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51、ウィルの二つの噂

「失礼いたしますわ!」


 食事のに現れたのは、シャルルさんだった。ウィルは、待っていたみたいだ。


「バトラーが監視者に連絡したはずだが、まさかロッコロッコ星の魔導士が来るとはな。さすが、イービー星の下僕だね」


 ウィルは、さっきまでとは違い、警戒しているように見える。なんだか酷いことを言ったけど。


「私は、ミッションを達成しようとしていますの。イービー星の方々の命令ではありませんわ。その子は、私のフレンドですからね。確認しますが、未遂ですわね?」


「あぁ、オモチさんは、自分の星に帰ると主張していた。俺は、保護しただけだ」


「24時間の恋人になったのに、保護だというの?」


「俺は、キスの先のことはしていない。アース星の子をアイツらから保護するには、他に方法はないだろ? オモチさんを狙ったどちらかが、彼女とフレンド登録をしているはずだ。開放しても、再び狙われるだけだからな」


 ウィルがそう言うと、シャルルさんの鋭い視線が私に向いた。めちゃくちゃ怒ってる。私は、軽く頷いた。



「王城で働く人というのは、攻略対象だったわけね? オモチさん、あまりにも迂闊うかつね」


「はい。公演中だったから、攻略対象ではないと思ってました。レオンさんは、すぐに帰る方がいいと教えてくれたのに……」


 シャルルさんの大きなため息が、心に突き刺さる。痛い。ごめんなさい。



「レオンか。公演中というのは、王城での公演のことか? 王城の公演は、3人ずつ交代でやっている。全12ルートあるから、4回に1回しか出ないよ」


 ウィルは、私に怪訝な表情を向けた。何も知らないで行った私をとがめていると感じる。


「知らなかったです。王城の中庭に出てくる攻略対象を見ようと思っていたんですが、3人だけなんですね。だから、複数回公演ができるんですね」


「そういうことだ。なるほどな、レオンも何も言わなかったってことか。それどころか、オモチさんを俺から遠ざけようとしたんだな。アイツら……」


 ウィルは、かなり怒っているみたい。でも、私のことを考えてくれているわけじゃないよね。きっと、自分の立場が悪くなるからだ。



「私も、ウィルさんが首謀者だと考えていたわ。ルナシティ以外の街では、だいたいそう言われているもの」


「は? 俺がそんなくだらないことをするわけないだろ? どうすれば、この噂を打ち消せるか、毎日そればかりを考えているのに」


「噂を打ち消したいのは、この星に居たいためかしら?」


「もちろん、それもある。俺達には帰る場所はないからな。だが、それ以上に……」


 ウィルは何かを言いかけて、口を閉じた。


「何かしら? 別の噂を否定したくて、女遊びをしているのではないの?」


 別の噂?


「はぁ? それは、ロッコロッコ星の魔導士が勝手に言っているだけだろ? だが……」


 ウィルは口を閉じ、バトラーの方に視線を移した。


 あれ? シャルルさんは空いていた席に座った。ゲームの恋人がいる間は、同席できないはずだよね?


「ウィルさん、シャルルさんは信用できると思いますよ。ロッコロッコ星の多くの魔導士には、知られています。また、オモチさんは、ミッションが完了すればアース星に帰るでしょうし、これ以上、噂が広がることもないかと」


 ウィルには、何か秘密があるの?


「そうだな。オモチさんも、それを知れば、俺と二人でも怖がらないか」


 ん? 私?


 ウィルは、バトラーが頷くのを確認し、シャルルさんの方に視線を向けた。



「やはり、あの噂は、事実なのね」


「あぁ、そうだ。俺は、女には恋愛感情を持てない。女を抱いても、不快だとしか感じない。だからオモチさんは、俺を怖がる必要はない」


 ええっ!? それって……BL?


「ふぅん、やっと認めたわね。ただ、乙女ゲームには悪影響だわ。『月の世界の王子様』の中では、ウィルさんが一番人気だもの」


 シャルルさんの指摘に、私も頷いた。ウィルが、女性に興味ないことがわかると、公演の集客にも影響がありそう。


「わかっている。アイツらが意図的に、俺が元凶のように噂を広めているのも、そのためかもしれない。だが、どちらの噂も、マイナスにしかならないけどな」


「そうね。メイロ星からの難民同士でも、いろいろな駆け引きがあるでしょうからね。ウィルさんに嫉妬している人は多いもの。だから、パッとしなかった攻略対象が、大人向けゲームに採用されることを狙っているとも言えるわ」


「あぁ、それなら、カイルは内定してるんじゃないか? こないだポスター撮りをしていたよ」


「採用されたの? それなら、なぜ、まだこんな遊びをしているのかしら。子供が出来ると支払われるお金のせい?」


 素朴が売りのカイルが、18禁のゲームに!? あっ、でも、かなり雰囲気は変わってたっけ。


 シャルルさんの問いには、誰も答えない。ウィルは、わかっていて答えないのかな。メイロ星の難民への悪評がこれ以上ひどくなることを恐れているのかも。




「オモチさんをあの場所に誘導した女性は、フレンドなんだよな? やはり、俺のモノになったと言うしかないか」


「そのフレンドさんは、誰なのかしら?」


 どうしよう……。ラムネさんだと知られたら、シャルルさんは……。


「シャルルさん、あの……でも、ごめんねって言ってたし」


「アナタね! 自分をおとしいれようとした女をかばっているの? どれだけお人好しなのかしら!」


「アース星の子は、こんなもんだろ。だから、アイツらに狙われる。イービー星は、そろそろ動くか? だが、イービー星にも、変なことをしている連中がいるけどな」


 ウィルがそう言うと、シャルルさんは携帯機を取り出した。そして、チャットを始めたみたい。たぶん、サリィさんを経由して、オルフルさんに相談しているのね。



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