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「綺麗だから、それなりの値がつくんじゃないかと思ってね」
あたしは飽きれた。「……金の亡者ね」
「なぜ悪いことのように言う? 私は心から金を愛している。我が子のように。我が子を守る親の愛は美談として語られるのに、金のために危険を冒している者が侮蔑されるのはなぜだ?」
「……リーススの元へ連れていって」、ナイフを向けたまま告げる。おじさんはそろりと壁から背を離し、歩き出した。
「あなた達も行くのよ」
二人の大男はおじさんの前を歩かせる。あたしはおじさんの背中にナイフを向け続けた。しばらく歩くと、崖が崩れてできた洞穴が見えた。中は影になっていてよく見えないが、おじさんは「あそこにいる」と洞穴を指さした。
「入って」、大きな背中を押す。
大男、おじさんに続いて中に入る。しかし、そこにはなにもなかった。
「騙したの? リーススは?」
出来上がったのは狭く薄暗い中に、敵が三人という劣勢だ。二人の男が、こちらに詰め寄る。あたしはがむしゃらにナイフを振った。手応えがある。おじさんが「あいたたた」と声を出す。彼の背中がすっぱり切れているのが見えたが、あたしは男二人に取り押さえられていた。
「なんてね。これくらいの傷、大金が手に入ると思えば、痛くも痒くもないよ」
こちらを振り返り、おじさんは両手を広げた。
「リーススは? 人質にするんじゃなかったの?」
「リーススは見つからなかったよ。崖から足を滑らせたか、腹を空かせて行き倒れているか……。どちらにせよ、人質になるのは君だよレーニス。あれを出せ」
おじさんの指示に従い、一人がリュックを下ろし、中から黒い塊を取り出した。
「爆弾……?」
「君たちを殺すにあたって、こちらも万全に備えたんだ。これで土砂崩れを起こし、君たちはその時に巻き込まれて死んだと言えば、信憑性もあがるだろう? 念のために持ってきたものだが、やはり備えはしておくものだな。あのバケモノを銃で撃ち殺そうと思ったら、かなり骨が折れそうだ。見たろ? 銃弾一発当たったくらいじゃ、びくともせん」
「これでコルロルを殺すつもり? 爆弾なんて無意味よ。やつは飛べるもの」
「だからこその人質だろう? 爆弾を仕掛けるにあたって、なにが大事か分かるか? 確実に対象が通る道に仕掛けることだ。つまり、やつの行動を制限する必要がある。なにせやつは空を自由に羽ばたける。あの怪物と君たちを、このアルスト山で再び見つけること。それが一番の難題だった。たしかに君の言う通り、やつ見つけられなければ、爆弾を用意したところで意味がない」
おじさんはあたしに布を噛ませ、声を封じた。そして言った。
「助かったよ、あの男が協力してくれて」




