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<第二十一話>巌の部屋の様子

別荘への帰り道、薫はうつむき加減で不安げな表情を浮かべながら歩いていた。


その様子を見た姫子は、薫に笑顔で話し掛けた。




「薫さん、昨日私に話して下さったご家族の話と、ご自身の話を覚えていますか?


 こんな時こそ、ご家族の皆さんの事を大切に思っているご自身の気持ちを大切にしていて下さいね。




 さぁ、出来るだけ急いで戻る事にしましょう。」







別荘の門の前には、薫が外出した時と同じ警察官が立っていた。


警察官は、薫の姿を見ると、軽く会釈をした。




薫は、会釈を返しながら、外出から戻って来たことを伝えた。


そして、薫が門に手を掛け中に入ろうとすると、警察官が慌てて声を掛けて来た。




「すみませんが、お連れの方はここから先に入る事が出来ません。」




 警察官は、姫子の前を塞ぐように立った。







 そして、警察官が姫子に事件の関係者以外は中に入ることが出来ないと説明をしていると、家の中から大野が急いで出て来て、彼の話を止めた。





 「連絡不備で失礼致しました。




 私は、長野県警の大野と申します。あなたが純情 姫子さんですか?」




 駆け付けてきた大野が、姫子にたずねてきた。






 「はいそうです。




  大野刑事、初めまして。」


 


  姫子が答えて一礼した。






 「そうですか。


  つい先程、突然県警から連絡が入りまして、あなたと一緒に事件の捜査をするように言われております。






 そしてあなたが到着したら、現在の捜査状況の説明をするようにも言われています。




 早速始めたいと思うのですが、よろしいですか?」




 大野は、かなり不愛想な顔をしながら一気に話した。






 「はい、よろしくお願い致します。」




 姫子は、大野の表情に気が付いていたが、敢えて優しい笑顔で答えた。








 姫子は、リビングの前で薫の方を軽くポンと叩くように触って、笑顔で一つ頷いた。


 薫は、その笑顔に答えるように、少しぎこちなく笑うと、リビングの中に戻っていった。




 そして大野と姫子は、そのまま二階の巌の部屋へと向かっていった。







 巌の部屋の中では、鑑識官たちによる現場検証が行われていた。








 姫子は、まず部屋の中の様子を確認していた。






 部屋の調度品は、巌の好みであろうアンティーク調の家具で、全てが揃えられていた。




 部屋の壁に沿って置かれていた木製の本棚の扉は、全てがきちんと閉まっていた。そして、本棚の中に並べられた書籍も綺麗に並んでいて、抜けている箇所は無いようだった。





 部屋の奥に設置してある天蓋が付いたベッドは、整った綺麗な状態だった。






 部屋から既に運び出された巌の倒れていた場所には、白いテープで簡易な人型が作られていた。




 そしてそのテープ周辺についている絨毯のどす黒い色のしみは、鑑識官が検査を行い、血痕であることの確認作業が行われていた。






 巌の机の椅子は、机からやや離れた後方に置かれていた。





 そして机上の様子は、今まさに使用しているかのように感じられる状態だった。




 手前には、読み途中の書類が開かれたまま置かれていた。


 その隣には、開封された封筒が、置かれていた。




 書類の折り目と大きさから、どうやら机上の書類が、その封筒に入っていたようだった。




 そして机の奥には、アンティークな電気スタンドが置かれていて、柔らかな暖かみのある白熱光が机上の書類を照らしていた。





 その電気スタンドの隣には、空のティーカップが一客置かれていた。

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