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「ちっともいい人じゃないから安心しろ。リースス、君はぬいぐるみになってたから知らないだろうけど、ガルパスはアルスト山で、君たちを殺す算段をしていた。金のどんぐり欲しさにね」
「そんな……嘘よ……!」、それほど親しくはないにしても、これから一緒に暮らしていこうと考えていた相手が、実は自分を殺そうとしていたのだから、リーススはそれなりにショックを受けたようだった。
でも、事実なのだから、しょうがない。
「リースス、あたしも殺されかけた。ライアンの言っていることは本当よ」
「そういうことだ。よし、それじゃあ始めようか」
ライアンは馬から飛び降りると、騎馬達の前へ立ち、大きく手を叩いた。
「やあ、兵士諸君、たった俺たち3人を捕まえるために、わざわざこんなに大勢で集まってくれて、どうもありがとう」
「……こんなときに、ライアンったらお礼を言ってる……なぜ礼を言うの?」、リーススに尋ねる。
「礼を口にしているけど、あれは嫌味よ」
「さっそくだが、人質交換をしよう。こっちはガルパスを」、ライアンはおじさんを仰ぎ見てから、兵士たちを両手で示した。「君たちはコルロルを渡すんだ」
「大人しく従え! 刺激するんじゃないぞ! 見た目は可憐だが、この少女がいかれてるのは事実なんだ!」
あたしの腕の中で、おじさんが叫ぶ。
「それに私は、街一番の出資者だ! 私が今までにいくら出資したか! 君たちはどうやっても私を助ける義務がある!!」
「どうやら、ライアンとレーニスの言っていることは、本当のようね」、リーススは飽きれて物も言えない、という顔をしながら言った。「誰がいかれてるですって? 口には気を付けた方がいい立場じゃないかしら?」
おじさんは開きかけの口を閉じ、兵士たちはざわざわと話し合いを始める。そのあとでこちらに叫んだ。
「あのバケモノは、人にとって重要な脅威である。この場限りでやすやす返答できるものではない」
ライアンは盛大で長い溜め息を、体全体を使うようにして吐き出してみせた
「いいか、よく聞け。まずはコルロルをこの場に連れてくるんだ。時間がない。急いだ方がいい」
兵士はなぜ?というように、眉をひそめる。ライアンはもったいぶった動きで、ゆっくりあたしたちの前を歩きながら、おじさんの荷物から飛び出している縄を手に取った。
「コルロルをあの街に運ぶ道のりで、俺は軍の荷物に爆弾があるのを見つけた。いざとなったら使う予定だったんだろう? そして俺とコルロルの目的は、レーニスを助けることだった。しかし助けたとしても、逃げるのは難しいかもしれない。俺はそう考えた」
「ま、まさか……軍の爆弾を盗んだのか?」、話の先を察した兵士は、驚きをその顔に浮かべる。
「手癖が悪いもんでね」、ライアンは肩をすくめて答えた。「それで脅せば、逃げる時間を稼げるんじゃないかと思ってね。爆弾はあの街に隠してきた。時計の付いた時限式のやつを」
兵士はみるみるうろたえはじめ、「時限式の……」「一番威力があるやつだ」「大変なことになるぞ」とにわかに騒ぎだす。
そんな兵士たちへ、ライアンは腕時計を確認してから、とどめのように告げた。「あと1時間で、ドカン、だ」




