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変わった原因はよくわからない華音 沢田文美の不調原因を見抜く

学園最寄りの駅から学園までの通学路においても、華音の周囲を歩く人の表情が、一様に柔らかい。

瞳は、思った。

「華音君、何かが変わった」

「前から、初めて見た時から、ほんわかムードだったけれど」

「そのほんわかさに拍車がかかった・・・というか光ってる」


華音が、そんな自分を見つめる瞳の視線に気がついた。

「瞳さん、僕の顔に何かついてます?」

「髪型が変だとか?」


瞳は、そんなことを言われて、あせった。

「え?えっと・・・うん・・・」

まさに答えになっていない。

それでも、思いついたままのことを言う。

「うーん・・・華音君、雰囲気が変わった」

「いっそう、ほんわかになった」

「何か変わったことがあったの?」


華音は、どう答えていいのかわからない。

雰囲気が変わったと言われても、自分自身では何も変えたことはない。

「ほんわか」と言われても、あまり今までは言われたことはない。

ただ、「何か変わったこと」で、少々思い当たることはある。

「シルビアと春香と、一緒にお風呂に入った」

「薬師様の呪文やら、観音様とか、毘沙門天とか、ヘラクレスと、アポロンのマークとか」

「一緒に三人で寝てしまった」

「シャワーまで、無理やりだった」

しかし。そんなことを、不思議そうに見つめて来るクラスメイトの雨宮瞳に言うわけにはいかないし、言うべきでもないと思う。

それに、そんなことが、自分の雰囲気の変化に影響しているとは思っていない。


華音が、結局答えられず、「うーん・・・」と唸っていると、後ろから女子生徒の大声が聞こえて来た・

「華音くーん!待って!」

華音は振り向いたけれど、雨宮瞳は振り向かない。

「また、うるさい沢田文美さんだ」

「せっかく今日は独占して、シメシメと思っていたのに」

「またオジャマ?」


しかし、沢田文美は、瞳のそんな思いは、知ることもない。

あっと言う間にダッシュ。

そのまま「華音の隣歩き」をゲットする。

そして、ポンポンと話し出す。

「ごめーん!ちょっと遅れて各停乗っちゃった」

「お待ちしていなくてごめんね」

「ねえ、全く大恩人の華音君なのに」


華音は、また恥ずかしそうな顔。

「そんな大恩人だなんて」

それでも、沢田文美の顔を見る。


沢田文美も恥ずかしそうな顔になるけれど、華音はその顔を見て、少し首を傾げる。

「沢田さん、身体が寒くないですか?」


沢田文美は、驚いたような顔。

「うん、手先が冷える感じ、体調が少し悪くて、家を出るのが遅れた」

「でも、華音君の顔見たら、走れた」


華音は、そのまま沢田文美の手をスッと握る。

瞳は、焦るけれど、華音の表情は真剣。

「沢田さん、首の周辺の筋肉が固くなっています」

「それで、血流にも影響して、手足が冷たい感じになるのかな」


驚く沢田文美に、華音。

「頭のてっぺんかな、少しくぼんだ場所があるので、それを10回ぐらい、ゆっくり押してみてください」

「少しは変わるかも」


沢田文美は、さっそく自分の頭のくぼんだ所に指をあて、押し始めている。


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