑むよりもセレルさんがいた方が勝ちやすいですから…」
「いや…それはどうか分からぬ。」
アリレス達は不気味な洋館の中を歩きながらセレルの気がかりなことを話した。
「話に聞いたじゃろう…。先日魔女によってクロノス城が滅ぼされた。偵察に行った者…ニディア大陸の賢者リリアじゃったか…。もう国民が100を超える城は全滅していたという。中には王クロノスを初め王子、王女の死体が転がっていたのこと…。」
「クロノス城ってあれだよね…最近新しい王子が生まれたって…なんていう王子だったっけ?ア…ア…?忘れちゃった…」
もちろんアリレスはクロノス城については無知識なのでセレルとセナの会話に真剣に耳を傾けた。
「そういえば王子が失踪したというニュースも聞いたじゃろう。銀髪の男に連れていかれたと。」
全員の視線が一瞬ギイラに向くがすぐ視線が元に戻る。
「えー!それも魔女の使いなのー!?こわーい!」
魔女(?)の悪行についての話で盛り上がっているとあっという間に最深部に着いた。
洋館とはいっても魔女の本拠点はクロノス城らしいしここの洋館は本当に小さなゆるゆるの設備なのだろう。
「よし…このドアを開けるとおそらく魔女がいる…。道中魔物に襲われなかったのは俺たちが怖かったからだろうが魔女は確実に俺たちよりも強い…。神官レメスが地下神殿を守っているこの隙に行くぞ!」
アリレス達は魔女の洋館の最後の扉を開けた。その瞬間アリレス達が見た魔女の姿にギイラを除く3人が驚愕した。今まで戦ってきた魔物、見てきた魔物の全てを超えるような、目視ができるような強大な魔力が彼女を覆っていた。
「いらっしゃい。魔女の洋館に。私を倒しに来たの?」
やけに魔女は戦いたがっていた。そして余裕の表情で。セレルがアリレス、ギイラ、セナに囁いた。
「おそらく…クロノスの100の軍勢が敗れたのは大量の魔女の使い魔たちによるものじゃろう…。今わしらが戦わなければならぬのは魔女1体のみじゃ…。希望が見えてきているぞ!」
「よし!いっくぞー!"沈黙の杖"!」
セナが杖の力を開放し魔力で魔女エメリーザに攻撃する。
「わしも早くけりを付けねばな。"稲光突き"!」
「俺も行く!闇魔法"シャドゥレス"!」
3人の攻撃が同時に炸裂する。闇、雷、魔力。それらの攻撃を受け終わったとき魔女は座ったまま耐えていた。
「全然効いていない…!僕も行かないと…。"火炎斬り"!」
アリレスの剣の先の炎は魔女の衣によって鎮火された。炎を失った剣は魔女の杖により弾かれる。
「これが魔神四天王…。まるで化け物だー…」
「ではこちらも攻撃していいわね。魔法"マリンブレイカー"、魔法"パルテニック"」
なんと魔女は二つの魔法を同時に放ってきた。水魔法…。炎霊の従者セナの弱点。それを知っていたアリレスはそれを庇おうとしたが既にギイラがセナを庇っていた。
「なんだこの力は…強すぎる…!」
ギイラは気絶した。
「聖霊、炎霊、戦霊の従者が揃ったわね。一応私も従者って言ったら従者なんだけど…まあいっか。そろそろパルテニックが効き始めるころだろうし。」
「ちょっと!魔女さんは一体………うっ!」
セナが魔女の魔力によって混乱した。
「これじゃ…魔女は人の心を乱すことができる…それにより相打ちが起きクロノス城が滅びた…それなら辻褄があう。」
「ああ。僕も何となく分かりました。魔法"ライティ"!」
ギイラの闇魔法を完全に吸収した魔女の体。光魔法が衣を蝕んでいった。
「聖霊の従者…!最高!いい相手になりそうだわ。」
魔女の視線が狂ったように杖を振り回すセナの横に向けられる。
「じゃあ戦霊の従者さんから終わらせましょっか。魔法"ファントム"」
セレルの周りが霧に包まれる。これは確実に劣勢だとアリレスは悟った。
「これをこんなところで使うことになるとは思わなかったが…使うしかない…か。」
アリレスは炎霊エウリピデスに貰った虹色に輝く瓶に入った液体を取り出した。




