薬師如来、日光菩薩、月光菩薩の宿り子
華音は、シルビアと春香の胸を見て、動悸がおさまらない。
「シルビア・・・その模様は・・・」
「春香さんまで・・・」
「いつから?」
「気がつかなかった」
そのシルビアと春香は、ほぼ直立、
胸を張り、微笑んでいる。
華音は、二人の胸から、その目を離すことが出来ない。
「シルビアの胸には、日光菩薩の梵字」
「春香さんの胸には、月光菩薩・・・」
シルビアから、華音に声がかかった。
「華音の胸にも浮かんできたよ」
「薬師様の梵字」
春香も続く。
「だから、華音ならわかるって言ったの」
「あなた西の京で、毎日見ていたでしょ」
華音は、本当に驚いた。
「薬師如来、日光菩薩、月光菩薩・・・」
「薬師三尊だ」
シルビアが華音の手を引いた。
「大鏡に」
春香も一緒に大鏡に向かう。
大鏡の前でシルビアが華音に指示。
「華音は真ん中」
「華音の左隣に私」
春香は、華音の右隣に立つ。
華音は、まだ驚くばかり。
「薬師寺の薬師三尊は、確かに毎日見ていた」
「僕が薬師様で、シルビアが日光様、春香さんが月光様?」
華音は、薬師如来のことについて、薬師寺の僧侶に、教えてもらったことを思い出す。
「薬師様は、東方浄瑠璃世界の教主」
「菩薩の時に12の大願を発し、この世界における衆生の疾病を治癒して寿命を延べ、災禍を消去し、衣食などを満足せしめる」
「その瑠璃光で、衆生の病苦を救う」
「無明の病を直す法薬を与える医薬の仏」
そしてシルビアの胸を見ながら日光菩薩について教えてもらったことを思い出す。
「日光菩薩は、一千もの光明を発することによって広く天下を照らし、そのことで諸苦の根源たる無明の闇を滅尽する」
シルビアが満足そうに頷くのを見て、今度は春香の胸を見る。
「月光菩薩は、月の様な清涼さにより、人々の生死煩悩の苦しさから、人を救う」
春香も、いつもの理詰めのような雰囲気とは異なり、涼し気な笑みを浮かべている。
シルビア
「だから、華音がテニス部の女の子と顧問を治療できたのは、薬師様の御力なの」
春香
「その人の不調の原因や、怪我のリスクを見抜くことができるし、対処もできる」
シルビア
「私たちは、華音のサポートをするお役目」
「私たち三人は、薬師様、日光様、月光様の宿り子なの」
「胸や身体に浮き上がる梵字が、その証拠」
春香
「だから、何も気にしなくていいよ、隠すものは何もない」
「お互いの生まれたままを隠したり、意識しているようでは、授かった御力を発揮できないの」
華音は、そこまで言われて、ようやく落ち着いた。
大鏡の前で、三人全裸でいることに、全く抵抗が無くなっている。




