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華音は空手部に出向くことにした。

駆けつけて来た空手部顧問松井だろうか、角刈りで精悍な顔をした教師が、剛を叱責。

「おい!剛!お前、何を考えているんだ!」

「いきなり、そんなことをして!」

「どうしてお前は、そう後先を考えない!」


そして華音たちに頭を下げる。

「申し訳ない、華音君、沢田さん、雨宮さん」

「こいつは、いつも直情型で、すぐに感情のままに動いてしまって」

「何も悪いことをしてない君たちに不快な思いをさせてしまった」


剛は、三人の教師に相次いで叱られ、また、校門前に結果的に集まってしまった生徒たちの強い視線を感じ、ますますうなだれ、下を向いてしまう。


ずっと黙っていた華音が、口を開いた。

目の前の剛と三人の教師に、少し頭を下げて、

「あの、僕のことで、揉めないでください」

「ただ、沢田さんと雨宮さんについては、剛さんの発言は理解できないこともありました」

と、落ちついた声。


華音は、一歩前に出た。

「空手部の剛さん、もし、どうしても、ということなら、放課後にでも空手部に出向きます」

「僕も、大した腕ではないけれど、空手の型くらいはできますので」


剛は「え?」という顔になると、華音は続けた。

「あの・・・剣道はイマイチ、下手なんです」

「空手とか合気のほうが、それでも、下手は下手なりに好きなんです」

そこまで言い終えて、少し笑う。


剛は、ようやく顔をあげた。

「・・・ああ・・・ありがとう・・・」

「それじゃ、放課後に来てくれるかな・・・」


華音は、もう少しあった。

「あくまでも、入部希望はありません」

「それも、徒手格闘の師匠に強く指示されているので」

そこまで言って、また深く頭を下げ、歩きだしてしまう。


剣道部顧問の佐野は、華音の言葉で身体が震えた。

「・・・じゃあ、あの凄まじい剣道が下手ってことなのか?」

「それより空手とか合気のほうが、得意ってことなのか?」


震える剣道部顧問佐野に、空手部顧問の松井が尋ねた。

「おい、どうして青い顔になる?」


剣道部顧問佐野は、空手部顧問の松井にそっと耳打ち。

「ああ、俺も全く太刀打ちできないほどの剣道の鬼だった」

「あっと言う間に、竹刀を落とされた」

「それで・・・危険を感じる」


空手部顧問松井

「危険?」


剣道部顧問佐野

「ああ・・・怪我人が出るぞ、下手をすると・・・」


少し黙っていたテニス部顧問高田も、会話に加わった。

「とにかく、足の運び、身体の動かし方が、不思議なくらいになめらかで速い」

「それから・・・何か・・・そこが知れない力を持つ」


空手部顧問松井は、腕組みをして考え込んだ。

「そうは言っても、実際に目の前で見なくてはなあ」

「それから考えるよ」

「華音君も出向いてくれるから」

教師たち三人は、そういう話。

空手部主将剛は、まだ顔を下に向けている。


沢田文美と雨宮瞳は、同じことを考えていた。

「ああ・・・これでますます、華音君の部屋が片付かない」


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