【第6章:第4節】 Piは“売れない通貨”なのか?
Pi Networkについて語られる中で、しばしば見かける誤解のひとつが、「Piは売れない」「現金化できない」といった表現だ。
確かに、かつてPiはテスト段階で取引所にも上場しておらず、「使う」ことに価値を見出す設計だった。だが、2023年〜2025年の間に状況は大きく変化している。
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● 現在のPiは「現金化できない通貨」ではない
2025年3月現在、PiはすでにOKX、Bitget、Gate.ioといった主要取引所にUSDT建てで上場されており、実質的な現金化が可能な通貨となっている。
これは、単なる噂やIOU(借用証書)段階ではなく、Pi財団が公式に「KYB(企業認証)」を通して承認した取引所上場である点が重要だ。
取引所では、PiをUSDTやBTCなどに交換でき、間接的に日本円や他の法定通貨への変換も可能になった。
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● では、なぜ「売れない」と言われ続けるのか?
それは、Piの「メインネット移行」が全ユーザーに完了していないことに由来する。
現在Piアプリ内のウォレットにあるPiは、「KYC認証」「メインネット移行」「ロックアップ設定」といったステップを完了しなければ、自由に出金・売却することができない。
また、Piはもともと「すぐに売って儲ける」ことを目的とした通貨ではなく、
•コミュニティ参加型のマイニング
•長期保有を促すロックアップ構造
•dAppやP2P決済での利用
といった「使うことに価値を見出す」設計思想に基づいている。
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● “売れない”のではなく、“売る前提じゃない”
Piは、最初から「売って利益を得る通貨」ではなく、「使って経済圏を広げる通貨」として設計されている。
これは、たとえば地域通貨のようなものだ。
たとえば──
**「町内だけで使えるPi」**というものがあったとして、
それが地元のスーパー、カフェ、病院で使えるとすれば、
それを無理に日本円に変える必要はないだろう。
それと同じで、Piは今後、P2P決済やdApp経済圏の中で使えることを前提に設計されており、
「売る」よりも「使う」ことが価値を生む構造になっている。
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● 読者に伝えたいこと
「Piは売れない通貨だ」というのは、もはや過去の認識にすぎない。
今は、「売れるが、売らない構造」「現金化は可能だが、使ったほうが面白い」
そうした新しい通貨観の上に成り立つプロジェクトだということを、正しく理解してほしい。
Piは“使う通貨”として進化している最中であり、それこそがこの通貨の最大の特徴であり、魅力でもあるのだ。




