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動じない華音、先生方が援軍に

空手部主将の剛から、ほぼ暴言のようなことを言われた華音の表情に変化はない。

いつものように丁寧にお辞儀。

「おはようございます、三田華音と申します」

その身体を起こし、空手部主将剛を見た。


沢田文美が、空手部主将剛に反論する。

「剛さん!違うの!」

「華音君を待ち伏せしたのは、私たちのほうなの」

「変な考え違いをしないで!」


ムッとなってしまった空手部主将剛に、華音。

「あの、女子生徒と一緒に歩いてはいけないとか」

「そういうルールとか、校則とかはあるのでしょうか」

「私も転校してきたばかりで、詳しく知らないことが多いと思います」

「もし、そのようなルール、慣習、校則などあれば、教えていただきたいのです」

至極真っ当な質問をする。


空手部主将剛は、ますます機嫌が悪い。

実際、そんな決まりなど何もない。

決まりがないけれど、華音の挨拶を剣道部に先に越された上に、華音が沢田文美と雨宮瞳に囲まれて歩いて来たことが、単に、気に入らなかっただけ。

それで、ついカッとなって、言ってしまったに過ぎないのだから。

しかし、登校時の校門前、他の多くの生徒からも、しっかりと見られていることが、空手部主将剛のイライラをますます、つのらせた。


「何だと?俺は三年生だぞ!」

「お前は一年坊主だろ!」

「しかも、奈良の田舎から来た、よそ者だろう!」

「なめた口きくんじゃねえ!」

「いいか!先輩に叱られたら、素直に謝れ!」

「そんなこともわからないのか!」

「この田舎者!」


空手部主将剛としては「自分が三年生の先輩、そして華音は一年生で転校してきたばかりのよそ者という立場」が、華音を攻撃する唯一の根拠となっている。


ますます緊迫感に包まれる校門前に、テニス部の高田顧問が姿を見せた。

そしてまず、華音に声をかけた。

「華音君、君は全く問題がない」

「心配をしないでいいよ」

「そのまま、教室にいきなさい」


その次に、空手部主将剛を厳しく見据えた。


「おい!剛君!何を校門前で騒いでいる!」

「さっきから聞いていたけれど、要するに男の嫉妬だろ?」

「剣道部には挨拶に来た」

「しかし空手部には来ない」

「それで、馬鹿にされていると思った」

「しかしな、華音君が空手部に入ると言うなら、空手部に挨拶に行かなければならない、それはわかる」

「そうじゃないだろ?華音君はそんな希望を一言でも言ったのか?」

「少なくとも、剛君はそれを華音君から聞いたのか?」

「それから、沢田文美も雨宮瞳も、我がテニス部だ、華音君には本当にお世話になって、恩義を感じている」

「それが一緒に歩いてきて、何が悪い!」

「そもそも女を連れてって何だ!その言い方は何だ!お前は女性蔑視か!」


言葉の途中で、剛はうなだれてしまって、言葉を返すことができない。


テニス部顧問高田は、さらに剛を追求。

「だいたい、空手部に入る意思がない華音君を、校門前で待ち伏せして、何をしようと思ったんだ!」

「殴るのか?蹴るのか?怪我を負わせたいのか?」

「それも何のために?」

「剛君の名誉か?そんなのが名誉になるのか?」

「人を傷つけることは名誉なのか?」


テニス部顧問高田の後には、剣道部の佐野顧問が立っていた。

そして佐野顧問も、剛に

「おい!剛!空手部の松井顧問には連絡したぞ」

「今、驚いて駆けつけて来る」


剛は震えあがっている。


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