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異常存在記録《AER》~怪異の発見、調査、封鎖、そして失敗~  作者: SN


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12-2.【黄金箱】── 広がる幸運

《異常存在記録報告書:A-E/No.012-2》


識別仮称:《黄金箱》

冒険者通称:《当たり箱》《ボーナスミミック》


分類:精査中

収容状況:要監視

危険等級:第三等級

管轄:国連総合ギルド

 異常存在管理局(中央監査部)

閲覧制限:第三閲覧指定



■第二記録:広がる幸運



■出現報告の増加


チュスター古墳における一連の報告以降。


同様の特徴を持つミミックが、

各地のダンジョンで確認され始める。


最初は偶然と考えられた。


しかし報告は止まらなかった。


一件。


三件。


七件。


そして数十件。


確認地域は王国内に留まらず、

周辺諸国へも拡大していく。



■共通特徴


後続報告において確認された特徴は以下。


・豪華な宝箱の姿をしている

・ミミックとしては弱い

・討伐が容易

・高品質な武具を残す


外見や能力に多少の差異は存在するものの、

本質的特徴は全て一致していた。



■増殖的出現傾向


中央監査部が記録を精査した結果、

出現ダンジョン数は異常な速度で増加していることが判明。


初週:1箇所


第二週:4箇所


第三週:11箇所


第五週:27箇所


既知のミミック生態では説明不能な増加率であった。


しかし当時、

異常性を認識しながらも規制を求める声はほとんど存在しなかった。


理由は単純である。


黄金箱は利益をもたらしていた。



■武具品質の向上


出現地域の拡大に伴い、

黄金箱から得られる武具も変化を見せ始める。


確認例。


・複数属性を有する魔剣

・使用者に適応する魔導鎧

・特殊能力を持つ弓

・固有技能付与武装


これらは王国最高峰の工房であっても再現困難な代物であった。



■証言記録


「これ一本で討伐依頼の格が変わった」


「俺たちが何年も稼いで買う武器より上だ」


「見つけたら人生が変わる」



■社会的影響


黄金箱の存在は冒険者社会を大きく変化させた。


新人冒険者は急増。


武具価格は下落。


各国騎士団も回収に乗り出した。


一部地域では、

黄金箱出現情報そのものが高額で取引されている。



■発祥の地


その後もチュスター古墳は特別な意味を持ち続けた。


最初に黄金箱が確認された場所。


最も出現報告が多い場所。


そして、


最も多くの冒険者が集まる場所。


いつしか探索者たちは、

チュスター古墳をこう呼ぶようになる。


「黄金の墓」



■中央監査部の介入


ミミック生態では説明不能な増殖速度。


出現地域の急速な拡大。


さらに武具流通が各国市場へ影響を及ぼし始めたことから、

中央監査部は本件を継続監視案件へ指定。


関連記録の収集および長期調査を開始した。


ただし、この時点において被害報告は確認されていない。


黄金箱は依然として、


“利益をもたらす変異種”


と認識されていた。



■暫定結論(承)


黄金箱は、

もはや単なる一体のミミックではない。


それは世界各地で確認される現象となっていた。


人々はそれを恐れなかった。


むしろ歓迎した。


富を与える箱。


力を与える箱。


未来を変える箱。


誰もがそれを探し、

誰もがその恩恵を信じていた。



■監査官付記


この段階においても、

危険性を示す証拠は確認されていない。


だが私には、

別の点が気になっている。


黄金箱は増えている。


異常な速度で。


それにもかかわらず、

誰一人としてその理由を気にしていない。


人は災厄を恐れる。


だが恩恵には理由を求めない。


――中央監査部

第八監査官《ホーン》



※本報告は「承」段階の記録である。

次段階「転」では、

黄金箱を巡る一連の事案について記録する。

次回投稿 本日21:00

12-3.【黄金箱】── 与えられた衝動

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